日本の文学賞

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雪の日にライオンを見に行く (文学の扉)

ちゅうでん児童文学賞

雪の日にライオンを見に行く (文学の扉)

志津栄子

中国残留邦人の家族史を背景に、ふるさとや自分の居場所を問い直す児童文学。引っ込み思案な少年と転校生の関係を通して、言葉にしにくい不安と再生の気配を描く。

児童文学家族ルーツ中国残留邦人友情

作品情報

自分のふるさとはどこなのか。その問いが、少年の心を少しずつ変えていく。

残留邦人の祖父を持つ少年の視点から、言い出せない思いと他者との距離を丁寧にたどる。講談社の「文学の扉」らしい、読みやすさと重さの両立が印象的な一冊。

書籍情報

出版社
講談社
発売日
2023-02-01
ページ数
208ページ
言語
日本語
サイズ
13.6 x 1.7 x 19.5 cm
ISBN-13
9784065305119
ISBN-10
406530511X
価格
1540 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

残留邦人の祖父を持つ、唯人(ゆいと)。父は中国で生まれ、日本で家族をつくったが、唯人がおさないころに帰国してしまった。 唯人は、何をするにも自信がなく、話すのも苦手。 大事なことを自分で伝えられず、いとこの洋(よう)ちゃんにくっついて任せてしまう。 洋ちゃんとクラスが離れた小学五年生の秋学期、クラスに転校生がやってくる。 クラスメイトがあれこれと話しかけても、転校生の生島梓(きじまあずさ)はそっけない返事ばかりして、クラスになじもうとしない。 唯人はそんな梓に親近感を覚えるようになる。 老人福祉施設を訪問してのクリスマス会、年末年始の家族のやりとり、年明けのなわとび大会…。 唯人は、中国残留邦人としておじいちゃんが抱えてきた悩みや家族への葛藤、梓が抱えている孤独を知っていくことになる――。 第24回ちゅうでん児童文学賞 大賞受賞作品。 [選考委員:斉藤洋氏、富安陽子氏、山極寿一氏] いろいろな者たちの孤独が、あるところでは重なり、他のところでは、同じ言葉ではあらわせないほど遠くへだたっている。元来、孤独ということは、そういうものなのだ。――斉藤洋 多種多様な子ども達を、「そんな子がいてもいいのです」という、小学校の先生の一言が支えます。その言葉のなんと強く、温かいこと!――富安陽子 いったい自分は何者なのか。アフリカの多くの民族が入り交じった地域でゴリラの調査をしてきた私には、その葛藤がよくわかる。――山極寿一

岐阜県在住。2022年、本作「雪の日にライオンを見に行く」にて、第24回ちゅうでん児童文学賞大賞受賞。 1988年、京都府生まれ。円居挽のデビュー作『丸太町ルヴォワール』を始め、書籍装画で活躍するイラストレーター。ほか装画を担当した小説作品に『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦/KADOKAWA)、『鳥葬』(江波光則/ガガガ文庫)などがある。

レビュー

  • 思いやりの心がまぶしかった!

    主人公は引っ込み思案の小学5年生。 徹底的に内向きだった彼が、 人を寄せ付けない転校生の少女との関わりのなかで、 他人を思いやる心を知り、 気持ちを伝えることのよろこびに目覚めていきます。 祖父が中国残留邦人だったことで、 周囲とは異なる葛藤も抱え込んでいた少年の成長物語。 弱気な自分のことで一杯一杯だった彼が、 孤立へ一直線だった少女を気にかけ、 ここぞというときに進み出るさまには目頭が熱くなりましたね。 助けられてばかりだった少年が 何をきっかけにどう変わっていくのか? ぜひ注目してください。 (対象年齢は10歳半以上かな?)

  • ライオンの居場所はどこか、僕の居場所はどこか

    主人公はクラスで一番の恥ずかしがりやの小学5年生の男の子です。 すぐに緊張してしまう、思ったことを口にできない、どもってしまう……クラスで目立たない存在。 しかし、学校でいじめられているわけでも、特別に浮いているわけでもありません。 低学年の頃の担任の先生の、一人ひとりのポジティブ・ネガティブな個性を尊重する教えがクラスのみんなに浸透しているからです。 それでも主人公は、クラスメイトの道徳的な優しさに甘んじているこんな自分は好きになれないと苦しんでいます。 転校生の少女との出会い、自分のアイデンティティの模索、父親のいない家庭環境と母親の思い、いろんなことを通して成長します。 タイトルの天王寺動物園に『雪の日にライオンを見に行く』にとどまらない、世界の広がりを見せてくれる一冊です。

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