モスクワ特派員物語 エルミタージュの緞帳(どんちょう)
『エルミタージュの緞帳』は、小林和男によるエッセイの作品。日本エッセイスト・クラブ賞で評価された作品として、作者の関心や時代性が表れた一作である。
作品情報
日本エッセイスト・クラブ賞で注目された、小林和男の個性がうかがえる作品。
『エルミタージュの緞帳』は、日本エッセイスト・クラブ賞の受賞作として知られる作品である。エッセイの領域で読まれ、題名が示す世界や問題意識を通じて、作者の表現の特徴に触れられる。
書籍情報
- 出版社
- NHK出版
- 発売日
- 1997-09-01
- ページ数
- 262ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 19 x 13.8 x 2.6 cm
- ISBN-13
- 9784140803349
- ISBN-10
- 4140803347
- 価格
- 41 JPY
- カテゴリ
- 本/社会・政治/外交・国際関係/エリアスタディ/ロシア・ソビエト連邦
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レビュー
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読めば読むほど味わい深い旧ソ連の崩壊をエリートの喜怒哀楽を通じて描く優れた歴史書
スターリンは恐怖政治で国民を従わせ、共産主義社会を作りあげた。悲惨な経済社会の現実をウソで隠し国民及び諸外国にロシアの共産主義社会のすばらしさを宣伝した。日本人の一部も共産主義社会に憧れた。 著者はこの共産主義社会が問題山積でウソを守りきれなくなって崩壊する過程で多くの旧ソ連圏のエリートと出会った。殆どの旧ソ連のエリートが先輩或いは仲間から自分が社会的に高い地位を与えられ、指導されたにもかかわらず、政治状況が変わって、自分の利益を追求するために裏切る様が書かれている。裏切られたエリートは、社会の上層部から脱落し無念を噛みしめる。その無念さは、殆どの普通の日本人には恐らく耐え難いと思われる。 しかし、この種の裏切りは旧ソ連社会に特有だろうか。身近な日本や米国の政治状況を観察すれば、旧ソ連圏の裏切りに匹敵することは数多く観察される。例えば日本では、普天間基地の海外・県外移転の政治家のウソは、沖縄人にとって限りなく耐え難いことと思われる。また、米国では、トヨタのハイブリッド車の事故の原因としてハイブリッド車の構造的欠陥は無いとする事実を掴みながら、米国政府及び米国社会は米国民に迎合して、トヨタ車に構造的欠陥があるとしてトヨタを攻め続けた。すさまじい裏切りは民主主義国でも起こっている。民意がいい加減であれば、民主主義国は腐敗する。民主主義が万能ではない。 読了後、ロシア、旧ソ連は、エリートの不正が多いにもかかわらず、依然として存在しているので、世の中は、わずかに善意が勝っていることを信じることが出来た。不正、裏切りなどに出会ったら、それに耐える抵抗力が付いたような気がする。世の中は、善と悪が背中合わせで成り立っていることは否定できない事実である。 どこの国でも大切なことは事実の把握(報道の自由)とその認識による正しい行動である。このウソ・裏切りを知らないで正義や誠実だけを信じる若者がいるとしたら、その方々には生きる力を一層強くするために一読を勧める。 読めば読むほど、あたらしい味を感じることが出来る、私の一生で初めて出会った名著である。
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懐かしい小林さん
学生時代、NHKの小林さんとTBSの金平さんはモスクワ特派員としてお馴染みの顔でした。その小林さんの本を発見し、嬉しくて買っちゃいました。当時は放送できなかったことがたくさんあったはず・・・。 日本でもよく知られた政治家や著名人、事件を題材に、読者の好奇心を満たしてくれるのは嬉しいですね。特派員って長くなるとそんなに親しくなれるものなのか?!って驚きもありました。それでもやや物足りなさを感じてしまうのは、やはりNHKというか、お行儀の良さでしょうか。そこまで言ったならもう一言欲しい、ってのは正直あります。小林さん自身の本音というか。そこを打破出来ない(敢えて踏みとどまる)のがNHKなのかな・・・。 放送では限られた時間しかなくて、きっと伝えたくても伝えられなかったことがたくさんあったのでしょう。単なる裏話やソ連・ロシアの実情だけに留まらない「僕はこれを伝えたかったんだ。こういうことも日本の人に知って欲しかったんだ」という、ジャーナリスト気質が随所に溢れていました。 それにしても、豊富な知識はさすがです。政治機構や体制の細部、有名人達の経歴、人脈繋がり、庶民生活の実態裏側。守備範囲が広いていうんでしょうか。当然とはいえ、実にいろんなことを勉強されている方だと思いました。特派員兼論説委員みたいで、話を楽しむだけじゃなく勉強になりました。知的で行動派なのが特派員なのですね。不思議、意味わかんない、って感じてたソ連や東欧の謎が「そういうことだったんだ!」って解決してもらった感じがします。 知的な文章ながら、いつも興奮気味にモスクワから語っていた、小林さんらしい熱さを感じる内容でした。
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タイトルの秘密が最後に明かされます。
随所に、ユーモアが挿入されていて、あきらせません。アッという間に読み切ってしまいました。この書籍の白眉とも言える、タイトルの秘密が最後に明かされます。なんで、この表紙なのかも解明されます。一人でも多くの人に読んでもらいたい一書です。 五つ星評価します。
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ソルジェニーツィンよ、お前もか
ロシアは、不思議の国である。読めば読むほど、私は、この国が分からなく成る。--この本は、1980年代と1990年代に、NHKの支局長として、モスクワで生活したジャーナリストの小林和男氏が、自身の体験を絡めて、ソ連とソ連崩壊後のロシアの政治、社会、文化について語った、興味深い一書である。ロシア文学者の木村浩氏の「ソ連を視る眼」(教育社・1987年)と同様、ソ連が「社会主義」を脱して行く数十年間の模様を、著者が、自身の体験談を混えて書いた回想したこの本は、とにかく面白い。その中で、ロシアと言ふ国について、私が、一つだけ羨ましいと思ったのは、この国の社会において、文化が占める役割の大きさである。--これだけは、本当に、ロシアが羨ましい。だが、他の事はどうか?・・・・・--一つ、ショッキングだったのは、「ソルジェニーツィンへの冷笑」と題された章(188ページから191ページ)であった。十代の頃、この作家(ソルジェニーツィン)の作品に感動し、深い影響を受けた私にとって、この作家すらが、お金に執着する「文化人」と化してしまって居る模様を赤裸々に語ったこの章の内容は、ショッキングであった。これが、「自由」と言ふ物なのだろうか?この本を読んで、私は、ますます、この国(ロシア)が分からなく成った。(西岡昌紀/内科医)
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テレビでおなじみのあの方
かつて「モスクワからお伝えしました」とテレビに出ていたのが印象的な小林和男さんの本です。いろんな話題について書かれていますので、ちょっとした時間に開いたページを読んでみることもできますし、じっくり時間をかけて通して読むことも出来ます。ソ連・ロシアで生活しながら取材活動をする中で出会った人々・出来事についてたくさん書かれています。 テレビや新聞で知っているロシアの姿と、この本を読んで感じる姿は異なって感じられました。どちらが正しいかは私には分かりませんが、これを読んだらきっとロシアに対する新しい認識ができると思います。また、ロシアに対する関心も高くなると思います。ロシアに興味のある方は読んでみてはいかがでしょうか。
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ロシア人の「誇りとたくましさ」
激動のソ連邦崩壊とロシアの新出発。誰がどう幕を引いたのか、お馴染みのつもりだった政界の面々の知らなかった姿が見えました。 そんな中でも、芸術に対して脈打つロシア人の誇りとたくましさには「万歳!」でした。