作品情報
異なる時代を生きる三人の少女の物語を収録する。
表題作「りんご畑の樹の下で」に、書き下ろし二篇を加えたコバルト文庫の短編集。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 1996-09-03
- ページ数
- 320ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784086142359
- ISBN-10
- 408614235X
- 価格
- 595 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
婚約者を残して、家を出たイギリス名家の娘シャロン。私学のお嬢様たちに啖呵をきってしまった千恵。彼氏に好きえと言えない高校生・結子。3人の少女たちの想いが交錯する、甘ずっぱい物語!
レビュー
-
隠れた良佳作
最初に読んだのはもう10年近く前になるのですが、今尚心に残っている短編集です。表題作他2本。時代は違えど、設定がリンクしているお話になっています。甘いだけではなく、時には酸っぱく、皮の苦味も残る林檎のようなお話の数々。 「楽園のふたり」1900年代前半のイギリス、上流階級の少女の家出話。 「林檎畑の樹の下で」世界大戦勃発間近の日本。本格的なお茶会を開こうと奮闘する少女と混血の少女の友情。 「雨の日にはブラームスを」両思いになれたはずの彼氏とうまく付き合えない少女が、ある日不思議な林檎の精に助けられて…。 テーマはもちろん、構成も文章も申し分なく、短編集でありがちな物足りなさは一切感じません。ボリューム的にも満足して楽しむ事が出来ました。 もう全部好きです!どのお話も甲乙つけ難い! 何より少女小説というカテゴリーにありながら、恋愛に偏りすぎてないところがいい。そのストーリーの書くべき所。表すべき感情。 恋も友情も悲しみも苦しみも。世界に満ちたどうしようもない理不尽な運命の暴力と、それでも神様に祈りたくなるような尊い奇跡。 この物語に出てくる少女達は恋に至る過程で、それら人生にかけがえのない物を得て成長するのです。 最後まで丁寧に纏められていて、切なくも清々しい読後感に浸れました。やっぱりね、苦味があるから甘さが引き立つと思うのですよ(笑)昨今の恋愛至上主義的な少女小説に食傷気味な方はぜひ。
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