作品情報
白寿まで書き続けた作家の強さと複雑さを、丹念にたどる評伝。
新潮社刊。野上彌生子を、穏健な生活者でありながら九十九歳まで創作を続けた作家として捉え、秘めた恋や家族関係、晩年の長編執筆までを読み解く。
レビュー要約
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対象を理想化せず、長所と弱さをともに見せる評伝として読まれている。長寿の作家の静かな歩みから、晩年の創作に潜む激しさが浮かび上がる。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2011-09-30
- ページ数
- 215ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.7 x 2 x 19.8 cm
- ISBN-13
- 9784103572039
- ISBN-10
- 4103572035
- 価格
- 1980 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 評伝 野上彌生子: 迷路を抜けて森へ : 岩橋 邦枝: 本
レビュー
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たゆみなく創作を続けた強靭な作家の生涯
野上弥生子の作品は『秀吉と利休』『真知子』しか読んでいない私ですが、 99歳の天寿を全うしたこの才女には少なからぬ興味を抱いてきました。 この岩橋邦枝さんの著書は弥生子の初めての本格的な評伝ということですが 他のレビュアーの方も書かれているように、弥生子の美点ばかりでなく そのプライドの高さやナルシスティックな一面にも触れていてまことに興味深いです。 九州の裕福な家に生まれて当時の女性としては最高の教育を受け、家庭教師だった夫野上豊一郎の縁で 漱石に処女作を批評してもらうなど、経済面も人脈にもきわめて恵まれていた弥生子は たゆまぬ努力を重ねて大作家の道を歩みますが、その反面、彼女にひとかたならぬ恩恵を及ぼした豊一郎の 出自を軽蔑したり(豊一郎の方も浮気をするなど模範的な良人ではなかったようですが)、 日記のなかで大いに周囲の人々を批判し、教育ママぶりを発揮し(三人の息子はいずれも大学教授〉、 エリート主義で肩書にこだわったことなど一筋縄ではいかない人柄がうかがえて面白い。 岩橋さんの記述は同性ということもあってかなかなか弥生子に厳しく、 中勘助への恋を「弥生子の一方的な思い入れ」、師漱石を「神経質」と評した点を 「鈍感なのは弥生子の方」と評するなど、手厳しい筆致が目立ちます。 その反面、弥生子のあくことなき知識欲や向上心、勤勉さや細心な心遣いなど 数々の美点に対する称賛も惜しんではいません。 『秀吉と利休』『迷路』などで文学賞を受賞し、知識人として確固たる地位を築いた弥生子ですが、 現代の日本でその名は広く知られているとは言い難いでしょう。 強靭な精神や知性を備えた彼女はやはり日本の文学史において稀有な存在だと思います。 『迷路』に代表される彼女の重厚な作品をいつかじっくり読みたい、と思わされた力のこもった評伝でした。
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著者の筆力に感動
やや辛口の評論と思いましたが、作品を読む際の参考になりました。
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迷路を抜けて森へ
弥生子の生い立ち生涯にわたって作品や交流を通じてよく纏められています
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