エンブリオロジスト-受精卵を育む人たち-
不妊治療の現場で受精卵を扱う胚培養士に焦点を当てたノンフィクション。医療の裏側で生命の始まりを支える専門職の仕事、葛藤、未来を追う。
作品情報
いのちの始まりを支える胚培養士たちの仕事に光を当てる。
受精卵取り違えの衝撃から、家畜繁殖技術とヒトの生殖医療の接点、患者と医療者の視点までをたどる。高度な技術と倫理が交差する現場で、胚培養士という職能が担う重さを読者に伝える作品。
レビュー要約
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見えにくい医療専門職に焦点を当てた点と、生殖医療をめぐる倫理的な問いが読者の関心を集めている。物語性よりも記録としての価値が強い作品である。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2010-01-26
- ページ数
- 208ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784093897235
- ISBN-10
- 4093897239
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第16回小学館ノンフィクション大賞、大賞受賞作品です。 '06年出生の赤ちゃんの実に56人に1人が体外受精児。その妊娠医療の現場でいま最も必要とされているのが、 体外受精、顕微授精といった受精卵操作を行なうエンブリオロジストという専門職です。 このあまり耳慣れない職業を、著者は自身の不妊治療の体験を通して知ります。 卵取り違えの医療事故、国家資格を必要としない現状、そして彼らの日々の苦悩や喜びなど、 著者は彼らと彼らを取り巻く状況を丹念に取材することで「不妊治療大国ニッポン」の知られざる問題を浮き彫りにしていきます。
レビュー
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卵子を入れたピペットを扱うときは、きっと息を止めているのでしょう
エンブリオ(胚)というのは、受精卵が細胞分裂をして8週目までの胎児をさしていう言葉です。(8週目の胎児はすでにヒトのかっこうをしています)エンブリオロジストというと、この8週間すべてにかかわるように思われますが、実際の仕事はエンブリオ以前から始まり、受精卵が母親の子宮に戻される3〜5日目までです。すなわち、採取された卵や精子の保存、人工授精そして子宮代わりのインキュベータ内での培養です。 ヒトの卵細胞は大きさがせいぜい0.2 mm程度。精子はずっと小さいひも状の細胞なので、作業は顕微鏡下に行われます。人工授精の手技が手荒かったり培養の条件が不十分であったりすると、発生が進まなくなり「ヒトの誕生」には至りません。エンブリオロジストの仕事には、生物学の実験室さながらの緻密さと繊細さが伴っています。 著者は、何人ものエンブリオロジストを取材して、日本における体外受精の現状を紹介し、問題提議をしています。エンブリオロジストの資格の問題、ストレスフルな職場環境の改善とメンタルヘルスケア等、日本の生殖補助医療は道半ばです。
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大変勉強になりました
胚培養士を目指しているもので、どのような職業か知るために購入しました。 実際の胚培養士の方の視点と、患者さんの視点の両方を取り上げて書かれているので、新しく知ることがたくさんありました!
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あとがきだけが最悪
ためになると思ったらあとがきが最悪だった。あんな読者の裏切り方はない。最低な女だ。あんなの書く必要はないんじゃないか、あの本の性質からして読み手はある程度予想できるだろうし、あのあとがきでどんなにダメージを受けるかもわかるはずだ。
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この仕事を知っていますか?
「エンブリオロジストを知っていますか?」 ある会に集まった参加者に、こう問いかけた人がいた。 私は、医療には近い分野で仕事をしているが、恥ずかしながら、この職業を知らなかった。 なんとなく聞いたことはあったかもしれないが、具体的にどのような立場で、何をする人なのかを知らなかった。 問いかけた人は、「エンブリオロジスト 受精卵を育む人たち」を紹介し、一読を勧めた。 翌日さっそく手に取り、読んで、驚いた。 エンブリオロジストとは、体外受精において卵子や精子を取り扱う仕事をする人たちだ。受精卵を母体内に戻す医療行為をおこなうのは医師だが、体外で卵子や精子を取り扱うのは医師とは限らない。 エンブリオロジストは、日本では現在1400人程度いるそうだ。 不妊治療を受けている患者さんと向き合うこともあり、また、卵子や精子を取り扱うことはとても大きな責任を負う。倫理観も問われる仕事だろう。 しかし、エンブリオロジストは国家資格ではない。もともと臨床検査技師の人もいるし、獣医学を学んできた人もいる。学会による認定はあるが、個人間の技術の差もかなりあるという。 こうした実態は、これまで、あまり明らかにされていなかったと思う。 エンブリオロジストの思いを拾い、置かれている立場の曖昧さや、不妊治療の課題などを指摘した本書の意義は大きいだろう。 なによりも、この本の内容に厚みを持たせたのは、著者自身が不妊治療の経験者であったことだ。 「エンブリオロジストについて知りたい」という思いの強さが文章に出ている。 「知りたい」「伝えたい」という思いが、執筆の原動力になるということを感じさせられた。