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負け逃げ (新潮文庫)

女による女のためのR-18文学賞

負け逃げ (新潮文庫)

こざわたまこ

「ハロー、厄災」は単行本収録時に「僕の災い」と改題され、連作短編集『負け逃げ』の冒頭に置かれた作品。国道沿いの閉塞した町で、居場所のなさを抱えた若者たちが、傷つきながらもそこから逃げる理由と残る理由を探す青春群像として読める。

地方の閉塞感青春復讐家庭崩壊逃避と自立

作品情報

地方の夜にともる小さな光を目がけ、若者たちが息苦しさの中を走り抜ける。

新潮文庫版『負け逃げ』は、R-18文学賞読者賞受賞作「ハロー、厄災」を「僕の災い」として収録する連作短編集。出会い系、不倫、家庭の崩壊、将来への諦めなど、地方に生まれた若者と大人が抱える痛みを、速度感のある筆致で描く。

レビュー要約

  • 鬱屈した土地の空気と、少年少女の荒い衝動を一気に読ませる筆力が評価されている。暗い題材を扱いながら、登場人物が走り出す瞬間の熱量が強く残る。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2018-03-28
ページ数
384ページ
言語
日本語
サイズ
14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-13
9784101213217
ISBN-10
4101213216
価格
37 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

国道沿いのラブホテルのネオンだけが夜を照らす村を、自転車で爆走する高校生の田上。ある晩ラブホ帰りの同級生、野口と遭遇した。足が不自由な彼女は“復讐”のため、村中の男と寝るという。田上は協力を申し出るが……。出会い系、不倫、家庭崩壊、諦めながら見る将来の夢。地方に生まれた全ての人が、そこを出る理由も、出ない理由も持っている。光を探して必死にもがく、青春疾走群像劇。

レビュー

  • 好き

    おもしろい。1番好きな本。何回も読み直してます。

  • 買いです。

    閉塞した田舎の町に暮らす人々を、男子と女子、生徒と教師、夫と妻といった関係性を軸に描いた連作長編小説です。 どういったきっかけで本書を手にしたのかは忘れましたが、作品の舞台と限りなく一致する田舎(数年前に大型のショッピングモールは建設されましたが)の、勤務する私立高校の生徒に紹介しよう、あるいは入試問題に使えたらとの下心を、少なからず表紙の絵から抱いたのではないかと思われます。結果的には読了後にどちらも無理だと断念せざるを得ませんでしたが、長く尾を引く余韻が残りそうな奥行きのある作品でした。 その理由は明確に二つあって、ひとつは先に記した現在の勤務校で本書に登場する人物と同様の内面を持っているのかどうかはわからないものの、そうではないかと投射するのに恰好な人物に囲まれていて、そのくせ自分は自動車で1時間強かけて通う九州最大の都市で生活しているという立ち位置であること。もうひとつの理由は、そもそも自分が作品の舞台と酷似する鬱屈した田舎で育ち、そこを出、長く特に顧みることもせずにいたのを、定年を間近に控えたためか、ここ数年なにかにつけて考える機会が増えたことです。だから、本書を読み進めながら、野口の母親は離婚して実家に帰っていると風の噂で聞いたあいつのようだ、クラスでいつも一人でいるあの男子はまるで田上だな、同僚のあの二人はもしかして・・・、あるいは生徒の中に本書を読んだヤツがいて秘かにヒデジとあだ名されてたら嫌だな、とか自分の品性を疑うような妄想に耽りながらの読書でした。 と、散々私事ばかりを書き散らしてきましたが、実は題名から察せられるように、登場人物に対する作者の眼差しは最終的には暖かく注がれているので、読後には心地よい後味が残ります。

  • 窮屈さの想像力

    カバーイラストに惹かれ、購入しました。 「閉塞された地方」という題材はファンタジーに近いくらいに、 自分にとって縁遠いものでした。 ただこの作品で描かれる人物の情景描写は、とにかく丹念で、 すべてのキャラクターが、全く自分ではないものの、どこかに自分がいる ようで読んでいて、心が揺らされるばかりでした。 個人的には、漫画家を目指す女の子2人の話が、 若者特有の「何者かになりたい」万能感に対する どうしようもない答えを教えてくれたようで、 お気に入りの一篇です。

  • 私が読んではいけない本でした。

    2025 08 12 作家のこざわたまこ先生が生まれ育ったと言う田舎は、私の住んでいる所とは 近からず遠からず位の所でしょうか。自分の娘位の年頃の先生の作品を云々とは 申しませんが、私が読んではいけない本でした。 この作品の素晴らしい所は、キャラクターの居る空間の描写と表現でキャラクターの 息づかいまで表現出来てしまっているのと、キャラクターとキャラクターの間合いの取り方 と時間の使い方キャラクターの気持ちまでもを表現しています。先生の表現力、素敵です。 先生を知るきっかけは、風の便りで「あの町のあの高校から大学に進学した後作家に成った んだと・・。」でした。読んじゃいけないって思った理由は、私向けの商品では無かった事と、 先生は育った故郷の事を書きたいって出て来た作品の割には、「春になれば桜も咲くだろう・・」 くらいの慰めしかないのだろうか。時折、キャラクターの叫びみたいなのがあるのですが、 それがなぜか、キャラクターを飛び超えて先生自身の声にしか聞こえない所がありました。 なので、この作品の主人公は先生だと思いました。 そもそも、招かれざる客が物言う所ではないようですね。

  • 既視感。。。

    田舎町に住む人たちの思惑がギュッと詰まった一冊です。 変わらない生活、退屈な日常、だが、しかし。。。 いろんな世代の青春物語になっているところが、面白いと思いました。

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