作品情報
『悪意の森』は、タナ・フレンチによるmacavity-awardの受賞作。
『悪意の森』は、タナ・フレンチによるmacavity-awardの受賞作。
書籍情報
- 出版社
- 集英社
- 発売日
- 2009-09-18
- ページ数
- 408ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784087605853
- ISBN-10
- 408760585X
- 価格
- 543 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
数々の賞に輝く傑作の登場! ダブリン郊外の森の中で少年と少女が姿を消してから20数年、同じ森の近くで少女の他殺死体が。刑事のロブとキャシーは、少女の家族が隠し事をしていると感じる。やがて少女の姉がロブに接近し…。
レビュー
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若さ故に激しくぶつかる男女の愛憎ドラマに心が引き裂かれる青春心理ミステリー。
アイルランド・ダブリンで暮らし女優業を経てデビューした期待の大型新鋭女流作家フレンチが2007年に著しエドガー賞最優秀新人賞を初めとする多くの新人賞を総なめで受賞した驚異の処女作です。 1984年の夏の日にアイルランド、ダブリン郊外の森で三人の子供達が姿を消し数日後一人の男の子だけが記憶を失った状態で発見される。それから20年後、出自を秘し名前を変えて殺人課刑事となったライアンはコンビを組む女刑事キャシーと共に丁度同じ森近くの遺跡発掘現場で見つかった少女殺害事件の謎を追う。事件を調べる内に二人は家族関係、カルト集団による儀式殺人、性犯罪、高速道路建設反対運動に絡む犯罪の四つの要因に絞り込み、密かに20年前の事件との関連を疑い調査を進めるのだった。 この物語の最大の間違いは、捜査官として一番相応しくない過去の被害者ライアンに事件を担当させた事で、さまざまな要因を加味して分析せざるを得ないのは仕方ないとしても、冷静にプロの目で事件を眺めて判断すれば半分の頁数で真相に到達出来たのではないかと思います。著者はあえて心にトラウマを負った主人公が迷走し崩壊して行く心理状態を克明に描き、同時に犯罪捜査に私情を挟む事の危険さと招いた結果を残酷に描写しています。本書の主題は「悪意の森」の中で迷う人間の心だと思いますが、それだけでなく元々ライアンは私生活と仕事を切り離す事の出来ない性格だったのでしょう。彼よりも冷静な女刑事キャシーが真相に到達し歪んだ人間心理の恐ろしさを暴く展開が見事ですが、私は本書が多くの賞に輝く要因となったのは前半で幸せの絶頂にあったライアンとキャシーの恋が後半若さ故に激しくぶつかって決裂してしまう青春心理小説のほろ苦い味わいの部分にあると思います。次作は気骨のあるキャシーが主役となり過去の謎に挑む物語との事で、悪意の森という煙幕のない物語での著者の新たな魅力に期待しましょう。
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緻密な心理描写が美しい
あまり評価されていないようですが、私はとても気に入りました。謎解きに期待すると、ちょっとがっかりするかもしれません。 仕事に就いて十年くらいの若い刑事たちが、事件を追いながら変化する仲間同士の関係、被疑者の見方などが、非常に丁寧に書かれていて、とても面白く読めました。ひとりひとりの心情を紐解くように味わっていくというのが、この本の読み方でしょうか。 ストーリー自体も私はいいと思います。20年前の事件と最近起こった事件に関連線がありそうなのに……というすれ違い、ふぅっとフェイドアウトするような終わり方。果てしなく長い夏と、底深く暗い冬のダブリンらしい小説で、北国の雰囲気が要所要所に満ちています。 心理変化の追い方、人物の描き方の目線が、ちょっとスティーブンキングに似ていて、「これ、絶対、彼のお気に入りの小説だろう」と思っていたら、案の定、ツイッタ―で薦めていました。ミステリファンというより、「渋く落ち着き目のスティーブンキングっぽい小説(最近、彼はミステリーを書いていますが)を読みたいな!」と思う方に、ぜひ手に取ってほしいと思います。 リンクが掲載されるかどうか、わかりませんが、以下がスティーブンキングのツイッタ―の該当箇所です。ご参考まで。 https://twitter.com/stephenking/status/448947470975111168
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一気に読ませる小説ですが
読売新聞の読書コーナーに載っていた紹介が面白そうだったので購入してみました。 ただ、書評記事や出版社のあらすじ紹介だと、少し誤解の生じる余地があると感じるので、以下微修正。 1980年代のアイルランドのニュータウン。12歳の少年2人と少女1人が森へ遊びに行ったまま帰って来なかった。 捜索の結果、少年1人だけが森の中で発見されたが、残りの2人はついに見つからなかった。 それから20年。あの時の少年は成長して殺人課の刑事になった。ある日、彼の友達2人を飲み込んだあの森の中で起きた12歳の少女の殺人事件を担当することになる。その事件はなぜか、20年前の事件と不気味にシンクロするのだった…。 と、そういう小説です。「20年前の事件」と「主人公が捜査する事件」は別物です。そして後者がストーリーのメインです。 私は、紹介を見て「20年前の事件」を捜査する話と思って買ったのですが、ちょっと違ってました。 小説自体は、いわゆる「ヒキの強い」作品で、最後までどんどん読み進めてしまう感じです。 現在の主人公はヘタレでアンニュイ、灰色な感じなのですが、時々記憶の中から立ち現れてくる20年前の記憶はものすごく生き生きしてキラキラして、極彩色な感じ。現在のストーリーが語られるときはどこか他人事のようなのに、記憶パートになると気持ち悪いほど生々しくなる、その落差が読んでいて居心地悪くさせられる、そして先が知りたくて読み進めてしまう…という感じですかね。 そして作中、どの登場人物よりも圧倒的な存在感を放つのは「森」です。 パズル的な、謎が解けた時の爽快感を伴うミステリではないです。好き嫌い分かれるかもしれません。ホラーっぽい雰囲気が好きな方ははまるかな、と思います。 個人的には…そもそもホラー苦手で、子供が殺される事件も苦手だった…。なので、作品としては圧倒されたしすごいと思うけど、ちょっとストライクゾーンをはずれていた感じ…。 それにしても後半の主人公のヘタレっぷりはすごかった…あそこまでつきぬけていると、ある意味感心さえしてしまいました。作者の趣味なのかな…
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情けない主人公
エドガー賞最優秀新人賞ほか多数の賞を受賞と帯にあったので購入。 期待外れでした。 テンポが悪く上巻を読み終えるのに時間がかかりました。 下巻の途中から引き込まれていき最後まで一気に読みましたが、読後感はよくないです。 主人公のロブはボンクラ刑事で大きなドジを踏んでしまいます。 主人公が間抜けに描かれているミステリー小説は初めて読みました。 女性である作者の男性観になんらかの偏りがあるのかと思ってしまいます。 次作は優秀な相棒が主役(キャシー)だそうで、それなら期待出来そうです。
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独特の一人称 “タナ・フレンチトーン”で綴られるミステリー
’08年度「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」のベスト・ファースト・ノヴェル(最優秀新人賞)をはじめ、アンソニー賞やバリー賞、マカビティ賞などの数々の最優秀新人賞に輝いた、女優・声優をしてきたという異色の作家、タナ・フレンチのデビュー作。 舞台はアイルランドの首都ダブリン近郊のノックナリー地区。そこでは20年前に3人の少年少女が森で行方不明になっていた。ただひとり発見された少年は記憶をすべて失っていた。そして今、同じ森近くの古代遺跡発掘現場から12才の少女の他殺体が見つかる。20年前のくだんの少年ロブが今は殺人課の刑事となり、かつての身分を隠し、新任の女性刑事キャシーとコンビを組み捜査を始める。 ロブによる‘ぼく’という一人称叙述で進むストーリー構成で、‘ぼく’、キャシー、そして同じルーキー刑事のサムを交えて毎夜キャシーの家で推理が繰り広げられるが、これがなかなか前へ進まない。捜査の過程で‘ぼく’は、よみがえる20年前の忌まわしい記憶に苛まれる。 なにやら謎めいた少女の家族。とりわけ姉ロザリンドと父親ジョナサンの秘密。そして遺跡発掘現場上の高速道路建設計画とその反対運動。遺跡発掘現場の面々の疑わしい言動。神秘で恐ろしげな森。20年前の事件。とミステリーとしての道具立てはそろっているが、 “タナ・フレンチトーン”とでも言うべき‘ぼく’の一人称の述懐はあまりに独特で、とりわけ上巻は読破するのに時間がかかった。下巻にいたり、真犯人の逮捕と異常な動機に一気読みの様相を呈するが、では20年前の事件はなんだったのかという消化不良感が残ってしまった。
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犯罪事件に絡む心理小説という感じ
内容紹介を読む分には非常に魅力的な謎かけで、数々の賞を受賞したとのことで期待していたが、上巻については正直全く面白くない。 主人公の過去の事件についての回想、現在の主人公とそれを取り巻く人々の描写が延々と続き、事件そのものは殆ど進展していかない。 純文学と考えればこういう書き方もあると思うが、推理小説ととらえると動きがないのでただいらつく。 主人公達の事件への取り組み方もプロフェッショナルとは程遠く、未熟な少年探偵団レベル。 こんな捜査官いるの?と首をかしげることしきり。 事件そのものより、壊れていく人間の心理を描いて見せたいのではと思ってしまった。 途中中断しても 気が全く起きず、上巻だけでも読むのに1カ月もかかってしまった。
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不愉快なほどつまらない
2巻も読ませといて「はぁ?」という感じだった。 たくさんの伏線に見せかけて全てオカルトオチ、みたいな。 全くつながってない。 期待しただけにガッカリです。 意外性もひとつもなかったし、本当につまらない。 ところでこの小説の主人公みたいな人が身近にいたらだいぶイラっとしますね。
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吃驚した。
ヲチに驚いた。 ミステリにしてもホラーにしても掟破りではないか?それともこれは純文学だったのか?w 残り数頁というところで得た嫌な予感が最後に的中した時には唖然とした(笑) この作家の作品は二度と買わないだろうな。 タイトル獲った小説(国内を除く)はある程度外れがなかったが、考えを改めることにした。
関連する文学賞
- マカヴィティ賞 第22回(2008年) ・受賞