日本の文学賞

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ゴヤ 1 スペイン・光と影

大佛次郎賞

ゴヤ 1 スペイン・光と影

堀田善衛

スペインの画家フランシスコ・デ・ゴヤの生涯を、歴史、政治、芸術の激動のなかで描く長編評伝。画家の眼を通して、近代ヨーロッパの光と暴力を見すえる。

ゴヤスペイン史芸術家の運命

作品情報

ゴヤは、堀田善衛の視点から時代と人間の姿を映し出す作品である。

宮廷画家としての栄光から、戦争、弾圧、黒い絵へと至る道を、堀田善衛の重厚な視線が追う。評伝でありながら、歴史小説のような迫力を持つ大作。

レビュー要約

  • 題材への切り込み方と落ち着いた筆致を評価する声がある。展開の速さよりも、時代背景や人物の内面をじっくり読む作品として受け止められている。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2010-11-19
ページ数
488ページ
言語
日本語
サイズ
10.5 x 2 x 15.2 cm
ISBN-13
9784087466386
ISBN-10
4087466388
価格
1100 JPY
カテゴリ
本/ノンフィクション/歴史・地理・旅行記/歴史/人物評伝

天才画家の人生を通じ、18世紀スペインに誘う 1743年ゴヤ誕生より、スペイン宮廷画家として頂点を極める40歳まで、彼の描いた作品と共に生涯をたどる。堀田善衞の並々ならぬ情熱と、徹底した踏査による長編評伝・第1巻。(解説/高橋源一郎)

レビュー

  • 絶対、読むよべし

    すごいな~ここまでの洞察力、そして史実に当たって検証。さらに現物を観にっている身銭感(笑) 伊集院静さんが、美術署を書いてみたくなった。つまり、門外漢には、その視点があるはずという気づきにみちた本です。 美術家では、技術がみえてしまい、その表情のいみするものまで届かないと感じた。

  • 古い日本人の教養の深さが伺い知れます。

    著者とゴヤの作品との、心の交流、問答、禅問答のようなやりとりの描写が面白いです。一枚の絵から、描いた人物の生涯や心の背景までを洞察できてしまう著者。すごいです。

  • うーん、そうかなぁ⁉

    堀田善衛、気になる作家でした。活動は戦前から、とにかく現場主義を貫き、戦後は名を馳せた疾走する知識人、そのようなイメージがあって、さて何から挑むか、そんな気持ちで門前を行きつ戻りつし続けて来ました。幾つか当たった本もあるですが、何れも最後まで行き着けなく、でした。そして意を決して本作です。 結論から申し上げると、これを最後とすることにしました。最早古い、先ずはそう感じました。氏の描き様に、そう感じました。確かに本作で、氏の博識と経験から、スペインの気候・風土、歴史、民族性、そうしたものの一端を知り得ましたし、それらは今なお有効性を失っていないとは思います。しかし肝心のゴヤが、時代性は理解しつつも、そのスペインとどうも結び付かないのでした。年齢的には彼の前半生期、作品は残れども、自身に関しては資料が少なく、それらを繋ぎ合わせ、推定を含めて描かざるを得なかった、ということでしょうが、有態に申せば、ゴヤの何処に、何を感じて氏が描いているのか、それが全く掴めないのでした。この本で氏は、ゴヤを引き寄せるよりは、徹底的と言えるほどに、突き放しています。なのに如何してゴヤなのか、解らないのでした。自画像など絵に関しては成程としながらも、思わせ振りが匂う感じで、何処まで、とつい思ったりもしました。元は週刊誌連載とのことで、本にするにしては、饒舌が過ぎますし、繰り返しが目立つのも、気に障りました。要は読み続けるになくてはならない、動機付けを得られないまゝに終わってしまいました。

  • 読書の楽しみを与えてくれる

    4巻までまとめて購入しました。堀田氏の著作は読書の楽しみを与えてくれます。

  • ゴヤとスペインから情熱を感受する

    たまたまこの夏、NHKの「あの人に会いたい」という短い番組で、堀田善衛の肉声を聞く機会があったのですが、1998年に80歳で亡くなったはずですから、本来は高校生のころにあんなにいろんな講演会や座談会や討論会を聞きに回った私が、彼の声を知らないはずがないのですが、まったく記憶にありません。 気になるいま現在生きて活動する作家や思想家には、なるべく会って話を聞いておくこと。遠く離れたところからでもいいけれど、出来れば面と向かって質問なり質疑応答をして、彼や彼女の肉声から発せられた言葉をその内実に取り込んでより鮮明なものにすること。そうすれば、自分の頓珍漢な頭にも、少しは偉大な思慮の万分の一でも沁み通るかもしれない。 そんなことを勝手に思い込むようになったのは、父の高校生のときの友人の話を聞いてからです。 その人は、学業全般は成績も悪く頭のよくない劣等生という感じだったそうですが、何故か、こと数学となると現代数学の最新理論とかも独学で勉強していて、よく授業中などは先生を煙に巻いていたそうです。 ただ、どちらかというと厭世的で父などはいつ自殺するかわからないといって心配していたそうですが、あるとき思い立って、当時まだご存命だった数学者の岡潔に会いにいって話をしようということを提案したそうです。 このままでは落第もしかねなく、一生在野で趣味の数学をこねくり回すには惜しい人物とでも思ったのでしょう。その頃、数学だけではなく仏教にも造詣が深い現代の知性といわれる岡潔に会うことで、何らかの影響を受け身の回りの変化があるかも知れないと考えたのは確かなようです。 驚くことに、なんとその友人は岡潔の専門の多変数解析函数論や彼の考案した不定域イデアルも知っていて、父の策略などそっちのけで、一も二もなく喜んで会いに行ったそうです。 その結果は、見事に当たりました。ほとんどオール1の成績では大学進学もままならないことを知り、一年に満たない猛勉強の末に京大理学部に進学し数学者の道を歩んだそうです。 ほら、書物だけで著者に接しているのと違って、会うと何かが変わってくるでしょう。・・・少し短絡的ですが。 それはともかく、堀田善衛が1977年に書いたこの本は、単にゴヤだけでなく、ゴヤを通してスペインいやヨーロッパ全体を、キリスト教文化の奥底までを透徹した眼で凝視して描いた問題作です。 確かに信じられるのは、塩野七生のややプラグマティックな(本質的なものは違いますが、そういう傾向に喧伝されすぎているきらいがあります)視点と異なる、もっとより根源的な歴史を見据えた成熟した眼差しです。 この本を読み返すことで、私たちは未だ解決できないでいる、人間の関係性それに個人のこころの問題の糸口をつかめるかもしれません。 いやいや、そんなふうな参考書めいた読み方じゃなく、心底ゴヤという画家の、情熱的なドラマティックな人生を垣間見ることに熱中することだけで、喜びを感じる本かもしれません。 それからくれぐれも念のため、うちの妹のように、パッと見てホッタヨシエという名のお料理研究家が出した、「ゴーヤ」に関するお料理ブックと間違わないように、お願いしま〜す。 記述日 : 2010年12月21日 13:45:11

  • ゴヤを通した壮大なスペイン論

    18世紀のスペインの画家の代表フランシスコ・デ・ゴヤについての評伝で、堀田善衞の長年にわたるゴヤ研究の賜物。全4巻という長編ですが、全く長さを感じさせない大作です。 まず前提として、本作は決して美術評論書ではなく、ゴヤの伝記でもありません。これは堀田から見た、ゴヤの絵画を媒介としたスペイン及びヨーロッパの評論です。もちろんゴヤの波乱に満ちた生涯や数多くの絵画の紹介も十二分に含まれています。しかし、堀田の筆力によってスペインの乾燥した砂っぽい空気やカトリック独特の重々しい雰囲気がリアルに伝わり、いつしか読んでいるこちらもスペインの土を踏み、現地でゴヤの絵画を鑑賞しているような気にさえなっていきます。それは堀田自身が何度もスペインに足を運び、執念とも言える研究を重ねてきたからでしょう。 個人的には絵画「精神病棟の中庭」に関して、フーコーの「監獄の誕生」や「狂気の歴史」を絡めた近代ヨーロッパ史のタブーについての話や、版画作品と戦争論のあたりが非常に興味深い内容でした。 宮廷画家としての華やかな生活から、孤独で狂人まがいの「黒い絵」を描くに至ったのは、単に病で耳が不自由になったからだけではない。我が国から見ると楽天的で華やかな印象のあるスペインの、中世から続く本質的な闇。ゴヤという絵描き一人の焦点から、西ヨーロッパ全土に跨っていくそのパースペクティブは圧巻です。文体も平易で読み物としてもおもしろい、堀田善衞の傑作です。必ず4巻通して読んでください。

  • 評伝を通した文明批評の書、第一巻

    通常いうところの小説家という語感より広い、文学者といった印象を受ける堀田善衛による評伝、ゴヤ、全四冊の第一巻。 この著書はあくまで画家であるゴヤの評伝であり、しかしその軌道を最低限守りつつフエンデトードス村やマドリード、サラゴサなどスペインの各地域について語り、スペインという領域について語り、そこに生きてきた人々の歴史を語り、その関わり合いでヨーロッパ各国やメキシコ、南アメリカについてかたり、王族について語り、貴族について語り、庶民について語り、そう言った言葉の裏側で日本についての再考を促す、といった文明批評にも話が広がって行くのが何よりも読んでいて心地よいし、蒙を啓かれるところで、視野の広さ、事象の核心をつかみ取るグリップの強さ、独特の気息を感じることのできる文章、どこか開高健の精神と共鳴する、月日の彫琢に耐えて質感に富んだヒューマニズムが伝わってくる。 第一巻は導入部からゴヤの出生、少年期、修行時代といったところから、齢四十に達してアカデミイ会員になり、功なり名を遂げる一方で病気の陰を感じ始めるところまで、あからさまな上昇志向で出世の階段を登って行くゴヤと、スペイン社会の動乱の予感とが対照的に、段階的に対比されて語り起こされ、スペインの民族性の一端、極端に走る狂熱性を王室の放埓な暮らし、その政治、その政治に甘んじる人々、甘んじ得ない人々の具体例で示し、「生きるということのどうしようもなさ」に目を向け、耳を澄ます描写がこの巻から少しずつ高まっていく。 未だ唯一無比とはなっていないゴヤの姿に後の画業を感じさせる第一巻。

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