ユートロニカのこちら側 (ハヤカワ文庫JA)
巨大情報企業が運営する実験都市アガスティア・リゾートを舞台に、個人情報を差し出す代わりに豊かな生活を手にする人々の暮らしと、その外側にはじき出された者たちの姿を描く。連作形式で管理社会の未来を切り取ったポスト・ディストピアSF。
作品情報
個人情報の提供と引き換えに理想の暮らしが保証される都市の果てを描く。
第3回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。サンフランシスコ沖合にある実験都市アガスティア・リゾートでは、住民が視覚や聴覚、位置情報などの個人情報を提供する代わりに、生活全般の高い水準が保証されている。理想郷に見える都市の内部と外部を、複数の視点からたどりながら、自由と幸福の条件を問い直す6つの物語が連なる。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2017-12-06
- ページ数
- 336ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.6 x 1.3 x 15.7 cm
- ISBN-13
- 9784150312992
- ISBN-10
- 4150312990
- 価格
- 1100 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。その街では個人情報――視覚や聴覚、位置情報等全て――を提供して得られる報酬で、平均以上の豊かな生活が保証される。しかし、誰もが羨む彼岸の理想郷から零れ落ちる人々もいた……。苦しみの此岸をさまよい、自由を求める男女が交錯する6つの物語。第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉受賞作、約束された未来の超克を謳うポスト・ディストピア文学。解説/入江哲朗
レビュー
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著者のデビュー作にして総集編とも言える作品。
最近、個人的に大注目の作家、小川哲のデビュー作。個人情報をほぼ全て提供する代わりに働かなくても一定水準の生活が保障される「ユートピア」世界を描いたSF小説。映画「マイノリティレポート」のように犯罪は事前に予防されるので安全だが、「1984」のように寝室とバスルームを除いて行動や思考を監視される社会に身を置くとどうなるのか。複数の登場人物たちが交差しながら進む連作短編集です。 著者のその他の作品を先に読み、遡る形で本作を読んだのですが、デビュー作にして(デビュー作だからこそ?)やりたいことをこれでもかというほど詰め込んだ本となっている印象です。AI管理社会、自由、戦争など、著者がその後の作品で提示しているテーマや論点が多く網羅されていると感じました。著者の作品を全て読んだわけではありませんが、最初に総集編を出して、その後、個別詳細編を出していっているのではと思うほどです。 だから、近未来の仮想都市を舞台にした連作短編という形式を取ったのではないか、というのは穿った見方でしょうか。文章や構成など荒削りな部分がありながらも、底知れないパワーと瑞々しさを感じました。荒削りだと感じたのは、登場人物たちの描写。舞台はサンフランシスコ郊外の特別区、登場人物たちは外国人だらけなので、ユキを除いてあまり共感できる人物がおらず、人物描写も不十分だなと。一方で、登場人物たちを通じて体現される批評性は非常にパワフルです。 読後感は決して良いとは言えませんが、GAFAMをはじめとする巨大企業の戦略を見据える上でも、読む意味のある小説でしょう。
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哲学的な物語
小説というよりは、哲学的な問題を提示され続けた著作という印象がある。SFとしてはAIが実用化された今、そう的外れにはなってない。 自由とは何かとか、多様な問題を出される。そして、解答はない。
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ここから楽しみます
小川哲氏のデビュー作なんですよね ここから楽しみます
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非常面白い
興味深く、一気に読み終えていました。
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ポスト伊藤計劃だった
文章に力があり、刺激に富んだ文章が出てくる。 物語は情報が完全に管理されたプライバシ―のない都市で暮らす実験が舞台なのだが、 いや、普通に面白いですよ。 テーマは日常と非日常でしょうか。 SF好きなら最先端の管理社会ものとしてぜひ一読願いたいが、 オチが伊藤計劃の「ハーモニー」と似ていることについては論争を呼ぶだろう。 このオチをぼくがそんなに評価しないこともあるのだが。 あと、作者はフリーライダーという概念を参考に書いているようだが、 フリーライダーという概念が経済学の用語であることの解説がないのでちょっとわかりにくい。 ニーチェの「善悪の彼岸」で述べられてることかと勘ちがいしたがそうではなく、経済原理による概念のようだ。 対価を払わずに経済サーヴィスを利用する者を指す。 ちなみに、学者が好みそうなフレーズは随所に盛り込まれている。 それを読むためだけにも読んでもいいんじゃないだろうか。 ただ、ぼくは、これは歴史的記念碑ではなく、何か監視社会の一大傑作が作られる際の準備段階ではないかと思ったりする。 これは、日常と非日常をテーマとしており、日常はもちろん情報管理されているのだが、さて、非日常はとなるとより面白かった。 現在において、監視社会について最も正確に書き記した書物ではあると思う。
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自由とはと考えさせられる小説
AIが面倒を回避してくれるようになる世界線で、人間が悩むことがなくなっていく。(無意識的に生きるようになる。)それに対して、抗うことで自由を見出す人々の姿を書いています。自由って何だろうと考えさせられる本でした。
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女性の登場人物の話し方が、
すべて同じ印象でした。 話し方の論理が同じというか、みんな同じ知的レベルで個性がないというか。 内容はすごくおもしろかったです。 ありがとうございました。
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ポップで秀逸
ビートルズのようなポップさがありながら、人物描写が秀逸で、章を進めるにつれどんどんはまっていく感じがありました。