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情事 (集英社文庫)

すばる文学賞

情事 (集英社文庫)

森瑤子

夏の終わり、若さを失いつつあるという不安に突き動かされた「私」が、性愛への欲望をひたすら追い求める小説。自らの衝動を見つめながら、奔放な性と老いへの恐れが交差する時間を描く。

性愛若さへの不安老い欲望女性の自己認識都会的な生活

作品情報

夕暮が突然輝きを失い、若さへの不安が「私」を奔放な性へと駆り立てる。

「情事」は森瑤子の第2回すばる文学賞受賞作であり、作家としてのデビューを飾った作品である。若さが奪われていく感覚と強まる欲望を一人称で語り、性的な衝動を回避せずに追究する。集英社文庫版には「誘惑」も併録されている。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
1982-04-01
ページ数
240ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784087505047
ISBN-10
4087505049
価格
638 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

33歳の夏、いつだって感動的だった夕暮れが、突然、美しさを失った。もう私は若くない…。外国人ジャーナリストとの情事にのめりこんでゆく女の内面を鮮やかに写す話題作。第2回すばる文学賞受賞作。(解説・清水 徹)

レビュー

  • あの時代が刻印された文体

    最初の数行で、軽いショックを受けた。また、懐かしくもあった。その文体が。 「私の中で、青春の最後の輝きがまたひとつ、確かに消えていったのを、識(し)った。」(集英社文庫版、7ページ) 本作が発表された1978年には、こういう高校生の英文和訳みたいな文体が流行っていたのだ。 片岡義男、高橋三千綱、村上春樹、そして著者が刺激を受けたと言う池田満寿夫。ああ、懐かしいなあ。 1978年とは、年号で言えば昭和53年である。戦前派の文学者、たとえば小林秀雄、井伏鱒二、河上徹太郎も存命だった。 当然、この新しい文体に対する反発は、ものすごかった。「子どもの作文みたいだ」とか。芥川賞選考委員・永井龍男の辞任騒動まであった。 今だから言えるが、日本文学の、いや、日本社会の、大きな曲がり角だったのだ。ここら辺を分水嶺として、日本人の精神風景は大きく変わった。 さて、本書に収められた2作品「情事」および「誘惑」の内容について述べると、プロットそのものは正統派と言うか、直球だけで勝負している。 ただし、ドロドロしてはいない。内容と文体が釣り合っている。「オシャレ」と言っても良い。 そして何よりも、こういった世界は著者にしか描けない。 著者は多作の人だが、1993年に亡くなられたから、今にして思えば、その活動期間はずいぶん短かったとも言える。 「その後の日本の変貌を、その目で見て、作品に反映させて欲しかった」と思う一方で「神に愛された人は、やっぱり早死にしてしまうのか」とも思う。 「情事」は、私の青春の記念碑である。

  • 女性と男性は永遠に理解しあえない

    女性作家の小説を読むということは,女性の思考を知るのに有効だと思う。女性作家の小説に違和感を抱くように,逆に女性も男性作家の小説に違和感を抱いているのだろうから,お互い様だ。何億年の生命の歴史の中で形作られた差異なので,仕方ない。という読後感でした。

  • あまり好きではない作品

    結婚生活が不幸だ、もう女性としての賞味期限が終わる、とそんな理屈で夫以外の男に簡単に抱かれる女性が出てくる二編。こういう情念は理解できるし、別に夫側の視点じゃなくて彼女たちの情人側の視点で読めばいいのに、どうしてもなんかそうできずにしっくりと読めなかった。結婚を選んだ2人がすれ違っていく心理描写がとてもリアルで上手だった。特に「誘惑」では、なんだこの女って思える「情事」よりもとても良く描かれてると思った。しかし欧米人と結婚する日本人女性ってモチーフが好きな作家だなあと思った。面白かったんだけど、好きでは無い作品。

  • 買わなくても良いかな

    あまり面白くなかった

  • 森瑶子の世界

    表題作「情事」は森瑶子38歳の時の処女作でありすばる文学賞を受賞した作品である。 37歳時、作者は自分自身に絶望してた時期、版画家池田満寿夫が芥川賞を受賞したこと を知り、それに刺激され書くきっかけになったという。 本書は主人公洋子が若さへの不安から奔放な性に駆り立てる物語である。情愛に対する 欲望と飢えが巧みに描写されており、まさに森瑶子の世界、夏を基調にした作品で冒頭 の「夏が終わろうとしていた」は印象的な一行である。

  • ああ、中年に差し掛かった夫婦よ!

    今は亡き森瑤子氏が、37才の時書いた処女小説。初めてにして「すばる文学賞」を受賞したという作品です。 彼女自身がイギリス人と結婚したということで、小説もイギリス人の夫のもとで、老いを感じ始めた妻が起こす情事について描かれています。読み出したとき、「山田詠美氏の直木賞受賞作『ソウルミュージック・ラバーズオンリー』に良く似たシチュエーションだなぁ」と思いました。山田氏が森瑤子氏の影響を受けているということなのでしょうか? 森氏の作品は、単なる情事ということではなく、女性が女としての絶頂期を過ぎたときに感じる焦り、性への欲望、守らねばならない日常というしがらみ‥そんなものが切々と迫ってきます。 30代後半から40代の既婚女性に読んでいただけるといい本と思います。

  • あるあるでアイタタタ!!男にやさしくなれませぇーん

    昭和15年生まれの著者が、30代の既婚女性の性欲、女としての承認欲求、切ない気持ち、少女のような恋心、などをここまで繊細に描いてくれて凄いと思った。私もどっぷり浸ることができた。 いやー、どうにもならない堂々巡りの夫婦喧嘩、折れたら負けと思ってどんどん傷口を広げていってしまう二人の会話、痛いほど分かる。アイタタタタタタタ〜〜タッタッタッという感じである。 1978年に出た作品だが、令和の奥さんよりも言葉がきつく思えるのは気のせいかな?あの時代だからこそ、このぐらい強く言わないと男たちに黙らされてしまう、そうはさせてたまるか、という気概を持って、しっかり強い女でいるために、力いっぱい牙をむく必要があったのだろう。

  • 不倫を美化し正当化する罪な作品

    10代の頃、美しいまでの情愛描写に釘付けになり、手に入る限り貪るように読んだ。見事な文章によって不倫が美化され、正当化されている。夫を裏切ることがまるで粋な計らいかのような価値観を抱かせる、罪な作品。

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