世界の果ての庭: ショート・ストーリーズ
イギリスの庭園、江戸の辻斬り、脱走兵、若返る病にかかった母、恋、謎の言葉。多彩な断片が連鎖し、いくつもの物語が交錯していく実験的な幻想小説。
作品情報
庭園から江戸へ、断片的な物語が重なりながら世界の果てへ向かう。
第14回日本ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。受賞時の題は『ショート・ストーリーズ』で、刊行時に『世界の果ての庭』へ改題された。多数の短い物語を仕掛けとして結び、幻想と怪奇の気配を帯びた世界を組み立てる創作デビュー作。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2002-12-01
- ページ数
- 197ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784104572014
- ISBN-10
- 4104572012
- 価格
- 229 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
Amazonで西崎 憲の世界の果ての庭: ショート・ストーリーズ。アマゾンならポイント還元本が多数。西崎 憲作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また世界の果ての庭: ショート・ストーリーズもアマゾン配送商品なら通常配送無料。
レビュー
-
どこをどう楽しんでいいのかわからない…
様々な人物が主人公となって自分の体験を繰り返し語るショートストーリーを集めて長編にした感じ。一番ファンタジーっぽい話が「村上春樹が書くファンタジーもどき」もどきみたいな感じで、いまいち。あとは、自分の母親が若返る話。時代小説っぽい話。「庭」に関する評論など。 僕は時代・歴史小説の何が面白いか理解できない人間だし、短歌などに関わる話も出てくるが、短歌なんかに興味ありません。てゆうか、読み飛ばしました。なんだか騙された気分。
-
庭
読んでサラッとしたほんわかしたよーな気持ちに浚われた。ファンタジーを混ぜながら詩に関する文学的な教養もあり意外性があった。
-
ショートストーリーの迷宮
ショートストーリーズという副題にみせられて眼を通してみたのだが、やられました。確と書かれたわけではないのですが、話の一つ一つが奇妙な係わり合いを見せてつながっていきます。 語り口が、女性や、男性、娘、時代小説風といろいろ組み込まれているのですが、どれもすっきりしていて、いい水でも飲むみたいに自然に体に入りました。 ただ、自分が最初にファンタジーってことに気付かずに読み始めたのが悪いのですが、いくつか宙ぶらりんのまま終わってしまったような気がします。
-
不思議な本です。
5つくらいの独立したお話が、入れ替わり立ち替わりしながら進んでいきます。 頭の悪い私にはラストまで読んでも、どう関連しているのか、よくわかりませんでした。 特に江戸時代の話はなんだったのだろう? ですが、読み終わった後、ある種、独特な清々しさを感じました。 ただし、他の人が読めば、わけわからん、となるのかもしれません。 それはそれで正しいのだと思います。
-
解説、説明なんていらない。
複数の短篇が絶妙に絡み合い、一つの「何か」を浮かび 上がらせる壮大で美しい物語。 並みの作家なら逃げてしまうようなところに挑戦し、見事に 着地の決まった貴重な一冊です。 読み終えて、感動に打ち震えました。
-
通して読んで、飛ばして読んで
「庭」に関心を持つ小説家と日本の近世思想・国学を研究するアメリカ人との恋愛、その小説家の書く小説、アメリカ人の研究対象者について、次元の異なる世界をさまよう脱走兵の話 ― 様々な世界がが数ページずつ入れ替わり立ち代り描かれる。 どの世界もどろどろしたものや激しい起伏がなく、淡々とつづられるが、ついひきこまれてしまう。そして、それぞれの話が終わったとき、「この先はどうなるんだろう」という余韻が長く尾をひく。 しかしそれは逆にいえば盛り上がりに欠け、いささか心象風景の描写に偏りすぎているという言い方もできる。したがって最後のページまで来たときには「・・・だからそれでどうだっての?」という感想を抱く人もあろうと思われるが、この辺はもう完全に、読み手の好みの問題だと思う。 私は今、それぞれの話だけを通して読んでみている。どれも、きれいな短編だと、私は思う。
-
読み手も手練れでないと・・・
売れるタイプの小説ではありません。著者は翻訳家としてのキャリアも十分ある人で、最近のポット出の若者の「受賞作」や泣きどころみえみえのベストセラーにうんざりしている、通好みの小説愛好家にはおすすめ。 一見、単調な分、深い。結末は、うまくまとめてしまった感は否めませんが、 読み進めるあいだは、久しく味わっていなかった読書の興奮と幸福を味わうことができました。 この本を楽しめる能力のある読書家が増えることを祈ります。
-
なんで「物語」には「結末」がなくてはならないのだろう?
英国式の庭園を偏愛する作家リコの一人語りから開幕した物語は、院生時代、教授と深い関係になって英国に留学したりするリコの回想、パーティでであった近世日本文学研究者のアメリカ人・スマイスとの関係、スマイスの研究対象でもある幕末期の文人、御杖がスマイスの祖父の手紙の中に書いた暗号じみた文章の謎、儀仗の小説「辻斬り」の抜粋か粗筋らしい文章、どうやらリコの祖父でもあるらしい、旧陸軍脱走兵が体験する奇妙な死語の世界の放浪記、リコの回想なのか創作なのか、「何年も前に家を出て、帰還してきた母が若返っていく」という物語、などが断章として配置され、展開していく。ページの最初から読み進めていくと、分岐していく複数の物語を平行して追いかけていく形になる。そして、一旦分岐したそれぞれのエピソードは、必ずしも合流はせず、それぞれに分岐したまま、それぞれそれなりの「結末」を迎える。 一見無秩序で「ゆるい繋がり」しかもたないように思わるそれぞれのエピソード群も、端正で揺るぎのない文章もあってか共通した印象を受けたわけで、なんでそう思ったのか読後しばらく頭の隅に引っかかっていたわけですが、「時間」と「空間」、というキーワードを思いついた途端、個人的に、なんとなく腑に落ちました。公的でも私的でもない「庭」という「空間」を散策することを好むリコ、おおよそ「無限大」といっていい、人工的な死後の世界をさまよう脱走兵、現代のエピソードとリコの過去の回想、それに近世の文人の事跡や小説が等分に比重を置いて語られる構成、なにより、「どんどん若返っていく母」という、「時間を遡る」設定などを考慮すると、やはり、「時間」や「空間」的な制約を緩め、読者に横断的に視点を与えようとしている著者の意図を感じないわけにはいかないわけで、それはちょうと、庭園を散策する際、時間帯が異なれば、光線の加減が違って、同じ庭でも別の顔を見せるような感じで、そういう意味では、本書自体が、それなりに複雑な隘路を縦横に走らせた「庭園」で「読者」という散策者を待っている、ということもいえるかと。