作品情報
異星文明への憧れと人類救済の責務が、太陽をめぐる危機の中で衝突する。
太陽の光を奪う構造物に対し、人類は破壊作戦を決断する。白石亜紀は任務に参加しながらも、相手が単なる敵ではなく、高度な知性を持つ存在であることに心を引かれていく。
レビュー要約
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壮大な天文学的スケールと、異星知性に対する畏れが評価されている。危機管理の物語でありながら、未知との出会いへの憧れを失わない点が読みどころ。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2005-03-24
- ページ数
- 324ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784150307875
- ISBN-10
- 4150307873
- 価格
- 434 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
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レビュー
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優れた小説
週末にまとめて読みましたが、2週間ほどかかりました。目が悪い所為もありますが、それにしてもかなりのボリュームです。普通のラノベなら上下巻に分冊しているところでしょう。 が、面白くてしょうがない、先が気になってしょうがない、『読み終わるまで残り〜〜時間』の表示が減っていくのが残念でならない…そんな作品でした。 概要・サマリーについては既存レビューにお任せします。以下、感想のみ記します。 他の作品でも書いたのですが、野尻氏の作品は、その考証・検証の緻密さもさることながら、文章表現が卓越していると思います。 作中の人物や装置には高い冗長性を設定している一方(笑)、これだけのボリュームがありながらどの一文をとっても冗長さ…贅肉や脂肪が感じられません。 また、言葉選びに関して言えば、純文学の作品かと思うほど語彙が豊富で、しかしそれが決して『若者の背伸び』的な無理が無く、その使いどころに得心の行くものばかりです。 『人物の内面描写が無い』との意見がありますが、それは行間からひしひしと伝わる筈です。情景・行動の描写、言動から、夫々の人となり、その時々の心情が読み取れる筈です。 その点に於いて、すべてを文面に著した、いわば読者に労力を求めない、或る種のサービス精神過剰の…ただ文章を鵜呑みにするだけで済む…咀嚼の必要の無い作品に慣れ親しんでしまっていると、本書はかなり素っ気無い印象を受けるかも知れません。 強いて残念な点を挙げるとすれば、本作は手放しのハッピーエンドではない、と言うところ;私が今まで触れてきた氏の作品では、ここまで凄絶で、読み手を悲観的な気分に誘うものはありませんでしたので。 一応、最後はきりっと顔を上げて再び歩み出す…みたいな未来を想像させるものとなっていますが(エピローグの部分はまたちょっと別ですが)、これをハッピーエンドとは言わないでしょう、普通。 でも、たまにはこういう作品も良いな、と思いました。
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思考とは意識されない無数の感情のうえに成立する
無性にSF小説が読みたくなるときがあります 特にファーストコンタクトものがもつ、あのワクワク感が味わいたく、もっとすごいものはないか、と探し続けていたところ、いまさらながら発見した本作 2002年に刊行され、20年以上その存在を知らなかった本作、なかなかに難しい専門用語なども出てきますが、そんな部分は分かったふりをして読み進めてもぜんぜんOK、知的好奇心がほどよくくすぐられる感じを楽しみましょう 地球上の我々以外に、地球の人類をはるかに超える科学力を持つ知的生命体の存在を発見したとき、我々人類は果たしてどのような感情を持つだろうか 人によっては、それは得体のしれないものに対する恐怖感であったり、全く違った環境下において進化してきた者のことを知りたいという好奇心であったり ネアンデルタール人を絶滅させ、その数を増やしてきたとも言われる好戦的なホモサピエンス人類たる我々は、ある意味好戦的であるがゆえにここまで発展してきたともいえる存在ですが、そんな我々人類は、果たして未知の存在と良好なコミュニケーションをとることができるのか そんなことなんか考えながら読み進めていくのもSF小説の面白みですね クラークの「宇宙のランデブー」を彷彿させますが、こちらのほうがしっかりコンタクトしており楽しめました
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充分楽しめました
和製A.Cクラーク的で、ありふれたストリーではなく、文句なしに楽しめます
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人間の内面に関心がないのか?
着想、設定やストーリーの仕掛けは面白いです。でも、白石亜紀とはどんな女性で、どのような内面を持ち成長していったのであろうか?高校二年生の天文部のときから52歳の時に異星知性体に出会うまで、どんな変化があったのか、どんな男たちと、あるいは女たちと出会いどんな葛藤を抱えて生きてきたのか?その結果、どういう人格になって、それが顔つきや生き方に反映したのか、というのがさっぱり掴めないストーリーでした。白石亜紀という人間を描く筆があまりにも平坦すぎるのです。自分の好きな神林長平さんの作品なら、主人公の内面の変化、成長、葛藤というが手を取るように分かるのですが(さらに、意識とは、言葉とは、人間とは何かという問いに繋がっていきます)、この作品の作者は人間の内面にはあまり関心がないのでないか、と感じました。そういう観点では、これは文学ではなくエンターテイメント小説なのでしょう。読む価値はありますが、繰り返して読むような意義はないと感じました。
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リアルなSF
冒頭女子高生が登場しますが,ライトノベルではありません。 同じ作者の「ロケットガール」シリーズのような,ライトなノリはありません。 異星生物とのファーストコンタクトを真正面から描いています。 人間ドラマもありますが,起こり得る未来を科学的視点で描くことに力が入れられています。 どのようなファーストコンタクトが起こり得るのか,高度に進化した生命の形態・生体 はどんなものなのか,選挙演説など知的生命の活動と蝉の鳴き声などの自然現象の境界 がどこにあるのか,といった問いかけもあります。 ファーストコンタクトというありふれたテーマを扱い,地味な問いかけをしている 本のように思われるかもしれませんが,興奮しながら読める内容です。 科学知識に裏打ちされた圧倒的事実の積み重ねでストーリーが展開されてゆきます。 次から次へと起こる予想を超える事態に圧倒され,興奮させられます。
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"意識"かぁ、、
話題を幾つもギュッと詰め込んで、少しキュウクツな感じもします。各々の話題をテーマに展開して欲しいです。
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もう心の準備はできている。
ファーストコンタクトの話である。この『太陽の簒奪者』においても新たな遭遇の形が提示されている。多くの識者が指摘しているように、それが幸運な出会いになるのか人類の脅威になるのか、それはわからない。しかし、本作を含む多くの「ハードSF」で、ほぼあらゆるパターンが記述されてきた。もちろん、われわれの想像を超えるようなコンタクトがあるかもしれない。しかし、その事態が訪れた時でさえ、人類は直ちにそれを理解し、対処することだろう。 われわれの太陽系の歴史が46億年、宇宙の起源は137億年。したがって太陽系は第3世代の恒星系だと言われている。いっぽう、太陽系を含む銀河系の恒星の数はおよそ数千億、そして(人類の考えている)宇宙全体の銀河系の数もまた数千億。宇宙における知的生命体が人類のみである、ということはありえない。 しかし、第1世代の恒星-惑星系では「鉄」以上の重金属が発生することはなく、金や銀、ウランやプルトニウムのような資源を活用することはできない。つまり──これはわたくしの単なる想像だが──それほど、地球人類は乗り遅れていない(はずだ)。だからこそ、本作を生んだような知性が人類にある以上、「もう心の準備はできている」。 少なくとも太陽系に人類を超えるような知的生命体は存在しない。ファーストコンタクトは他の恒星系との遭遇のみである。そして──準備ができていないのは──地球の重力圏を脱出し、太陽系をわがものにするための宇宙へのアクセス手段だけだ。
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水星が舞台の異星人との会合
日本の地味な女子高生が成長して世界を救う英雄となり、 さらに天命を知る年齢に達して人類史における偉業を為す、 異星人との係り合いを描いたSFです。 やはり、素晴らしくて一気に読み進めてしまったのは前半で、 これだけで短編として星雲賞を受賞したのもうなずけます。 水星が舞台となっているのも新鮮でした。 ”計算では、水星探査に使われるエネルギーは 太陽系外へ向かうよりも多くなる。” とのことで、困難に直接挑戦した人数が限定されていたのも、 クライマックスの盛り上がりを科学的に説明づけています。 後半はやや話が重苦しくなりますが、 科学に対する一般大衆の反応を描く以上 避けては通れなかったのでしょう。 最後は納得行きませんが、話に決着を着けるとしたら 已むを得ない形かもしれません。 でも、異星人の行動に矛盾を感じます。 星4つと迷いましたが、前半は素晴らしかったので満票で。
関連する文学賞
- 星雲賞 第34回(2003年) ・日本長編部門