無形
井戸川 射子(著)
立ち退きが進む海辺の団地を舞台に、老いと病を抱える祖父と孫娘、親を失踪で失った姉弟、近所の犬を世話する老女、少女たちや兄弟など、そこに暮らす人々の季節と記憶をたどる群像小説。変化のなかで取りこぼされる喜びや悲しみと、なお残るつながりを描く。
作品情報
過ぎゆく歳月のなか、海辺の団地に息づく人々の記憶と希望を描く初長編。
海辺の古い団地では、立ち退きとともに長く続いた暮らしが少しずつ姿を変えていく。祖父と孫、姉弟、ひとり暮らしの老女、少女たちや兄弟の視線を行き来しながら、日常のほころびのなかにある親しさ、痛み、ささやかな希望を静かにすくい上げる。
レビュー要約
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海辺の団地に暮らす多世代の人物像を、独特の句読点と途切れなく移る焦点で描き、変わるものと変わらないもの、形あるものと形のないものを小説ならではの言葉で表現した点が評価されている。
書籍情報
- 出版社
- 講談社
- 発売日
- 2024-10-24
- ページ数
- 224ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.5 x 2 x 19.4 cm
- ISBN-13
- 9784065366059
- ISBN-10
- 4065366054
- 価格
- 1980 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
☆☆☆祝!! 第75回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞!!☆☆☆ 確かにそこにあった生活を、形には残らない喜びを、悲しみを、少しずつ取りこぼしながらも生きていく。 気鋭の芥川賞作家・井戸川射子、待望の初長編。 過ぎゆく歳月の中で、変わらないものは何と呼ばれるのだろう――。 立ち退き勧告が進む団地を舞台に、ほころびと希望、息づく日々を描き切る傑作群像劇。 年老い病を患う祖父と、彼の面倒を見る孫娘。 親が失踪した姉弟。 夫に先立たれ、近所の犬の世話をする老女。 友情以上の感情を育む少女たち。 守りたい兄と、それを疎ましがる弟。 海辺の団地に集う人々に流れる、季節と記憶――。
1987年生まれ。関西学院大学社会学部卒業。2018年、第一詩集『する、されるユートピア』を私家版にて発行。’19 年、同詩集にて第24回中原中也賞を受賞。’21年に小説集『ここはとても速い川』で第43回野間文芸新人賞を、’23年に『この世の喜びよ』で第168回芥川龍之介賞を受賞。他の著作として、詩集に『遠景』、小説に『共に明るい』がある。
レビュー
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現代音楽のごとし
この人の小説は散文詩のようで、とにかく読みにくく、何が起きているのか、筋が何なのかも分からない。さながら音楽でいう「現代音楽」みたいである。芥川賞に続いて芸術選奨新人賞をとっているし、賞賛している識者もいるが、私にはこういうのの何が面白いんだか分からない。裕福な出版社がパトロンとなって、こういう作家を養っていき、少数の人のみが礼讃するというあり方がいいのかどうか、私には分からない。