日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫 と 3-1)

小学館ライトノベル大賞 ガガガ文庫部門

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (ガガガ文庫 と 3-1)

飛田雲之

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!は、飛田雲之による受賞作。刊行情報と賞データを照合して整理した作品で、人物の選択や時代・場所の空気を通じて、読後に残る問いを描く。

ライトノベル青春ユーモア

作品情報

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!は、受賞歴と書誌確認をあわせて読むことで輪郭が見えてくる作品である。

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位!は、飛田雲之の作風と受賞時の評価が交差する作品として位置づけられる。書籍として確認できるものはISBNを記録し、独立刊行が確認できないものは掲載媒体の識別子を流用せず、作品情報のみを整理した。

レビュー要約

  • 読者からは、題材への向き合い方と物語を支える筆致が評価されている。一方で、静かな展開や重い主題をじっくり受け止める作品として読まれている。

書籍情報

出版社
小学館
発売日
2018-05-18
ページ数
326ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784094517323
ISBN-10
4094517324
価格
49 JPY
カテゴリ
本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル

「面白い=売れる」なんて幻想だ――。 大手ライトノベル系まとめサイト「ラノベのラ猫」の管理人をしている高校生、姫宮新。 彼はとある記事作りをきっかけに、最近行われたネット小説賞《このラブコメがすごい!!》で三位に輝いた小説の作者が意中の少女、クラスメートの京月陽文であると知ってしまう。 彼女の投稿作品は厳密な意味でのラブコメではなかったが、ネット民の悪ふざけで炎上気味に盛り上がり、三位に押し上げられてしまったのだった。 そして、その悪ふざけを煽った張本人は「ラ猫」管理人の新。 だが、それを知った陽文は怒るワケでもなく、こう言った。 「わたしにラブコメの書き方を教えてほしいの」 新は陽文にドギマギしながらも、自分の考える「売れるライトノベル」の条件を示し、陽文が次の《このラブ》に向けて小説を書くのを手伝うことになる。 陽文が書いて、新がまとめサイトで宣伝する。 そうすれば、話題作になること間違いなし、と。ついでに陽文との距離も縮まれば言うこと無し。 だが、青春&恋愛偏差値ゼロの新は、陽文と距離が近づくほどに自分は陽文にはふさわしくないと思うようになってしまい……? まとめサイト管理人と作家志望の少女が紡ぐ青春サクセスラブコメ! 【編集担当からのおすすめ情報】 第12回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞受賞作品です。 応募作であるにもかかわらず、担当編集が驚くくらいライトノベル業界の情勢に精通している、新人離れした作品でした。 青春ラブコメとしてはもちろん、ライトノベル業界そのものにも興味がある方にも楽しんでいただければと思います!

レビュー

  • 素っ裸の自分と向き合えますか?「ラノベもの」として読むと大して面白くないが「恋愛論」「アイデンティティ論」として読むと中々興味深い

    昭和の終わり頃に流行った「濡れ落ち葉族」なる言葉をご存じだろうか? 一つの会社を勤め上げたサラリーマンのおっさんが(最近じゃ難しいが、昭和の頃はこれが普通だった)定年退職後に趣味も無く、 人付き合いも絶えた結果、嫁さんが買い物に出ようとすると用も無いのに濡れた落ち葉みたいにべったりと付いてくる様になる…… まあ、そういう無様な姿を揶揄した言葉だったのだけど おっさんがこうなった原因は40年近く一つの組織の中で働いていると「名刺」がアイデンティティになってしまって、 その「〇〇株式会社の社員」みたいな看板が外れてしまうとまともに人間関係を構築するスキルが無くなってしまう事にある。 ラノベのレビューだってのに何をいきなり昭和のサラリーマンの話をしているか、だって? 物事には順序ってもんがあるのよ、お兄さん。 さて、今年のガガガの新人賞受賞作品。ちょっとばかり変わったタイトルの作品だが、 中身の方は「俺ガイル」で味をしめたガガガ文庫らしく、口だけは達者だが教室では浮いているヒネたガキが主人公のアレである。 話の方はいきなりだが「ラノベのラ猫」と称する、匿名掲示板の書き込みをまとめたり、最近の話題作みたいな業界の話題をまとめたりする いわゆる「まとめブログ」の管理人・姫宮新が教室で隣の席に座っている京月陽文に自分が惚れている事に気付く所から始まる。 クラスじゃ完全に孤立しているので休み時間は寝たふりをしている新は陽文が小説を書いている事を耳にするのだけど、 その陽分が書いている作品が、自分のブログで特集していたネット小説新人賞「このラブコメが凄い」で話題を集めている作品だと気付く。 カテゴリーエラーなのにタイトルから付けられたタグでラブコメと勘違いされてPVを集めたその作品は最終的に三位となるが、 作者へのインタビュー記事を作るために電話した先から聞こえてきたのは陽文の声。 教室ではろくに話し掛けられない陽文と思いがけない形で喋ってしまった新だったが 翌日ブログのマスコットキャラである「ラ猫」の声優を担当している妹の麻里と話している所を陽文に聞かれてしまい、 新がラ猫の管理人である事があっという間にバレてしまう事に。 焦る新だったが、陽文は自分の作品が内容とは無関係な炎上に近い形でしか注目を集めなかった事が悔しいと語り、 その上でラ猫で話題作として紹介されているラブコメが面白いと感じられなかった事で自分の感性がズレているのが原因かもしれないとして 新に「ラブコメの書き方を教えて欲しい」と頼んでくる…… ……タイトルから最近流行りの「ラノベ業界物」みたいなものを想像する人も多いかも知れないが、 敢えて言っておくと、この作品「ラノベもの」として読んでも大して面白くはない。 作中で扱っているラノベ論なんて多少ラノベ業界の話題を追っている読者であれば一度や二度は聞いた事がある物ばかり。 改めて「これは新鮮」と感じる部分はあまり無い、割と一般的なネタばかりである。 それじゃ駄作なのかと言えばそれも違う。 ラノベの創作をネタとした「恋愛論」「アイデンティティ論」として読むと、これがなかなかに興味深い内容となっている。 まず話の基本となっているのはラブコメを書こうとしているクラスメイト・陽文に主人公の新が最初から惚れている事。 その上で新には陽文に話し掛ける方法がさっぱり分からない点にある。 そんな新に降ってわいた様なチャンスとして陽文が「ラブコメの書き方を教えてくれ」と言ってくるのだけど、 教室では完全なる「ぼっち」で学校で話す相手は妹の麻里ぐらいしかいないという新にはもう一つ別の顔がある。 「年商700万円を叩き出して、企業案件も受ける大人気ラノベブログ『ラ猫』の管理人」という顔である。 この「ブログ管理人」としての新は学校での「ぼっち」とは別人と思えるぐらいに雄弁かつ自信たっぷりで ブログでの宣伝を依頼してくる出版社の人間やプロの作家とまともにやり取りするし、 父親相手にも「会社辞めたら雇ってやるよ」と不遜な口をきいたりする辺り、色々と高校生離れしている。 (というかどこかしら昨年の「平浦ファミリズム」の主人公に似ていたりする気も) この主人公・新の二面性こそが本作のメインテーマだと言って良いかと。 憧れの陽文と話す関係を築けた新だけれども、陽文に見せる顔は徹底して「ブログ管理人」としての顔なのであり、 自分が陽文に惚れているという事を口にする事からは徹底して逃げている ……新自身はいつか告白したい、と思っているにも関わらず、である。 そのため、陽文に対しては「『君』が欲しいんじゃなくて、『君の作品』が欲しいんだ、『ラノベブログ管理人の俺』は!」という 屈折した態度を取り続ける事に。 この新の素の自分を晒す事への怖れは徹底しており、陽文が何かのきっかけで教室での新の話に及ぶと 「俺自身についての話なんかどうでも良いよ、そんな事について話すなんて時間の無駄だ」とひたすら逃げを打つのである。 要するにこの少年「ラノベブログ管理人」としては堂々と振る舞えるのだけど 「クラスではぼっち」「学校で話す相手が妹だけ」という矮小な自己を晒す事をひたすら恐れているのである。 この新の屈折ぶりは後半にブログのスタッフの一人であり、幼馴染でもある不登校少女・三郎が学校に出てきてからますます明確に。 久しぶりに登校する事もあって自分と同じ様に教室で浮くだろうと予想していた三郎が陽文を介して クラスにあっさり馴染む姿を見せ付けられた新が次第に精神的に不安定になっていくのが後半のストーリーの主軸となる。 妹の麻里も三郎も教室で「ぼっち」のままでいる新を案じて一計を練るのだけどこれが完全に裏目に出てしまい 大して話す切っ掛けもなかったクラスメイトたちを相手に「俺に干渉するな!」と怒鳴り散らした新はクラスで完全に浮く羽目に陥る。 高校生離れした「年商700万円ブログの管理人」としては堂々と振る舞えてもクラスでは「裸の王様」に過ぎず、 想いを寄せる女の子には「話題となる様なラノベの書き方を教えるラノベ管理人」としては接する事が出来ても 「一個人」としてはまともに声が掛けられない……これが本作の主人公・新のアイデンティティの在り様なのである。 恋愛なんてのは究極の「個人対個人」の関係であって、あらゆる肩書をすっ飛ばして「あんたが好き!」という感情なのだけど、 (会社名や学校名、家柄に憧れて付き合う男女関係というのもあるが、そりゃ「恋愛」とは別物でしょ?) 矮小な自己を晒す事が何より怖い新にはこれが出来ない。 本作の特徴として主人公・新はただの一度もその顔がビジュアル化されていないのである。 「顔」というのは会社や学校、なんとなれば国家といった集団から抜けても付いて回る究極の「個」であるのだけど、 素っ裸の「個」になれない新の顔が描かれない、というのは本作で作者が描こうとしていた事が何かを語っているのではないだろうか? そして自分自身が素っ裸になれない新には「このラブ」への投稿作に応募しようとしている作家としての陽文しか相手に出来ないのである。 何らかの「看板」を背負わないと人間関係を構築できない主人公……要するに「濡れ落ち葉」と化したサラリーマンなのである。 この歪なアイデンティティと不器用極まる人間関係の物語として本作はひどく面白いテーマを掘り下げた作品となっている。 ……が、色々と粗もある。 正直、話が動き始めるのは少々遅い、後半の三郎が登場する辺りにならないと新や陽文を取り巻く人間関係が動かないのは少々タルい。 それまで延々とラノベ創作に関する新と陽文の会話劇が続くのだけど、これが上にも書いた様にラノベ業界について多少知ってると 「この話どこかで聞いた」というネタばかりなので、些か退屈というか飽きてくる。 加えて、その少々冗長な前半のお陰で後半が駆け足気味となり、特に終盤に一旦は創作から降りたと思われた陽文が 思いもがけない形で真意を明かし、それを受けた新がようやく動き始めるあたりの展開がえらく端折られている様に思われた。 ここいら辺は次作以降で修正して頂きたい所かと。 相変わらずヒネたガキを主人公に据えた作品が多いライトノベル(特にガガガはそういう傾向が強いかもしれんが)にあって その口だけ達者なヒネたガキのアイデンティティの在り様を些か露悪的な感じにまで掘り下げた独特の味がある一作。 クセは強いし、決して万人向けとは言えないが「人付き合いにおける自分のアイデンティティとの向き合い方」という 割と悩む人が多い問題について考えたい、という方にはなかなか楽しめるかもしれない。

  • ラノベのマーケティングと不器用な思春期の感情を描いていて面白かった

    もう3年はたっていますし、綺麗なオチがついていますから、もう続編は出ないのかもしれません。 まあ現実はこの作品が出た頃よりひどく、中身よりも動画サイトなどを駆使した宣伝戦略に重きをおきだしてきていますが。 作中でも「中身なんて重要じゃない」といってラノベ描くなど、小説としては冒険しています。 マーケティング論はスパイスとしてうまく機能していて、その合間に描かれている、見栄をはったり素直になれない不器用な感情のやりとりが思春期らしくて、そこがよい感じです。 シリーズにもなっていませんし、そこまですごいわけじゃないですが、軽く一読する分には興味深い話でした。

  • 終盤からが面白い、かな・・・

    ラノベについての纏めサイトを運営する男子高生が小説を書く同級生少女と 運営サイトを通じ知合い、恋愛とラノベ創作とで交流していくというラブコメです。 主人公が変人と言えば変人となるのでしょうが、奇抜な行動を繰り返すと言うよりは 徹底した取捨選択思考の持ち主であり、その思考から展開される、 如何にすればラノベにおいて作品の売り出しが出来るかという方法論が 中盤以降まで延々と繰り広げられていきます。 対してヒロインとなる小説を書く事の好きな少女は 売れる売れない、注目を浴びるか否かよりも、如何に自分の面白いと思うものが書けるか、 方法論よりも自己表現と感性にウエイトを置いているので主人公と考えがズレます。 主人公側は一目惚れ的にヒロインを好きになりましたが、 成り行きで主人公がまとめサイトの運営者である事を知り、 どうすればよりよいラノベが書けるかの足掛かりを求めて主人公と交流するヒロインは 一体どうして主人公に惹かれるのだと、その点は終始余り説得力が感じられませんでした。 好きになってしまえば・・・といったよくあるが強力な一太刀は主人公共々語られてはいますが 物語の展開から見ても、一目惚れの主人公の説得力に比べると ヒロインの主人公への思い入れで説得力が薄く感じられました。 それは一貫してラノベの売り出し方法論に終始する主人公が 幾ら会社運営しての社会性が大人びて見えたとしても、 ものつくりのについての根幹で決定的に違ってしまっていますし。。。 主人公の周りにいる協力者達が主人公の思考に異議を呈しているにもかかわらず 方法論を最後まで貫く様子は正直言って共感するのが難しかったです。 そういった方法論を否定はしませんが、そこだけでラノベを捉えてしまうと 結局は現状の様な大衆迎合的であったり、テンプレ的であったりと 没個性で読むのに悪い意味で楽過ぎて、作品として味気ないものに成り下がるのではないか。 著者もその点を認識しているから、主人公を極端に偏らせて描く事により ラノベ界の現状を提起してはいるのでしょうが、作品のラストでの主人公の言葉を見ていると 著者が割り切った判断を下しているのか、創作者として現状の流れにあっても 面白いと思えるものを創作していくべきと考えているのか曖昧に感じました。 本書で語られた方法論からのラノベ売り出しが駄作の氾濫を招いていると私は否定的に捉えています。 勿論、現状ではそれが主流で有り、売れている、売れてしまっているので 私の方がズレてしまっているのでしょう。 であるものの、消費者的立場にあっては、高くなる一方の書籍は 個人で購入できる量は限られておりますし、大量さに選別が難しくなっているので 碌に篩に掛けず売り出す出版社には、もっと別の意味で消費者に考慮して頂きたいです。 面白いものであったり、今風の受けの良いものであったりを届ける以外に、 懐事情にも配慮し、選りすぐりの良品を提供するという意識を望みます。 本書の内容と外れた感想となってしまいましたが、 個人的にはラブコメの部分は余り面白みを感じませんでした。 面白くするならば売れる方法論に固執する主人公の 恋愛を通じての変化がもっと見られると、まだその方面での興味も湧いたのでしょうが 結局の所、本書限りではあっさりと主人公の良い様に嵌ってしまっただけに映りました。 続編があるとしたら更に掘下げて行く、その前段階での1冊に留まっているのかもしれませんが。 文章自体には崩れた所はありませんし、分かり難い表現もなく読みやすい。 しかし、キャラクターの掘り下げという点では主人公、ヒロインよりも 主人公の妹が一番存在感も有り、魅力的に映ったのが作品の微妙さを表しているかと。 終盤に登場する主人公の父親も妹に次いで面白みのあるキャラに映りましたので 些か勿体なさが感じられます。 続編があるのならば、現状の売れそうなものを売る方法論に囚われていると思しき出版業界に もっと面白い作品を吟味し、選りすぐって自信が持てる商品として出す様 発破を掛けて頂きたい所です。いやもう、ジャケ買いで失敗をするのは無くしたいのですよ。。。

  • 続編があれば買いたい

    初めてラノベを新刊で買ってみたけど、途中まで読んだところでは、「これはハズレだったな」と思っていた。 ラブコメと言うよりは、マーケティング本を小説にしたような内容で、のめり込むことはできなかった。 だけど、後半になるに従って面白くなっていった。 あの終わり方だと、続編は無いように思うけど、もし出たら買いたいと思う。 共感したり、考えさせられることも少なくない作品なので、多くの人に読んでもらいたい。

  • うーん、がっかりかな。

    うーん、最後かなぁ。結局、ヒロインは才能があって、主人公の助けなんか全く無くても一位がとれるくらいだったんだから…

  • 主人公が無理。ヒロインへの恋が"設定"でしかない

    主人公の性格が気持ち悪すぎる。 なによりも嫌だったのは"主人公がヒロインに恋してる"設定のくせに、一切恋してる人間の言動には見えずに、物語を動かすために必要だった"そういう設定"でしかないのが気持ち悪い。 ヒロインに対する言動が好きな女子へのそれではなく、常に何様の上から目線で凄く気持ちが悪くなる。 そのくせたまーに恋してる設定を思い出したかのように「〇〇の仕草に俺はドキリとする」なんて陳腐な地の文を入れてくる。 しかもヒロインもヒロインで、ガチで1ミリも主人公を好きになる理由が描写されていないのに、後半に唐突に主人公を好きになってるという謎設定ときた汗 マジで理解不能でビックリした。 あんな不愉快な言動されて、嫌いにならないどころか好意を持つとか流石に意味不明すぎてついていけませんw というわけで、主人公もヒロインも不愉快。 更に、主人公に代弁させて語らせる"作者の捻り出したラノベ理論"も何様で不愉快。 ただ「ラノベに面白さは関係ない」ってのは一理あると思った。何故ならこの本も面白さに関係なく出版されてますからね。

  • 好き嫌いが別れそうな作品です

    ラノベのマーケティング戦略については「なるほど」と思うところもありましたが、ラブコメとしては普通だったと思います。 物語前半はクセの強い主人公になかなか共感出来ずイライラしてましたが、後半から徐々に面白くなり、物語の雰囲気も変わっていきました。 今までにない感じのラノベだった、ということは伝えておきます。

関連する文学賞