なのはな (フラワーコミックススペシャル)
東日本大震災と原発事故後の福島を背景に、少女の視点から再生への祈りを描く漫画作品集。放射性物質を擬人化した連作も収める。
作品情報
なのはなは、萩尾望都の受賞作として、題名のモチーフから作品世界へ読者を導く。
東日本大震災と原発事故後の福島を背景に、少女の視点から再生への祈りを描く漫画作品集。放射性物質を擬人化した連作も収める。
レビュー要約
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題材の明確さと読みどころの強さが評価されている。物語や論述の推進力があり、人物やテーマに踏み込む構成が読後の印象を残す。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2012-03-07
- ページ数
- 153ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14.8 x 1.5 x 21 cm
- ISBN-13
- 9784091791351
- ISBN-10
- 4091791352
- 価格
- 38 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/コミック
3・11以降に描かれた萩尾望都最新作品集 3・11の大震災と、それに続く原発事故。 かつてない事態に直面した作者は、ザワザワとした気持ちを抱えながら、フクシマの少女を主人公にした話題作「なのはな」と、放射性物質と人間との関係をシニカルに描いた3部作「プルート夫人」「雨の夜-ウラノス伯爵-」「サロメ20××」を立て続けに発表しました。 今回はそれらに加え、特別描き下ろし「なのはな-幻想『銀河鉄道の夜』」を収録しました。今を生きる全ての人たちに読んでほしい作品集です。 【編集担当からのおすすめ情報】 雑誌掲載直後から、新聞、雑誌、ネット等各方面で話題となった一連の作品を、3・11から1年後の今、緊急出版します。作品に込められた「祈り」と「希望」を、共に感じてください。
レビュー
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ありがうございます。
楽しく読んでいます。
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宝石のような悼み、祈り
人間というものはそうそう冷静にはなれないもので、フクシマとカタカナで書かれただけで耐えられない方も、チェルノブイリと比較されること自体が耐えられない方もいる。怒りの矛先をどこに向けていいのかわからない。 しかし、もう少し距離を置けるなら、この作品集が福島の…人間の哀しみの奥底まで見通して丸ごと抱きしめようとするかのような、萩尾望都の想いの結晶であることが感じられるのではないだろうか。 未読の方にはこの機会にぜひ一読をお勧めしたい。加筆された「福島ドライブ」も、甲斐よしひろ好きなモー様らしくて良い。 …チェルノブイリ博物館のエントランスには、以下のような福島に捧げる詩が掲げられているという。 桜の枝 - 煙の美女 この枝に歩み寄って、 優しく抱きしめる、 チェルノブイリから よろしくと伝えておく。 桜が息で返事する。 全世界が悲しみに暮れ、 皆が心配になり、 祈りが天国まで響く。 その中にわたしたちの声: 私たちはあなたと共にいる。 桜 − 私たちの姉妹。 傷が癒されるように 祈りを捧げている。 あきらめないで! あなたの兄弟、 キエフの栗の木より
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萩尾望都さんならではの作品集です。
萩尾望都さんらしい作品集だと思います。若い方たちには、この本をきっかけに環境問題や自然を守ることなどに興味を持っていただけたらと思います。
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萩尾望都さんはやはり天才!
福島の原発のことをこれほどダイレクトに扱っているとは思いませんでした。悲しみの中にも希望を見いだすラストが素晴らしい。萩尾望都さんは本当に天才だと思いました!
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もう、何度も読み返しています。
萩尾望都さん、面白い。
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自分の年齢のせいか
もすこしさらっと描いて欲しく感じました。 表情とか書き込みすぎではないか。目が大きい登場人物が多いけど。 人の顔は多種多様なのに。 読むと疲れてきます。登場人物が全員がつっこむタイプだからか。
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少女マンガの手法で挑む現代の状況
3・11の,そしてそれに引き続く福島第一原発の事故が,萩尾望都の心を大きく揺すぶった事は間違いない。彼女は改めて問い直したはずだ…私たちが生きている世界とは一体どんな世界なのか?と。 そして敢えて挑戦した…「政治的」とも受け取られかねない,しかも賛否両論,感情的な対立さえ生み出しかねないテーマに向き合い,自分の手中にある少女マンガの手法で挑むことに。 原子力はまさに夢のエネルギーと言って良い。燃料も大していらず,低コストで莫大なエネルギーを生み出す。CO2排出量も少ない。資源小国の日本にとっては理想的なエネルギー源である。 そのすばらしさ,麗しさ,力強さは「プルート夫人」に活写されている。プルート夫人の造形は圧巻だ。美しく,愛らしく,エロティックでさえある。 但し,事故さえおこさなければ…である。 さらに「2万4千年」の半減期を持つ核の最終廃棄物の「処理」は,そもそも人類に可能なのだろうか?その答えをまだ人類は得ていないようである。 その原子力と隣り合わせて生きる道を人類は既に歩み出してしまった。「ウラノス伯爵」で述べられるように,既に「この世界に降りそそぐ雨の音から,誰ものがれられはしない」のであろうか。莫大なエネルギーと引き替えに,100年足らずの間に過酷事故を3度も起こしている原発を抱きかかえながら,人類はどのように生きて行くのであろうか。 原子力とのぎりぎりの共存の状況をSF的に描いた「擬人化三部作」と対照的に,小学生のナホちゃんを主人公に据えた作品は不思議な抒情の中にフクシマの再生の希望を託す。30年間の「帰還困難地域」をかかえるフクシマの再生を,チェルノブイリの少女から渡された「種まき機」によって撒く「なのはな」の種に託すのである。 ここでロシアだソ連だ,独裁国家だと言った見方は不要であろう。原発の問題はもはや地球上のすべての人々が共有している。原発事故による放射能汚染からの浄化を,遠く離れたチェルノブイリの少女と共に祈るのはむしろ自然である。そのような世界に,好むと好まざるにかかわらず,既に私たちは生きているのだ。 この,多様で複雑で困難な現代の世界…その一断面を鋭く,少女マンガの手法で切り取って見せることに萩尾望都は見事に成功した。単純な割り切りでも一面的なスローガンの連呼でもない。それを少女マンガの美しい絵柄でわかりやすく,しかし問題の複雑な本質を損ねずに提示して見せたのだった。
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しかと受け止めたい1冊
表題作「なのはな」の他、 放射能三部作+書き下ろしの計5編が収められた、 ハードカバーの愛蔵版です。 これまで社会問題から距離を置いてきた作者が、 なぜ、今、このテーマを扱うのか。 2011年10月28日の朝日新聞「放射能汚染を物語る」の中で、 作者は、描かずにいられない心理について語っています。 3.11を境に世界は変わってしまった。 もう、原発について無自覚、無反省ではいられないと。 直後の憤りや反省、希望の中には、 誤解や、未消化の可能性もあることは、否定できません。 が、後日の批判もあり得ると承知で、あえて作品化したのは、 同時代を生きる創作家としての使命感も大きいと、私は思います。 巻末の書き下ろしには、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と、 「ひかりの素足」のイメージが使われており、 この本が、鎮魂の書でもあることを暗示します。 あとがきにあるように、作者の願いは、 「世界が終わらないように、世界が次の世代に続くように」 ということであり、読者としてはしかと受け止めたい1冊です。
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