作品情報
檜舞台を脇から支える十人の役者が、自身の芸と人生を語る。
『花の脇役』は、歌舞伎の名脇役十人への聞き書きを収めた一冊である。主役の陰で舞台を支える役者たちの修業、師匠との関係、楽屋での出来事を通して、歌舞伎の芸が受け継がれる現場を描く。名の知られたスターだけでは見えない、舞台を成立させる人々の矜持と個性に光を当てた作品。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1996-03-01
- ページ数
- 225ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784104109012
- ISBN-10
- 4104109010
- 価格
- 2897 JPY
- カテゴリ
- 本/アート・建築・デザイン/日本の伝統文化/歌舞伎・文楽・能
第12回(1996年) 講談社エッセイ賞受賞
レビュー
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でも、今も良く分からない
渡辺保さんによれば、歌舞伎は今も徳川時代と同じ身分制度の上に成立しているらしい。門閥は士農工商と同じ。門閥外の人と門閥の人とは身分が違う。だから脇役は一生脇役。御曹司は若くても主役。でもさ、今はもう平成だぜ、21世紀だぜ、何で彼らはそれで満足なの?革命はないのか?明治維新は?と昔から疑問を持っていたが、この本である程度理解できた。 脇役の人たちは、名門出身の役者が大好きで(名門だからというよりは、既に名優だからということがきっかけなんだろうけど)、そのそばにいられることだけで幸せ(満足かどうかは別として)なんだろう。芝居という世界に暮らすことが好きなんだろう。下北沢で演劇を目指す若者が、個人の技量と個性で、将来を目指すのとはちょっと違う世界があるようだ。といったことが、関さんの魅力的な文章で、すんなり頭に入った。
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歌舞伎初心者でも楽しめます
歌舞伎の脇役の人たち,特に名脇役といわれる人たちの情報はなかなかわからない.そういった人たち一人一人にインタビューし,語ってもらった内容が納められている. 実際,この本を読んで,脇役の演技に注目する楽しみを知った.脇役に詳しくなくても,舞台で脇役がどんなことをするのか(後見や,刺客や腰元役など)も詳細に語られていて,面白い. 実際に歌舞伎を見て「わあ,体操選手みたい!」と思った人もこの本に出ていて,「あ,それであのときのあの役ができるのか!」と気づいたりと,ちょっと通になった気分も味わえる. そしてやはり,登場する脇役の師匠に対する敬愛の深さや謙虚さが素直に語られ,なおのこと主役級の歌舞伎役者の偉大さが強調されている.師匠と実際に生活をともにしてきた脇役の人たちの言葉を通して,主役級の歌舞伎役者の偉大さを知ることもでき,読んでいてとても楽しい内容だった.
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名著が廉価で手に入る幸せ
「歌舞伎が好きだ」という人ならぜひ一読すべき本である。マスコミは、主役を演じるいわゆる御曹司にばかり目を向けるが、関のこの本を始めとする「脇役」ものは、当代随一の歌舞伎芸談の書き手による、脇役たちの物語。けれどベテランである関の文章には、変な力が入っていない。「一見さんお断り」みたいなところもない。普通に歌舞伎の好きな人なら、楽しく読める。なかでも、御曹司中村勘九郎の舞台稽古を見たあと、中村屋の番頭格、中村助五郎の稽古を見ずに帰っていく松竹社長永山武臣が助五郎に「きみがうまいのはわかってるから」と言う場面など、鮮やかである。これを読めば筋書きの見方も変わるだろう。こんな名著が文庫版で読めるのは、幸せである。
関連する文学賞
- 講談社エッセイ賞 第12回(1996年) ・受賞