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つかこうへい正伝 1968-1982

新田次郎文学賞

つかこうへい正伝 1968-1982

長谷川康夫

『つかこうへい正伝 1968-1982』は、長谷川康夫が演出家・劇作家つかこうへいの黄金期を追った評伝である。関係者への取材と自身の記憶をもとに、口立て稽古、劇団の熱気、時代を動かした舞台の力を描き出す。

評伝演劇つかこうへい記憶

作品情報

つかこうへいの舞台が放った熱を、同時代の証言として記録する評伝。

新潮社から単行本として刊行され、のち新潮文庫にも収録された。受賞対象は2015年刊行の単行本で、演劇史の資料性と読み物としての迫力をあわせ持つ。

レビュー要約

  • つかこうへいの創作現場を内部から描く密度が評価されている。演劇史の記録として読める一方、人物の熱量や時代の空気が前面に出るため、評伝としての読み応えも強い。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2015-11-18
ページ数
576ページ
言語
日本語
サイズ
14 x 3.5 x 19.7 cm
ISBN-13
9784103397212
ISBN-10
4103397217
価格
75 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

「役者がウケてんじゃねぇ、俺がウケてんだ! 」 『熱海殺人事件』『蒲田行進曲』を生んだ天才演出家つかこうへい。 空前の「つかブーム」を生んだ黄金期に光を当て、 伝説の〝口立て〟稽古、熱狂の「つか芝居」、 そして人間・つかこうへいを鮮やかに描き出す、比類なき評伝! *「オレより目立つな! 」〝つか伝説〟数々のエピソード *〝つかブーム〟絶頂期の舞台を完全再現 *伝説の稽古〝口立て〟ドキュメント *『蒲田行進曲』主人公「ヤス」は著者の名からとられた! *『熱海殺人事件』『蒲田行進曲』『いつも心に太陽を』ほか、創作秘話多数! ■目次 はじめに 第1章 つかこうへいの誕生 ――詩人から劇作家へ―― 知られざる慶應大学時代/幻の初期作品/著名作家の娘との淡い恋 第2章 演劇界への船出 早稲田大学の劇団「暫」での模索の日々/平田満、三浦洋一との出会い/『郵便屋さんちょっと』 第3章 プロへの助走 つかこうへいと著者の衝撃的な出会い/代表作『熱海殺人事件』の誕生 第4章 ブームの胎動 青山通りに行列が出来たVAN99ホール/『ストリッパー物語』の根岸季衣/『松ヶ浦ゴドー戒』 第5章 「教祖」への道 「つかブーム」到来/紀伊國屋ホール/「つか演出」詳細解説/風間杜夫登場/唯一の失敗作 第6章 頂点でのピリオド 伝説の作劇法「口立て」/〝つか流〟小説執筆法/『いつも心に太陽を』『広島に原爆を落とす日』 映画『蒲田行進曲』と深作欣二/突然の劇団解散 おわりに

長谷川康夫(はせがわ・やすお)/演出家、脚本家。1953年札幌市生まれ。早稲田大学政治経済学部入学後、劇団「暫」に入団。つかこうへいと出会う。その後、『いつも心に太陽を』『広島に原爆を落とす日』『初級革命講座飛龍伝』『蒲田行進曲』など一連のつか作品に出演。82年の「劇団つかこうへい事務所」解散後は劇作家、演出家として多くの舞台作品を発表、92年からは仕事の中心を映画に置き、『亡国のイージス』(2005)で日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞。近年の脚本作品として、『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(11)『柘榴坂の仇討』(14)『起終点駅 ターミナル』(15)などがある。

レビュー

  • 貴重本です。

    つかこうへいさんの生きざまを正に伝える貴重なドキュメントです。

  • 「銀ちゃん」と「ヤス」が同居した強烈な人格を演じきった芝居屋

    「強気」と「弱気」、「熱狂」と「飽き」、「虚栄」と「優しさ」などなど読めば読むほど、たぶん現場で同じ空気を吸った人にしかわからない人間性と時代感が押し寄せてくる。長年の謎だった経歴「慶應大仏哲学科 入学」(仏文科と哲学科はあるが、仏哲学科は存在しない)を自称する心情、慶應出身なのに早稲田の演劇サークルから打って出た事情、そしてそれを切り捨てる冷酷、とにかく役者やスタッフに恵まれて(本書いわく「巡って来る出会いが、ことごとく次の成功へのステップとなった」)、アングラ以降の演劇界をしょってたち「つか以前」と「つか以降」の境界線で歴史に名を残した功績などなど、密度濃く「愛」と「憎」を交差させながら(どちらかというと「憎」が強い感じだが)ある意味たんたんと進んでゆく。 稽古ではハンパない罵倒を繰り返し、気に入らない役者はその場で降板させてしまう「狂気」とその降ろした役者への「優しいフォロー」などエピソードは尽きない。しかも、「演劇論はとにかく表現のディテールのほうが楽しくなってくる」ゆえの「口立て」は逆に文章表現が苦手だったとの指摘はまさに的を突いているし、さらに直木賞までとった小説、エッセイも実は「口立て」で著者たちに口頭でネタを提供し、書きあがった原稿にびっしり赤を入れて、さらに清書させるという創作術、しかもエッセイの中身はほぼすべてが虚構という告白は、「つかへい腹黒日記」「つかへい犯科帳」を愛読していた身としては少なからず驚かさせた。 絶頂期で「わざと」劇団をたたんだ狙いもこの人らしいし、「役者が食えるようになる」ことに腐心するさまもこの人の一面だったのだろう。「つかこうへい」を同時代体験できたひとも、間に合わなかったひともぜひご一読ください。

  • 今になってわかったこと

    最近になってから古本での購入でした。 読み進むうちに、「ああそうだったか」と、思うことが多い。 私はいま63歳になりましたが、19歳のとき、新宿紀伊国屋ホールで 熱海殺人事件をはじめてみました。 初めからびっくりしたり、笑わされたり、涙をこぼしそうになったり。 いろいろ思い出すことが多い本です。 熱海以後もひとり会とかいろんな劇をみました。 演じている人たちもたのしかったんですね。 だから見ている側にも伝わった。 あの頃に帰りたい!って、思いました。

  • よく調べてあるし、何より一緒に空気を吸った方が書いているので

    つかこうへいのことはあまり知らなかったが、 演劇に携わるものとして興味があったので購入。 よく調べてあるし、何より一緒に空気を吸った方が書いていることが貴重。 つかへの距離感も絶妙で良い。

  • その時その場そこにいた人たち

    つかさんに出会ったのはたしか、小説「ジャイアンツは負けない」で、高校生の頃か。 それ以来、文庫化されたつか作品を読み、いつか舞台をと憧れていた。 大学入学で上京し、やっと舞台を観まくれると思ったその年に、つかこうへい事務所解散。 それでも、風間さん平田さんの蒲田行進曲に二度行くことができた。 そんなわたしなので本書を読みながら、通勤電車の中にも拘わらず何度も涙が出そうになった。 もう観れなくなったことが悲しいわけではなく、あの頃あの時が甦ってきてテンションがあがってしまったのだ。 本書が批評やルポルタージュではなく、その時そこにいた人が書いたものならでは、と思う。 この本はつか作品に触れた人にしかわからないよ、という人もいるかもしれない。 それはそうでしょう、その場で体感するしかないのが演劇なのだし、その時その場そこにいる人たちを大切にするのがつか芝居なのだから。 伝説の口伝え、観た人の誰しもが記憶しているだろう選曲、舞台・小説の制作過程など、事実は事実として著者の想いは想いとして、誠実に書かれていてその筆致にも引きずり込まれてしまった。 本書を読むと、他の方が演出するつか作品を観てもひとつ自分の心が躍らなかったのがなんとなくわかる。 なんと言うか・・・、愛の度合い。 その時その場そこにいた人たちを、時に冷静に時に昂揚を抑えることなく書き綴った本書は、いろんな人に読んでもらいたいなあ、と思う。

  • 当時を知るものとして

    とにかく脚本家が書いているので面白い。 事実を書いているのだろうがこれこそ「つかさん」が口述筆記させている気がするのだ。満足する1冊だ。

  • 破けていた!

    表紙が思い切り破けていて、返品した。

  • 著者の父親が気になる

    私はつかこうへいが好きではないし、「鎌田行進曲」のホモソーシャルぶりは嫌いですらある。しかしまあ二つも賞をとったから読んでみたが、二つも賞をやるほどのものではない。つかがこの程度に嫌味でインチキなやつだということはまあ分かっていたし、奇妙に高井有一が描いた立原正秋に似ていた。私はむしろ著者が早稲田を除籍になった時、北海道から電話をかけてきて、早稲田に話をつけておいたと言ったという著者の父親は、早稲田卒の政治家か、学者か実業家か、とそれが妙に気になった。

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