すばらしい新世界 (中公文庫 い 3-6)
『すばらしい新世界』は、旅、科学、文明論を往復しながら、二十一世紀を前にした世界の変化を見つめる池澤夏樹の作品です。好奇心と批評性が同居し、未知の土地や技術を通して、人間がどのような未来を選ぶのかを問いかけます。
作品情報
世界の新しさに触れる旅は、未来を考えるための思索へ変わっていく。
池澤夏樹が世界各地の現場と知の話題をたどり、変わりゆく文明の姿を描く作品です。単なる紀行ではなく、科学技術や社会の動きが人間の生活をどう変えるのかを考える思索的な読み物になっています。
レビュー要約
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広い視野と明晰な語り口が支持される。時代の変化を追う内容のため古さを感じる部分もあるが、考えながら世界を見る姿勢に読み応えがある。
書籍情報
- 出版社
- 中央公論新社
- 発売日
- 2003-10-25
- ページ数
- 723ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784122042704
- ISBN-10
- 4122042704
- 価格
- 1362 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
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レビュー
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宝石のような
宝石のような思いが散りばめられた小説だと思いました。私は50代半ばですが、その一つ一つが良い意味で心に引っかかって、そのページを読み返しました。科学と宗教の対比、がこの小説への私の読み方ですが、どの神様に手を合わせるか、ではなく、自らの心の問題である、のくだりは漠とした覆いを剥がしてもらった感じがしました。途中からは読むことを止められなくなりました。
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風を捕まえる物語
主人公は風を捕まえるために世界の屋根を目指す。世界の屋根は素朴で敬虔な世界が広がっている。妻と息子との会話を通して、私たちは新しい・素晴らしい世界に触れることが出来る。出来ることならイラストを大きくして欲しかった。
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分厚いけれど読み易い
「光の指で触れよ」の前編にあたる作品 「光の指で触れよ」を先に読んだのですが、特に問題無しです 大企業で風車の開発設計技術者である天野林太郎 途上国へのボランティア活動を主とするNGO団体で広報関係の仕事に携わっている妻・アユミ(離婚歴あり) 小学校五年生の息子・森介(不登校歴あり) 家族間では常に論理的、建設的な会話が交わされ、絶対的な信頼関係が築かれている アユミを通してチベットのNGO団体から灌漑用の電気を起こすための風車を建ててくれないかという依頼が来る ヒマラヤの奥地へ赴いた林太郎はそこの文化や習慣に触れ、そこで暮らす人々に深く惹かれていく 環境問題 途上国援助問題 民族問題 家族問題 すばらしい新世界は本当に存在するのだろうか 改めて考えさせられます 最後には林太郎と森介が、偶然発見されたテルマ(埋蔵経典)を中国の手に落ちる前にインドに亡命中の第14世ダライ・ラマ猊下に届けるというオマケまでついていて、ちょっと楽しめます この作品では林太郎と森介が日本から飛び出しているのですが 光の指〜 ではアユミとその後に生れた娘がヨーロッパに行きます 「きみの方が仕事に夢中になって、ぼくが森介と一緒に待つという時期もいずれあるんじゃないか。ぼくが淋しい顔をする時期だってあるんじゃないか」 何度もチベットへ行く夫に淋しいと訴えるアユミに林太郎が語る言葉 続編を予感させますね 最も、アユミと下の娘がヨーロッパに向かったの理由は仕事ではなかったのですが…
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ハックスリーの同名作品のパロディ作品を期待したが…。
ハックスリーの古典的ディストピア小説「すばらしい新世界」と題が同じだったので、それにひねりを加えたパロディ作品と思って読み始めたが、内容がたわいもないエコ啓蒙作品でしかも400頁以上と分量が多すぎたので途中で投げ出してしまった。池澤氏の作品は爽やかな読後感がある作品が多く、それはエンターテインメントとしては好いのだが、もう少し深刻な重厚な内容の作品も読んでみたいと思うのは自分だけだろうか。
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ぼくのイチオシです。
僕らは社会や文明や国や宗教や民族など、様々なモノと関係して生活をしている。 日常生活を送っていると、ーーー特に生活が必要以上に便利になった日本という国に住んでいると、世界が小さくなってしまう。 情報は世界と繋がっている。でも、そこには深みがない。人の、土地の、臭いがない。 観念化された生活。 大きな不満がないから考えない。それは、しあわせな状態なのだろうか。 ほとんどの日本人のなかに神はいない。それはそれでいいと思う。僕の中にも神はいない。でも、自分より大きな存在がいないということはいいことなのだろうか。 人間のできるとこは、実はとても小さく僅かなもの。 そう思えることは幸せなことではないだろうか。 そんな思索にむかえるヒントがちりばめられている。 すばらしくて新しい世界が拓ける言葉が本書にはある。 この本に出会えたことは、しあわせ以外なにものでもない。
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とてもいい本です。
これは贈答用に購入しました。すでに読んだ本であり、知人にあげようとあちこち本屋を探したのですが、少々以前にでたこともあって、なかなか見つからず、「神頼み」のアマゾンでゲットしました。池澤夏樹の文章はとてもしなやかで、上品です。この物語は家族の物語ですが、スケールが大きく、最後には幸せな気持ちにさせてくれます。すべての方におすすめしたいと思います。
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国際関係論を学ぶ学生は必読、でも「国際支援」って??て人にこそおすすめ!!
ネパール旅行中に日本人向けドミトリーで見かけて読み切りました。国際関係論を学ぶ学生や海外支援に携わる方にとっては必読書だと思いますし、「国際支援」や「海外バックパッカー」などに全く無関係な人こそ、この本を通じて途上国への想像力を膨らませて欲しいと思える一冊です。林太郎とあゆみの軽快でコミカルなセリフのやりとりが楽しいので、文量や内容の多さに対して、サクサク読み進められます。
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10年後に読むと
震災後、2011年に読むと、これは時代を先取りしてたものだとわかる。大規模な発電所から全体に電気を送るのではなく、小規模な風力発電をたくさん作りそれぞれの地域で自給した方がいい、と言う主張がなんどか出てくるが、原発事故後には本当にそうだ、10年前にもっと手を打っていたら、と思わされる。また、近年日本企業が海外での業績を下げていて韓国企業やアメリカ企業に押されている、というのも海外に新たに風力発電をつくる、なんていう大胆なことができなくなったせいなのでは、と思わされる。10年前はそういう精神を持った人たちもいたのに、この10年に駆逐されてしまったのだろうか。そういう意味では時代を先取りしていて今読んでもそれなりに楽しめるものだと思う。 ただ、ヒマラヤの描写があまりにもきれいすぎて、実際に長く住んでいる人は違和感を覚えることは明らか。ちょっとした問題は出てくるがそれはすぐにきれいに済まされてしまう。しかし、実際はトレッカーにお菓子やお金をもらい過ぎた子供たちがもっとくれとねだり、あげなければ間違った道を教えるとか、NGOはビジネス、就職機会だと考えている人達は少なくなく、汚職や外国人に対する恐喝、窃盗、お金持ちになるために結婚を持ちかけるなどといった行為も少なくない。チベット仏教にしても、かつては僧院が最も上の立場にあったが、旅行者の増加でホテル業でお金持ちになった人たちが上に位置するようになってきた、と指摘している研究者もいる。確かに実在のNGOやホテル、人物を調べてそれと同じような形でかいているから、それなりに調べはしたのだろうけど、旅行者の域を脱していない。もちろん、ダークサイドばかりを書く必要もないのだが、あまりに話がきれいすぎて、『失われた地平線』を思い出してしまうような内容。これを読んでうっとりしてヒマラヤに行った人たちは現実を知って落胆するんじゃないだろうか。研究者の書いた論文を読むとまで行かずとも、山本真弓さんの本と読み比べてもらえば、ヒマラヤに行ったことが無い人でもこの違和感がわかるんじゃないかと思う。