作品情報
少女たちの愛のそばで起きた殺人は、静かな関係に隠されていた闇をあぶり出す。
『濡れた心』は多岐川恭の長編ミステリで、1958年に講談社から刊行され、第4回江戸川乱歩賞を受賞した。典子と寿利の関係を中心に、愛情と社会的な抑圧のなかで起きる殺人を描く。1997年には、幕末の長崎・出島を舞台にした『異郷の帆』との合本『濡れた心/異郷の帆』として講談社文庫に収録された。
レビュー要約
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澄明な文体で女性同士の愛を描きつつ、殺人の背後にある悪意を追う作品として紹介されている。独自の感情描写と本格ミステリの緊張を併せ持つ代表作と位置づけられる。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 1997-11-01
- ページ数
- 503ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784062621007
- ISBN-10
- 4062621002
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
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東大経済学部卒。終戦後、横浜正金銀行をへて毎日新聞西部本社に勤務。昭和28年(53)、『みかん山』で作家デビュー。33年『濡れた心』で第4回江戸川乱歩賞を、翌年には短編集『落ちる』で第40回直木賞を受賞した。以後、推理作家として活躍すると同時に時代小説も旺盛に執筆。ベッド・ディテクティブものや『ゆっくり雨太郎捕物控』シリーズなど話題作も多い。平成6年(94)脳梗塞により没。
レビュー
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ベスト・オブ・多岐川恭
思春期の少女の恋愛の葛藤を繊細な叙述技巧で描き、読者に驚くべき罠を仕掛けた心理ミステリ、乱歩賞作品中屈指の名作「濡れた心」(1958年) 出島を舞台にした巧妙なフーダニットにして、鎖国と身分制という究極の閉塞状況から脱出する主人公を描いた爽快な時代青春小説の名作「異郷の帆」(1961年) 多岐川恭を代表する、必読の二大長編を収録。 他にも風変わりで知的な犯罪小説『氷柱』(1958年)、エレガントで残酷なヌーヴェルヴァーグ映画のような味わいを持つ『お茶とプール』(1961年)、異様な雰囲気を醸し出す犯人当て小説『変人島風物誌』(1961年)など傑作揃いの多岐川恭作品は更に評価されるべきだ。
関連する文学賞
- 江戸川乱歩賞 第4回(1958年) ・受賞