作品情報
「壊れたフラクタル」かもしれないことばの不思議を、数理と思想の両面から読み解く。
人間のことばは、時代や言語やジャンルを超えてどのような普遍性を持つのか。本書は、現代の計算機言語学が示す現象を手がかりに、統計的な分布、長期記憶、再帰性、自己相似性といった観点から、言語の構造を立体的に描き出す。東京大学出版会から刊行された日本語版で、電子書籍版も用意されている。
書籍情報
- 出版社
- 東京大学出版会
- 発売日
- 2021-05-31
- ページ数
- 344ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 15.5 x 2.5 x 21.8 cm
- ISBN-13
- 9784130802574
- ISBN-10
- 4130802577
- 価格
- 4840 JPY
- カテゴリ
- 本/人文・思想/言語学/言語研究・記号学
第75回 毎日出版文化賞(自然科学部門)受賞 「壊れたフラクタル」? 膨大なデータに分け入り、言語の統計的普遍に挑む これほど複雑・多様かつ変化する人間のことばにあって、どんな時代の、どんな言語の、どんなジャンルでも成り立つという「統計的言語普遍」。現代の計算機言語学が提示する不思議を検証し、その意味を考えることから、人間の記号使用の深奥に迫ってゆく。東京大学出版会創立70周年記念出版。 【主要目次】 第I部 導入 第1章 はじめに 第2章 普遍 第3章 複雑系としての言語 第II部 要素の分布の特性: 開放性・稀少性 第4章 順位頻度分布 第5章 Zipf 則の普遍性 第6章 派生的な冪乗則 第III部 系列の特性: 塊現象・長期記憶 第7章 単語の出現間隔分布 第8章 長相関 第9章 ゆらぎ 第10章 複雑さ 第IV部 統計的言語普遍から言語の部分構造へ 第11章 言語要素の分節 第12章 単語の意味・価値 第13章 要素の大きさと頻度 第14章 長期記憶と文法構造 第V部 統計的言語普遍と言語の数理モデル 第15章 Zipf則に関する理論的考察 第16章 数学的生成モデル 第17章 言語モデル 第VI部 思索的考察 第18章 再帰性・自己相似性と記号 第19章 言語ゲームと稀少性 第20章 統計的言語普遍と「構造」 結語 第21章 結語 謝辞 付記 1 用語と記法 2 数学的補足 3 データ
田中久美子 (たなか・くみこ) 東京大学先端科学技術研究センター教授。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了、博士(工学)。工業技術院電子技術総合研究所、東京大学大学院情報学環講師、東京大学大学院情報理工学系研究科准教授、九州大学システム情報科学研究院教授を経て、2016年より現職。自然言語や記号系に普遍に内在する数理構造に興味を持つ。著書に本書の前著となる『記号と再帰』(東京大学出版会、第32回サントリー学芸賞、第19回大川出版賞受賞)など。
レビュー
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統計力学寄りの統計的分析
Springer 社出版の同著者による「Statistical Universals of Language, Mathematical Chance vs. Human Choice」の邦訳。ただし、第Ⅵ章は日本の人文学系のために新しく付された章である(言語研究が人文学に属するという日本のアカデミアの現状をここに見ることができる)。Springer 版と同じく本書も2021年出版である。本書は統計力学寄りの言語分析であり、単語ベクトルなどの大規模言語モデルに関する計算言語学・自然言語処理的な分析は少ないことが残念な点である。課題に挑むために、社会物理学が物理学の道具を用いるのに対して、情報系のネットワーク科学がGNNなどの情報科学の道具を用いるという対比に相似かもしれない。
関連する文学賞
- 毎日出版文化賞 第75回(2021年) ・受賞