日本の文学賞

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猟犬 (ハヤカワ・ミステリ 1892)

ガラスの鍵賞

猟犬 (ハヤカワ・ミステリ 1892)

ヨルン・リーエル・ホルスト

ウィリアム・ヴィスティングが過去の殺人事件をめぐる証拠捏造疑惑に巻き込まれ、追う側から追われる側へ反転する北欧警察小説。捜査の現実感と家族の視点を重ね、真相に迫る緊張を持続させる。

警察小説冤罪北欧ミステリ

作品情報

追う者が追われる立場に置かれる、緻密な警察小説。

過去の事件の再調査を軸に、職業倫理と家族の関係を絡めた犯罪小説として紹介できる。

レビュー要約

  • 作品の構成と題材の切り取り方が評価され、受賞歴や書誌情報からも同時代の表現として注目されたことが確認できる。

書籍情報

出版社
早川書房
発売日
2015-02-05
ページ数
403ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784150018924
ISBN-10
4150018928
価格
1870 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

三冠受賞! 「ガラスの鍵」賞、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞 証拠捏造疑惑をかけられた刑事は、名誉をかけて事件の真実を探る。北欧のミステリ賞を独占した傑作警察小説。 17年前の誘拐殺人事件で容疑者有罪の決め手となった証拠は偽造されていた。捜査を指揮した刑事ヴィスティングは責任を問われて停職処分を受ける。自分の知らないところで何が行なわれたのか? そして真犯人は誰なのか? 世間から白眼視されるなか、新聞記者の娘リーネに助けられながら、ヴィスティングはひとり真相を追う。しかしそのとき、新たな事件が起きていた……。北欧ミステリの最高峰「ガラスの鍵」賞をはじめ、マルティン・ベック賞、ゴールデン・リボルバー賞の三冠に輝いたノルウェーの傑作警察小説

1970年、ノルウェー生まれ。警察官として勤務しながら、2004年に作家デビュー。本書で「ガラスの鍵」賞などの有名ミステリ賞を受賞。ノルウェーで高く評価される人気作家である。

レビュー

  • 証拠ねつ造始末記 現役警察官による内省の書

    主人公ヴィスティング刑事が担当した17年前の女性誘拐殺人事件の元受刑者が、DNA鑑定の証拠ねつ造を訴えて再審請求し、主人公は責任を問われて職務停止となるというショッキングな場面から物語は始まる。 ねつ造の有無が問題なのかと思いきや、タバコの吸い殻のすり替えによる証拠ねつ造は否定しがたい事実とされ、その真相究明と補強証拠探しが物語の1つの柱となる。 同時に、新聞記者をしている主人公の娘が遭遇した殺人事件の追跡が17年前の事件と交錯するように進み、さらに新たな少女誘拐事件の発生も加わり、ミステリーの糸を重層的に紡いでいく。 親子協力しての事件解明はややでき過ぎの感もあるが、捜査のディテールがしっかり描かれていて、読み応えがある。 著者は本作品当時は現役の警察官だったというが、証拠ねつ造という警察にとって痛い話を内省を込めてよく書いている。特に、見込み捜査が捜査官の視野を獲物を追う猟犬のように狭くする危険性を繰り返し警告している点は重要である。加えて、重大事件でマスコミや政治家の圧力がある場合の捜査官の追い込まれた心理も冤罪の背景として指摘される。この点、本書では冒頭から最後までマスコミのセンセーショナリズムが批判的に描かれるが、これも現役捜査官の実感なのであろう。

  • 今から

    まだ読み終わっていませんが、興味津々です。

  • まさに猟犬!

    アマゾンのお導きのままに、エーレンデュル、ヴァランダー、マルティン・ベック、ヴィスティング、と流れ流れて、すっかり北欧ミステリーのファンとなりました。嗜好を先取りされるのは癪ではありますが、たまにはこういうのもイイネと思いました。 静かに迫るヴィスティングと、とにかくタフに動き回るリーネと、退職した元警察官たちの執念で、獲物を追い詰める姿は、まさに猟犬。 一方で、昔の事件当時の、捜査範囲を徐々に狭めつつ、犯人を追い込もうとする捜査員達も猟犬達であり、ハーグルンを4台の車で追跡する新聞社員達も猟犬たちに見えます。ちなみに、このカーチェイスの描写は面白い。しかし、雨の中、車で尾行しながら、携帯電話を駆使するリーネは、ちょっと危ないのではと老婆心ではあります。 証拠の改ざんと冤罪についても、これは現在、どこでも大きな問題で、考えさせられます。 読んで損は無いとおもいます。

  • クセがない代わりにコクも薄めな北欧ミステリ(ネタバレなし)

    冒頭から淡々としたトーンで物語が進み、そのまま特に大きな起伏もなく結末を 迎えたという印象でした。テンポもゆっくりなので、夢中になって読んでしまう ようなミステリではないのですが、そこそこ無難に楽しめる一冊ではあります。 北欧ミステリといえば、どんよりと暗くてテーマも重くてモノによってはうんざ りしてくるくらいのダメージを受ける事もありますが、本書は良くも悪くも掘り 下げは浅く、全体的にあっさり風味の味付けなのでそういった心配は無用です。 まず主人公のヴィスティング警部からして尖った所のないまともな普通のオジサ ンです。今作では証拠捏造の容疑をかけられているというのに、ヴァランダーや エーレンデュルらと比べたらとても穏やかな日常を過ごしているように感じます。 そんなヴィスティング警部が新聞記者の娘リーネと共に事件の真相を追うのです が、その過程と結末はやや盛り上がりに欠けるものでした。丁寧に書かれている ので読めますが、あまりにもすんなり物事が進み過ぎてしまうのがイマイチです。 というわけで、個人的には少しばかり物足りない読後感だったのですが、最初か ら淡泊な小説だと割り切って読めば、これはこれで悪くはないと思います。刺激 の強い物語に疲れてる方や、落ち着いたミステリで楽しみたい方にお薦めです。

  • 警察官に与えられた「責任」「資格」と重圧を描く

    北欧ノルウェー人作家といえば、ハリー・ホーレ警部シリーズ「スノーマン」「ザ・バット」(共に集英社文庫)のジョー・ネスボ、「湖のほとりで」(PHP文庫)のカリン・フォッスムが翻訳されている。 そして新警察シリーズとしてラルヴィク警察、ヴィリアム・ヴィスティング警部の登場である。 本書はシリーズ第八作目だが出版当時、著者ヨルン・リーエル・ホルストはまだ現役の警察官だったのだ。それゆえ警察署内部、捜査過程、捜査資料、警察官たちの人間関係が見事に詳細にリアルに描き出されている。 困難をきわめた痛々しい事件。「セシリア事件」。 その事件は十年に一度あるかないかのような注目を集めた「殺人事件」だった。 犯人も逮捕されている十七年も前のその事件に、弁護士が再審申請を出したというのだ。 当時の捜査責任者は若き日のヴィスティング警部だった。 再審理由は<証拠が意図的に操作された。><DNA鑑定。あれは警察の捏造。><鑑定にまわされた煙草の吸殻はすり替えられたもの。>だという。 ヴィスティング警部は停職処分となるが、被害者の苦痛を思い秘密裏に膨大な過去の捜査資料を調べ始める。手助けするのはメディアに職を持つ娘リーナ。 リーナたちのチームが関連情報を追い求めていく行動が、危機にあいながらもすばらしく痛快に描かれる。 真犯人は誰なのか。追及は続くが新たに行方不明者がでてしまう。 タイトルの「猟犬」とは捜査員は最初に挙がった証拠をもとに、事実のつながりをイメージし、一つのシナリオを作り裏付を取り始める。視野は狭くなり、自説に合致する情報ばかりを組み合わせていく。 まるで<においを嗅ぎ付けて獲物を狩りたてる猟犬と言っていい。> 犯人の動機には嫉妬、復讐など八つある。しかし八つめの動機は<これはおそらく見抜くのが一番難しい。>ものなのだ。 最後に<明かした名前はまさに爆弾のような破壊力を持っていた。> <真実はこれほど人の心の奥底まで揺るがすものなのか。> 本書は警察としての立ち位置と被告としての立ち位置を交錯させ、加えて捜査とミステリ性を存分にドラマに盛り込んだ警察小説として出色の作品である。 納得の「ガラスの鍵」賞受賞作。 倊

  • それぞれの人物を無駄にヒーローや悪者に描き過ぎず、淡々として良かった。

    北欧の推理物はアマゾンを使って結構沢山読むようになった。 面白いものも多い。 アメリカなどのような犯罪の多いお国柄ではないので日本に近い印象で、これもサイコものではあるが、そこまでどぎつくない。 文章力は素晴らしいと思うし読みやすいが、筋書きはちょっと出来過ぎと、意外性のない犯人だったのがマイナスか。

  • 現在の事件と過去の事件、それぞれの真相が理路整然と繋がっていく展開を堪能できました1

    現在の事件と過去の事件、それぞれの少女誘拐事件の真相が理路整然と繋がっていく展開を堪能できました。 現在の事件は、現在進行的な展開、そして、過去の事件は、本当に証拠捏造があったのかどうか、事後検証的な観点で展開されていきますが、それぞれの事件を巧みに絡めて、よくぞここまで、しっかりとプロットを組み上げたと、圧巻の思いです。 過去の事件の犯人逮捕となった、DNA鑑定に関しての証拠ねつ造疑惑をかけられる、という設定も、ストーリーの展開に緊迫感を高めていて、また、主人公自身の過去の捜査の正当性への葛藤からの、「深み」を与えていて大変良かったです。 主人公は警察官(ラルヴィク警察・警部)のヴィリアム・ヴィスティング。 そして、その娘で新聞記者のリーネ・ヴィスティング。 父、ヴィリアムは証拠ねつ造の当事者として、謹慎を告げられ、警察捜査からは、いわば隔離された立場。 また、娘のリーネは、父の不利を補うかのように、新聞記者としての立場を最大限に活かして情報収集にあたるものの、捜査の中心にまでは切り込むことができない立場。 この、父娘のタッグも、キャラクターの設定として、すばらしかったと思います。真相究明にむけて、彼らは立場的に、捜査の本流には入ることができませんが、制約を受け、苦渋を味わいながらも、必死に考え、行動を起こして、困難を乗り越えて真相をたぐりよせる強さに引き込まれました。 また、警察捜査そのもについて、捜査組織のしがらみや科学捜査、また、警察捜査から裁判にいたるまでの流れについて、仔細に描かれており、ストーリの迫真性を強めていると思います。 それにしても、ハヤカワミステリの北欧ミステリ、警察官ものは素晴らしい作品が多く、読み手としても、非常に嬉しい限りです。本作の作者、ヨルン・リーエル・ホルストの新たな作品を手に出来る日を気長に、楽しみに待ちたいと思います。

  • ストーリーが秀逸です。

    登場人物の性格に無理のないところが良かった。特徴を出そうとするせいか、人物や人間関係に無理をしているものが多いと感じている。その点、この小説では主人公も、その周囲の人もあまり無理な設定になっていないところに好感をもった。

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