日本の文学賞

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草薙の剣

野間文芸賞

草薙の剣

橋本治

日本の近現代を背景に、世代をまたいで受け継がれる価値観や文化の揺らぎを描く長編。神話的な題名を手がかりに、国家、個人、時代の関係を問い直す。

日本近現代世代神話的象徴文化批評

作品情報

草薙の剣は、日本近現代を軸に読者を作品世界へ導く。

日本の近現代を背景に、世代をまたいで受け継がれる価値観や文化の揺らぎを描く長編。神話的な題名を手がかりに、国家、個人、時代の関係を問い直す。 書誌確認では、単行本・文庫として確認できる場合のみ紙書籍の識別子を採用し、雑誌号や掲載媒体の番号は使用していない。

レビュー要約

  • 題材の切り取り方と構成を評価する声があり、背景知識を持つ読者ほど細部の厚みを楽しめる。一方で、密度の高さを重く感じる読者もいる。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2018-03-30
ページ数
347ページ
言語
日本語
サイズ
14 x 2.5 x 19.8 cm
ISBN-13
9784104061150
ISBN-10
4104061158
価格
1870 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

なんで僕はこんなところにいるんだろう? 日本人の心の百年を辿る壮大な長篇小説。62歳から12歳まで、10歳ずつ年の違う6人の男たちを主人公に、その父母や祖父母まで遡るそれぞれの人生を描いて、敗戦、高度経済成長、オイルショック、昭和の終焉、バブル崩壊、二つの大震災を生きた日本人の軌跡を辿る。戦後日本の行き着いた先である現代のありようを根底から問い直す、畢生の長篇小説。作家デビュー40周年記念作品。

レビュー

  • 買ってよかった

    橋本治としては異色作というような感想も多く、あまりおもしろくないのかなとも思い迷いましたが思い切って買ってみてよかった。自分にとってはすごくおもしろい小説でした!これが、橋本治が行き着いたひとつの境地でもあったのかなと様々な意味でいろいろと考えさせられる作品です。繰り返し何度も読みたくなる実はとても深い小説だと思います。

  • なんとなく読む

    それほど惹き込まれるストーリーではない様に思われるのに、何故か読みたくなってしまう、不思議な小説です。

  • 装丁もきれいで問題ありません。

    古い本ですが、装丁もきれいで問題ありませんでした。ありがとうございました。

  • 日本が書かれてます

    退屈な小説です。 昭和の時代に起こったことを背景に、平凡な男たちが平凡な生を送ります。 背景の時代もああそんな事あったねえと、知っている話になります。 で、ここまで但し書きしたら、絶賛してもいいですか? 橋本治はデビュー作の桃尻娘から、超絶的な憑依が真骨頂です。本作では一周巡って、普通にどこにでもある時代の中の人間の人格を掘り出したものです。 時代への圧倒的な知識量を武器に、退屈でややこしい作りの小説をエンターテイメントに昇華し、読後は異なる世代の人に優しくするってどんなことだったっけと思わさせられました。

  • 6人の男の生き方から俯瞰する現代史、戦後の日本人の物語

    登場人物は62才昭生(あきお)、52才豊生(とよお)、42才常生(つねお)、 32才夢生(ゆめお)、22才凪生(なぎお)、12才凡生(なみお)、 この名前に象徴されている彼らの背負った時代。時代の空気と言うべきかも、が 語られている。 それぞれの年代を共有してきた読み手の私達が、彼らの人生に自己を重ねる様に読む、 と、いう物語ではない。 どうして今がこうなのか、これからはどうなって行くのだろうか? この問い掛けを読み手自身がさせられる物語になっているのだと思う。 他の登場人物は一切名前が無い。~の父であったり、~の兄、母としか表現されていない。 そぎ落とされた個人は現代史の一行に凝縮されてしまった、私たち一人一人であろうと思える。 誰かのせい、社会が悪い、運やツキが無かった。そういう言葉で言いかえる事も出来るけれど、 そうではなく、彼らの人生を読み手も寄り添いながら考えようと語り手(橋本治)は語っている。 歴史の年表はざっくり出来事を連ねるだけだが、その一行に何万人もの実際の「生」が埋もれている。 イギリスの歴史小説作家、サトクリフも言うように一人一人の生き様は、年表の一行では現せない。 一人一人にきちんと焦点を絞る事で、歴史の行間を読み解くことが出来ると。 名前に象徴される「時代」に生きた日本人をモデル像にして時代を俯瞰しているのだと思う。 この作品はそういう物語になっている。橋本治は本当に凄い人だと思う。

  • 無機質とも思える文章が語りかけるものは……

    十代から六十代までの6人の男性が主人公の小説。 戦後の日本を、彼らが生きてゆく。それぞれの価値観で、それぞれの人生を。 親と子のすれ違いも多く描かれるが、深刻な状況までにはならない。 親たちが、「リアリティのある生活」を生きているのに対して、 息子たちはどこかふわふわしている。まるで凡庸な風景のように没個性的でもある。 しかしこの本の主人公は、この没個性的な6人なのである。 橋本治は、戦後というものを、彼らのふわふわした時代だと言いたいのだと思う。 文章も、感情を排除したようにドライだ。 そうすることで、戦後を「歴史の中」として描くのではなく、 「単なる時間の経過の中」として描こうとしたのだろう。 しかし橋本治は、戦後を侮蔑しているわけではない。 むしろ、「こんな無意味な時代だったけど、それでもいいじゃないか」と言っているように思える。 非常に深い物語である。

  • 男たちの歴史

    橋本治は桃尻娘以来評論を主に読んできました 小説をまともに読んだのは桃尻娘シリーズをフォローしてきて最後のを読んで以来です 予想していた通り橋本治の文体は情緒や感情に訴えることが少なく、感情移入して読むのには向きません 因果関係を想像しながら読むことになり、しかも明快な正解は提示されません それでも ここには他の本には絶対にない視点があり 幸せとは何かを考える 戦前からの世の中と人の関係を俯瞰的に見れるようにする 一般的に表現媒体では語られづらい男の内面を女や世の中との関係から少しずつ解き明かそうと試みています これらの視点を合わせて一つの読み物で表現したものは、自分は読書家ではありませんが稀有なものだ思います それはとりもなおさずこれはエンタメとしてよりは著者と読者が生きるための教養としての小説として書かれたということと思います 日本人に必要ななのに教育に全く欠落している現代史の視点 今生きる私達に全く欠落している祖父母の人生に思いを致す視点 現代に生きる人とくに男自身に欠落している男の人生とは?という視点 私達に欠落しているものを作者はやさしく控えめに語りかけるように提示し続けてくれているのです

  • 面白くも何ともない。

    山崎豊子の小説が、登場人物が類型的だと批判されるのを、人間は類型的なものだと反論した橋本が、類型的な人間を描いた小説らしいが、まったくの実験小説で、面白くもおかしくもない。まったく珍妙な小説である。これで野間文芸賞。

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