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グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船 (ハヤカワ文庫JA)

星雲賞

グラーフ・ツェッペリン あの夏の飛行船 (ハヤカワ文庫JA)

高野史緒

宇宙開発が進む一方でインターネットがようやく実用化された世界の夏紀と、量子コンピュータが実現した別の世界の登志夫。二人は幼いころにグラーフ・ツェッペリン号を見たという同じ記憶をもち、世界のずれに触れていく。

並行世界歴史改変飛行船量子コンピュータ

作品情報

別々の2021年を生きる二人を、巨大飛行船の記憶がつなぐ。

高野史緒によるSF長編。1929年に日本へ寄港した飛行船グラーフ・ツェッペリン号の記憶を結節点に、異なる技術史をたどった二つの世界と、そこに生きる夏紀と登志夫を描く。自分宛てに送った電子メールへの返信が、二人の認識を揺さぶっていく。

書籍情報

出版社
早川書房
発売日
2023-07-19
ページ数
384ページ
言語
日本語
サイズ
10.6 x 1.4 x 15.7 cm
ISBN-13
9784150315559
ISBN-10
4150315558
価格
1034 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

別の宇宙で生きる夏紀と登志夫。二人を繋ぐ巨大な飛行船とは?月と火星開発が進みながらWindows2021が発売されたばかりの夏紀の宇宙。そして登志夫の2021年では光量子コンピュータが異常を示す。

レビュー

  • 美しくも、とても切ない青春ファンタジーSF

    我々の生きる現実と思われる世界と、似てはいるが異なる世界という、2つの平行世界に生きる十代の男女の物語が描かれる。新海誠監督の「君の名は」辺りを連想される方も多いだろうが、あっと驚く展開では負けていない青春SFファンタジー。 仮想現実を使い謎に迫っていく過程はかなりミステリー的で、さすがに乱歩賞作家らしく鮮やかだ。最後にある決断をするラストは美しくも、とても切ない。主人公の明るい生活ぶりが生き生きと描かれるだけに、より一層、切なさがつのる。 表紙デザインやサブタイトルから、ティーン向けのライトノベルのように感じるが、内容はしっかり練られている。ややレヴューが少ないのが不思議に思える傑作である。

  • 土浦

    友達が土浦二校で、この作者を知っているという事でした。知っている地名が興味深く、電子書籍で一気に読みました。

  • 強烈な青春SF

    ●デジャヴを感じたり観測機器や光量子コンピュータの不具合を生じたり、或いは飛行船の記憶にチグハグ なものがあったり。日常生活に重なる不思議な出来事。緩やかに重なり合う量子のもつれにも似た展開で す。互いに探し求める夏紀と登志夫の心もまた淡く純粋。映画「君の名は、」に登場する三葉と瀧の思いを 想起させる強烈な青春SFです。ぜひ女性読者にもお薦めします。 R・A・ハインラインの「夏への扉」を彷彿とさせる出だしは、終盤に怒涛の奔流となって展開し、読む 者に襲いかかります。無数の時間の断片や平行宇宙の欠片を見ている様な幻覚を覚えました。その後に収束 する結末は切なすぎて胸が痛いほど。 最近読んだSFでは最高の作品です。

  • ちょっとだけ違う世界線

    "それは夏紀の爪の先が引っかかるくらいの何かだ。ちょっと引っ掻いて、指先でつまんで、そしてそっと引っ張ると、ただ目に見えているだけのこの世界よりももっと深い、『向こう側』とか『遠く』とかの世界が現れるのだ"2023年発刊の本書は並行世界の土浦を舞台にしたボーイ・ミーツ・ガールSF。 ⁡ 個人的に爽やかな表紙が気になって手にとりました。 ⁡ さて、そんな本書はSF的歴史改変小説を得意とする事で知られる著者が自分自身の故郷である茨城県土浦市を舞台に書き下ろした作品で、月と火星に基地があるもWEBは実用化されたばかりの世界に住む夏紀、宇宙開発は遅れているも量子コンピュータの運用が実現している世界に住む登志夫。そんな二人が幼い頃に巨大飛行船『グラーフ・ツェッペリン号を見た』という共通の記憶があった事から出会うはずのなかった交流が始まるのですが。 ⁡ まったく違うのではなく、ちょっとだけ違う並行世界の二人が電子メールを通して知り合っていくのは、深津絵里主演のパソコン通信を題材にした1996年公開の映画『(ハル)』が想起されて、何だか懐かしくほのぼのしました。 ⁡ 一方で、二人の関係性がハッピーエンドにならず、世界のためにどちらかが犠牲になる終盤の展開はちょっと突然感があって、消化不良的なモヤモヤが残りました。 ⁡ 土浦に縁のある方、また夏に読むSF作品としてオススメ。

  • どの世代でも楽しめる!

    いま現役で青春な子もかつて青春時代があった人もそれぞれの立場で楽しめるんじゃないでしょうか。 私は後者の世代だけれど、今自分が体験しているような気持になってしまいました。 ベースは本格的なSFなのにその設定に埋もれることなく一人一人のキャラクターが生きていて胸キュン青春小説のような気持にもなってしまう。 これ、アニメでも実写でも(いややっぱりアニメがいいな)映像化しないかなあ…絶対良いと思うのです。

  • 2018年の「グラーフ・ツェッペリン 夏の飛行」が原型なのか。

    今回は量子コンピュータ周りの説明が多いのはナツキとトシオの世界の相違が量子の重なり(もつれ)によるということの説明かな。 重力制御装置で月や火星に基地があるが量子論がない世界と重力制御装置はインチキだったが量子コンピュータがある世界。 飛行船の事故の有無を観測することで世界が確定する。 個人的には重力制御装置があると天野こずえ「ARIA」の世界もあり得るのでおもしろそう。

  • 詰め込み過ぎで頭に入らない

    文章が散らかっていて、しかも終盤にSF展開を詰め込み過ぎていてストーリーが頭に入ってこない。 元は短篇で、それを手直しして出して、さらに直したのがこれだそうだが、建てた家を無理やり増改築したようなもので、余計なものがゴテゴテついている。一冊にするためにページ数をふやしたのかもしれないが、もっとすっきりさせたほうがよかったのではないだろうか。 ある雑誌で、これが2023年のベストSFに選ばれたそうだが、これが日本のSFの最高地点であるならガッカリだ。

  • これはライトノベル?

    夏にまつわる本を読みたくて数冊読んでいます。その中の一冊がこちらでした。 飛行船というワクワクする物をメインにSF展開が広がります。あらすじ含めて、掴みは面白そうです。 ということで期待していましたが、とにかく文章がショボい…処女作かと思って作者の情報を調べたほどです。 ハードSFを求めていたわけではありませんが、内容的にも子供っぽい。ゴチャゴチャしていて読みにくい。その反面、SF用語を使いたくて無理やり詰め込んでる感じ。 決定的なのが人物描写です。二人の主人公の魅力が無く、ただの普通っぽさを強調する女子高生、頭が良すぎて悩んでる大学生で、それ以上の引きつける要素は皆無です。 他の方も書いてますが、この程度で2023年ベストSF小説というのは日本のSF界がいかに終わってるかの表れだと思います。

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