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グリュフォンの卵 (ハヤカワ文庫 SF ス 11-2)

シオドア・スタージョン記念賞

グリュフォンの卵 (ハヤカワ文庫 SF ス 11-2)

マイクル・スワンウィック

『世界の縁にて』は、マイクル・スワンウィックによるSF短編。受賞として記録され、作品の題名やジャンルから作者の初期・代表的な関心がうかがえる。

SF短編文学賞受賞作翻訳文学

作品情報

マイクル・スワンウィックの『世界の縁にて』は、受賞歴とともに読み継がれるSF短編。

マイクル・スワンウィックのSF短編。世界の境界というイメージを通じ、異質な環境と人間の認識を描く。

書籍情報

出版社
早川書房
発売日
2006-04-01
ページ数
511ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784150115586
ISBN-10
4150115583
価格
132 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/英米文学

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レビュー

  • 硬質な感じがした。

    きょうから寝るまえの読書は、マイクル・スワンウィックの短篇集『グリュフォンの卵』だ。これも再読だが、タイトル作品だけ内容を憶えている。 1作目は、「ギヌンガガップ」ブラックホールを抜け道としてエイリアンと情報のやりとりをしている。主人公の女性はブラックホールを通ってエイリアンのところに行く。戻ってきたところで、彼氏にもとの自分ではないと思われる。 2作目は、「クロウ」クロうという名前の主人公はタイムトラベルをしている。途中で出くわしたアニーという名前の女といっしょになる。だが、アニーの旦那にクロウは捕まり殺される。しかし、トリック・スターのクロウは甦り、転生したアニーとふたたびいっしょになる。 3作目は、「犬はワンワンと言った」二本足で歩けるように、また言葉がしゃべれるように改造された犬と、商売人の男が主人公。ロンドンで卿とその妹を騙して、ダイアモンドを手に入れるが、あとで偽物だとわかる。ふたりの主人公はさらなる冒険へと繰り出すところで物語は終わる。むかしのユートピア時代の機械が出てくる。 4作目は、「グリュフォンの卵」月基地が舞台。4000人の研究者がいる。地球で戦争がはじまった。月基地で意識を保てない人間が続出した。維持していくのも困難な状態になった。月では、性格を書き換える薬を開発していた。地球が停戦状態になった。主人公も性格を書き換える薬を使おうかと考えるところで物語は終わった。これは、SFマガジンに掲載されたときに読んでいて、けっこう気に入ってた作品だった。 5作目は、「世界の縁にて」ふたりの少年と、ひとりの少女たちが海岸の階段を降りていくと、そこには洞窟があって、むかし僧侶たちがいたなんてことを話していたのだが、さいごに、少年はふたりではなく、ひとりであったことがわかる。そこのところの描写が自然で不思議な感じがした。こんな書き方もあるのだと驚かされた。 6作目は、「スロー・ライフ」タイタンの海に沈みつつある、つまり死に直面した女性宇宙飛行士が主人公。主人公は幾度も夢を見る。タイタンの海の生物が語りかけてくる。主人公はロボット潜水艇につかまり、助かるところで物語は終わる。 7作目は、「ウォールデン・スリー」軌道ステーションで、ひとりの道化が民衆を怒らせ、みずからは飛び降りて死んだ。民衆は心理的に条件づけられていたのだった。道化はそれをあからさまにさせたのであった。 8作目は、「ティラノサウルスのスケルツォ」398ページに、このような言葉があった。「世の中をうまく動かしていくのは他愛ない軽口なのである。」(マイクル・スワンウィック『ティラノサウルスのスケルツォ』小川 隆訳)いまぼくは焼き鳥屋さんでホールの仕事をしているのだけれど、お客さんと会話をするのも仕事のうちなのだけれども、ぼくにはそれが苦手で難しい。何気ない会話というものができないのである。趣味の文学や音楽が話題になれば、いいのだけれど、お客さんに外国文学の話やプログレの話が両者の共通の話題であると思わせられることはほとんどない。スワンウィックのこの言葉は頷くことの大いにあるものだった。この短篇自体は、恐竜時代に時間旅行者を連れて行くサービス会社が出てくるタイムマシンものだった。この作品も印象的だったので、かすかに憶えていたが、細部までは記憶になかった。十分に楽しめる好短篇であった。 9作目は、「死者の声」イオの地表は不安定だった。主人公の女性宇宙飛行士は、仲間の死体をソリに載せて、事故現場から宇宙船のあるところに戻ろうとしていた。死んだ仲間の声がする。幻聴かと主人公は思うが、イオが意思をもって通信してきた可能性もある。途中で、死体を載せたソリが硫黄の道に引きずり込まれる。そのせいで、主人公は行動しやすくなる。助かる見込みが出てきたところで作品は終わる。 さいごの10作目は、「時の軍勢」主人公の女性は、超未来からきたアフターマンに雇われて、部屋のなかの物置から出てくるものがいないか見張っていたが、興味本位で物置を開けて、そこにある世界に行く。その世界では人間は奴隷のようなものだった。主人公は逃げ出すが、アフターマンと敵対する勢力に捕まる。そして、アフターマンと戦うことを強制される。戦ったが、敗れる。そして、アフターマンと対峙する主人公の女性は、アフターマンが自滅することを説く。さいごに場面がさいしょのアフターマンが主人公の女性を雇うことになる場面で終わる。ただし、そのときには、主人公の女性はすべてのことを記憶していたのであった。

  • 小説的なアプローチが重要になってきた

    この短編集を読んで一番感じたのは、「なんてカジュアルなリアリティーのある小説なんだろう」ということだ。もともとSFはテクノロジーやファンタジーを中心とした夢物語だ。だから人間の日常的な営みはあまり語られることがなかったように思える。作り物のツルツル、ピカピカした綺麗さのある「未来的」イメージの映画やドラマのセットの中で物語が進んでいくようなものだ。しかし本作品では日常的な猥雑さのある社会の中で物語が進んでいく。SFが現実の延長になった、SFもここまで身近になったのかという思いだ。その代わりSFは人間を描写する、より小説的なアプローチが重要になってきたと言えるかもしれない。 もちろんハードSF的な仕掛けも十分備えている。「死者の声」には感心した。全体を通して読み応えのある作品集だ。

  • ヒューゴー賞を受賞した6作品

    日本では知名度が低いマイケル・スワンウィック。長編『大塩の道』と、ウィリアム・ギブスンとの共著『ドッグファイト』、そして雑誌にいくつかの短編が翻訳掲載されたくらいだ。 本書は、著者が1999年、2000年、2002年から2004年までに、ヒューゴー賞を受賞した6作品を含む、全10作品が収められた短編集である。とっつき難い作品ばかりだが、キラリと光アイディアが散見される。 時間SF、ファースト・コンタクトと、テーマのバリエーションは豊か。ただ、『ドッグファイト』の電脳感を期待すると、ハズレてしまうだろう。

  • 映像化しやすそう

    収録短編の内容がバラエティに富んでおり、いずれもドラマティックで読んでて飽きない。若干アウトロー気味の人物が主人公となっているものが多いせいか、一抹の寂寥感を感じさせる。 私の場合、普段あまり頭の中に小説中の情景を思い浮かべないのだが、この短編集ではいずれも情景が強く浮かんだ。そのため映画を一本見たような読後感を得た。

  • 強く印象に残る傑作はないが、それなりに楽しめる

    収録作品は、『ギヌンガガップ』、『クロウ』、『犬はワンワンといった』、『グリュフォンの卵』、『世界の縁にて』、『スロー・ライフ』、『ウォールデン・スリー』、『ティラノザウルスのスケルツォ』、『死者の声』、『時の軍勢』の全10作。 表題作『グリュフォンの卵』の説明を読んでバリバリのハードSF短編集かと思ったが、さにあらず。色々と幅の広い作品集で、楽しめる人は多いはず。とりあげられているテーマも興味深く、どれもまずまず面白い。しかし、残念ながら強く印象に残る傑作はみつからず、期待しすぎるといけない。

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