日本の文学賞

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徴産制

センス・オブ・ジェンダー賞

徴産制

田中兆子

若い女性が激減した近未来の日本で、男性に妊娠・出産を担わせる制度が導入される連作小説。荒唐無稽に見える設定を通じて、身体、性別、国家、家族の境界が揺らぐさまを描く。

ジェンダー近未来身体国家制度家族

作品情報

男が子を産む社会を描き、性と国家の常識を揺さぶる。

新潮社刊の単行本。感染症後の日本を舞台に、制度が個人の身体と生き方に介入する状況を複数の視点から描く。第18回Sense of Gender賞大賞の対象作。

レビュー要約

  • 読者の反応では、題材の独自性と人物の感情を丁寧に追う語りが評価されている。展開や文体への好みは分かれるが、受賞作としての個性が伝わる作品として受け止められている。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2018-03-22
ページ数
256ページ
言語
日本語
サイズ
13.5 x 2 x 19.2 cm
ISBN-13
9784103353522
ISBN-10
410335352X
価格
963 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

満18歳から満30歳までのすべての日本人男子に、性転換を義務付け出産を奨励する【徴産制】を施行する――。2092年。新型インフルエンザの蔓延により10代から20代女性の85%が喪われた日本では、深刻な人口問題を解決するため、国民投票により【徴産制】の施行が可決された。住む場所も立場も異なる五人の【産役男】たちが、産役によって見つけた「生きる意味」とは。前時代的な価値観を笑い飛ばし、未来に託すべき希望を描く感動作。

レビュー

  • あるかも知れない未来

    中古で買いましたが、とてもきれいでした。

  • 色々先が気になる本です。

    簡単に性転換が出来るようになった未来。 色々な背景の中、それぞれのストーリー。 とても面白かったです。気になる行方など色々残りますが…

  • 胃もたれ感

    よくあるディストピア系のSFとも見えますが……、 端々に、現在の社会にある個人的な、あるいは構造的な問題の暗喩が込められており、 それらが女性的な眼差しで描かれています。 その中で立場を置き換えられた『男性』がもがきながら、生き方を定めて行くわけですが、 ストーリーはそこで終わります。 なんだかモヤモヤ感というか、腑に落ちないというか、胃もたれ感が残ります。 きっと作者はその胃もたれ感をも共有して欲しいのでしょう。 2025年追記 女性が社会から求められている『女性性』として妊孕性があります。 その典型的な要素として、若さや健康美に裏付けられた性的魅力が挙げられます。 一方で、男性が社会から求められる『男性性』はというと、 『男なら』・『男のくせに』・『それでも男か』・『それでこそ男だ』 これらの文脈で『男』という漢字が象徴している行動規範です。 いわゆる『男社会』とは、この『男』という行動規範を求められる社会で、 男性はこの『男性性』を差し出すことで初めて社会参加を許されています。 そして、女性が『男社会』に臨む場合にも、一定程度『男』という行動規範を求められます。 求められる度合いが大きい業態ほど就労者に占める女性の割合が少なく、 あるいは女性から避けられています。 社会が『男性性』を求め、それを評価軸の一つにしていることが、女性の社会参加を阻んでいる。 フェミニズム的視点から度々指摘されていることです。 およそ女性不在で進められる本作では、男性は『男性性』を社会に差し出しつつ、 『女性性』をも最大限に(妊娠・出産という形で)求められ、ときにそれを強奪されます。 男性による同様の作品の多くで、主題の一つに『男性性』からの解放に基づく自己受容があることと対称的です。 それはおそらく、作者から見た『男社会』なのでしょう。 女性も一定の『男性性』を求められる一方、『女性性』からは解放されないこと、 男女問わず弱い立場にあるほど、よりそれらを搾取される社会。 それを先鋭的に、あるいは極論と言える形でミラーリングしたのが本作です。 男性が『男性性』のみならず『女性性』をも現代の女性以上に求められたなら? 極端な条件を前提とした思考実験をエンタメの体裁で発表したものとも言えるのではないでしょうか。

  • 読んだもやもやと、購入のモヤモヤ

    Wもやもやです。 内容は興味深かったです。女性が激減した近未来日本のへっぽこぶりがリアルに描かれています。 第1章ショウマ、2章ハルトで、女性化に戸惑いながらも家族愛だったり友情を軸に元男達の生き方を模索する姿が描かれます。 莫大な税金をかけてまでの男性から女性への性転換と報酬。女になる義務はあるのに、出産しない選択肢もある。え、なんで?と思った矢先に描かれる3章のタケルでの慰安婦問題。男性社会の闇が前面に出てきます。 なるほど! そっち方向に話が進むのかと思いきや、4章では家族問題(ここに出てくるお父さんが前章に続いて気持ち悪い描写になるのかと覚悟したら、笑える展開で良かった)と絶対的少数派になった女性達が描写され、最後の5章で唐突にストーリが終わります。世界観に対する疑問点は投げ出され、もやもやがつのりました。 購入のモヤモヤ。今回、Amazonさんに返品された中古本を購入しました。「ランク非常に良い・既読であることがわかりました。ダストカバーに小さな損傷」と書かれていました。 確かにカバーの損傷は気にすることがないほど小さなものでしたが、ページの上部には1箇所破れがあり、さらに二ページにわたり茶色のシミが… 全然「非常に良い」ではありませんでした。ちゃんと検品していないんだなと思い残念です。返品も考えましたが、2度にわたって返されては、この本も浮かばれないと思い最後まで読み本棚にしまいました。 内容4、もやもや感3で計☆3・5です。

  • 是非英訳を!

    デストピア小説はユートピア小説と同様に日本で正当に評価されることが少ない。私小説、情緒優先なのでしょう。是非、英訳して日本のデストピア小説を世界に発信して欲しい。 男が女になる選択肢には、自分が描く理想の容貌、そのままの容貌があり、男が女に要求していたことが反転する、あるいは同転(自己愛)するところが秀逸である。他にも「徴兵制」ならぬ「徴産制」、「軍事教練」ならぬ「産事教練」もユーモアたっぷりである。ただ決定的に欠けているのは、子どものことである。国立の養育施設で育つようであり、国の政策を無批判で受け入れる子どもになる可能性が高いと警鐘を鳴らしているが、安易であろう。子どもを自分で育てる場合の幸不幸はどうなるのか。子どもに「出自を知る権利」があるとすれば、どのように説明するのか。マルオは自己妊娠(自分の精子と卵子で妊娠)・出産をしたようであるが(いわゆるクーロン)、なぜ隠そうとするのか。今でも同性婚による代理母(男同士婚)、精子の購入(女同士婚)が行われ、そこには金銭と搾取が介在している。学歴や国籍を偽った男性との間にできた子どもを受け入れることができずに、施設に預けたなど、トラブルは多い。続編では、子どもの成長を巡るデストピア小説を期待したい。ほぼ満点評価であるが、☆4つとして次作を待ちたい。

  • 男性が読んだ感想を知りたい

    すごくシュールだけど、何故かリアリティも感じられて2021年で読んだ本で1番心に響きました。他の方も書かれているように最終章の終わりだけやはり唐突感は否めなかったです。それまで本当に没入して読んでいただけに急な終わりが残念でした。

  • 性別の先にあるもの

    疫病が原因で男が性転換するという軽くないテーマを読みやすく前向きに書いている。 安易な女性讃歌ではなく性別にこだわらない価値観を推していて気持ちがいいが、最終章だけ突然中途半端な話になっていたのが残念。

  • 愛したいし愛されたい

    中編5章で構成されていて、読みやすい。男性が性転換して出産するという奇抜な設定ですが、読み終わって感じたのは、性別に関係無く、人を愛したいし、愛されたいということでした。内容は全く違うけど、篠田節子「斎藤家の核弾頭」の世界観を思い出しました。

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