日本の文学賞

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地図と拳

直木三十五賞

地図と拳

小川哲

満洲を舞台に、地図と暴力、夢と占領の歴史を大きく描く長編。

歴史小説満洲戦争

作品情報

白紙の地図に、誰がどんな夢を書き込むのか。

集英社刊「地図と拳」として確認した。小川哲の長編。

書籍情報

出版社
集英社
発売日
2022-06-24
ページ数
640ページ
言語
日本語
サイズ
13.4 x 4.6 x 19.4 cm
ISBN-13
9784087718010
ISBN-10
4087718018
価格
2015 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

【第168回直木賞受賞作】 【第13回山田風太郎賞受賞作】 「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」 日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。ロシアの鉄道網拡大のために派遣された神父クラスニコフ。叔父にだまされ不毛の土地へと移住した孫悟空。地図に描かれた存在しない島を探し、海を渡った須野……。奉天の東にある〈李家鎮〉へと呼び寄せられた男たち。「燃える土」をめぐり、殺戮の半世紀を生きる。 ひとつの都市が現われ、そして消えた。 日露戦争前夜から第2次大戦までの半世紀、満洲の名もない都市で繰り広げられる知略と殺戮。日本SF界の新星が放つ、歴史×空想小説。 【著者紹介】 小川哲(おがわ・さとし) 1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に『ユートロニカのこちら側』で第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉を受賞しデビュー。『ゲームの王国』(2017年)が第38回日本SF大賞、第31回山本周五郎賞を受賞。『嘘と正典』(2019年)で第162回直木三十五賞候補となる。

レビュー

  • 満州や戦場にいるかのような圧倒的なリアリティ。

    毎年8月の終戦記念日前後は戦争ものの本を読みたくなるもので、今年は本書を手に取りました。満州を舞台にした戦争ものであると同時に、建築論や都市論もテーマにしています。フィクションではありますが、巻末の膨大な参考文献を見て分かる通り、歴史的事実とされるものをベースに、架空の物語を造形しています。とにかく筆致が見事で、まるで自分が満州や戦場にいるかのような圧倒的なリアリティを生んでいます。 600ページ超の大部、かつ登場人物が多く、それぞれの物語が淡々と進むため、決して取っつきやすい小説ではありません。ただ、その分、徹底的なリアリズムに徹しており、当時の情景を思い浮かべたり、人々の気持ちを追体験したりしながら読み進めることができます。読み始めはそれなりの忍耐を求められますが、徐々に登場人物たちのつながりが見えてきて、中盤以降「地図と拳」というタイトルに込められた意味が明らかになってからは、俄然ページを手繰る手が止まらなくなってきます。なお、読み進める際は、集英社のサイトにある「地図と拳 読書ガイド」が参考になります。読み終わったときは、達成感と同時に、現実世界に引き戻されたような虚無感も覚えました。 満州については学校の授業でもあまり学んだ記憶はなく、個人的には映画「ラストエンペラー」の印象が最も強いです。あの映画も素晴らしく何度も見返していますが、本書もある意味それと似たような感慨に浸ることのできる一大叙事詩だと言えます。戦争を知っている世代からは色々と難癖をつけられるかもしれませんが、戦後40年以上経ってから生まれた若い世代の作家があの戦争を描いたことに意味があると感じました。

  • お勧めです。

    面白い。

  • 素敵な本です

    読みごたえのある 本です 配送も、迅速に届けて頂きました‼️ありがとう😉👍️🎶

  • 過剰な装飾をまとった空洞

    この作者は入念な調査とその中からトリビアルな面白さを発掘することには長けており 作品の中にそれらを散りばめることで興味を持続させ、また同時にある程度のリアリティを 確立することに成功しています。 しかし人間というものにはどうもまるで興味がないようで、人物描写の件になると 途端に書き割りのような薄っぺらさになるため、なまじ本作が群像劇として 組み立てられているがゆえに周辺だけが過剰に装飾された芯のない作品に留まっています。 このあたりは「君のクイズ」でも同様の所感です。 とはいえ激動の時代を描き、それなりの分量がある作品ではあるので 読了時には3日泊まったホテルを後にする時くらいの惜別の念を抱きました。 読書体験としてそれはそれで容易に実現できることではないので一読の価値はあると思います。

  • さすが直木賞!

    長編ですが大変面白い。 時間があれば一気に読み進めることが出来る内容です。

  • 彼らはそういう世界に生まれ、そこで死んだのだ

    たくさんの登場人物の入れ替わりでつなぐ物語の構成に私個人は非常に興味を持ちおもしろく受け止めたこういう書き方はいいなと思った最初はモブみたいに出て来たのにこの章ではこいつが引っ張っていくのかみたいな感じが読んでいる身にはかなり刺激がありよかった新鮮でした章名が西暦何年となっているが元号で何年の方が頭の中で出来事と結びつけやすくてよかったなと思った満洲の時間の流れが多いのでもっと長くなってしまったかもしれませんがこれだけ出しているのだからせっかくだったらもう何人か本土で生きている人物も配置しもう少し日本そのものの動きにも肉付けを施していただければよかったと思います関東大震災も5・15も2・26も流れて行ってしまったのがちょっと残念でしたまあでもそうすると満洲に集中できず本作の意図がくずれてしまったのかもしれませんね終章がちょっとピンと来ませんでしたので読書の満足はありましたが感動はありませんでしたそこは残念でも長編上等

  • 無し。

    期待通り良かったです。

  • 映画を何本もみたような充実感

    数十年の間の人々の交錯や思惑を辿る小説で、最初は「とんでもなく重たい小説に手を出してしまった」と後悔しましたが、次第に引き込まれてすべて読むことができました。 戦争の理不尽さはもちろんのこと、武力ではなく知力、信心、人との絆で厳しい時代を生き抜いていったそれぞれの来し方など、ドライな部分、ウェットな部分が交互に巡る感じで、単なる戦争小説というよりは個人史を読んでいるような感覚でした。 登場人物が悉く強い志を持ち、またとても理知的な感じがあったことも魅力でしたし、自分の人生を決定するには深い学びや洞察が要るんだなという学びになりました。 ほんの一瞬、たびたび出てくる恋愛や家族愛の描写もしつこくなく、それでいて強い想いを感じられたのでバランスが良かったです。

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