初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ハ 1-6 スペンサー・シリーズ)
離婚をめぐる対立のなかで、両親から駆け引きの材料にされた少年ポールは、固く心を閉ざしている。スペンサーは彼を自立へ導こうと決め、ボクシングやジョギング、大工仕事を通じて少年と向き合う。
作品情報
少年ポールの孤立に、スペンサー流の訓練と見守りが向けられる。
ロバート・B・パーカーのスペンサー・シリーズ第7作。離婚した両親の争いに巻き込まれたポールを中心に、私立探偵スペンサーが保護と訓練を通して少年の変化を見守る。ハードボイルドの倫理を、アクションだけでなく世代を越えた交流として描いた作品である。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 1988-04-09
- ページ数
- 320ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784150756567
- ISBN-10
- 4150756562
- 価格
- 1595 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/英米文学
〔スペンサー・シリーズ〕固く心を閉ざし、何事にも興味を示そうとしない少年ポール。離婚問題のいざこざの渦中に立つ彼と出会ったスペンサーは、彼を自立させる決心をした。ボクシング、ジョギング、大工仕事……スペンサー流のトレーニングが始まる。ハードボイルドの心を新たな局面で感動的に描いた代表作。
レビュー
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十五歳の少年を一人前の男にする
銃を持ち、肉体的にも精神的にもタフな私立探偵が活躍するという、典型的なアメリカ産ハードボイルド小説です。 特に、ハードボイルド論を説くために、少年を男にする、という設定を用いたのは秀逸だったなと思います。 主人公のスペンサーが少年に対し、男はこうあるべき、という話をすることで、無理なく、端的にハードボイルドな男を演出することに成功しています。 初めて著者の小説を読みましたが、どちらかというとチャンドラーよりハメットよりかな、という印象を持ちました。 他の作品も読んでみようと思います。
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いわゆる探偵小説ではない
ハードボイルドの暴力的で乱れた世界は、もともと苦手だが、この作品はしんみりとした「柔らかい」テーマが含まれていたので、最後まで読み通せた。ひどい親をもった子供を、親から解放してやろうとする探偵。成長がストップし、もう少しで破綻しかけていた15歳の少年が、探偵との心の交流をとおして、徐々に自立し、自分の生き方を見出していく物語。これは、ミステリーの枠組みを超え出た文学的テーマだ。親との関係を断つことが真に救いであるというのは、厳しい内容だ。私立探偵スペンサーは、男性性を誇示し、自意識過剰で多弁ではあるが、恋人スーザンに対して誠実だし、たまたま「事件」で知り合った少年ポールを見捨てることができないというような、人間愛豊かなタイプの人物である点で、好感が持てる。探偵が「私」と名乗って語るスタイルも、面白い。
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意外とよかった
単純で分かりやすくて安心して読めた。
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わたせせいぞう「おとこの詩」の挿入話にこの本が・・・
わたせせいぞうの作品に初めて出会ったのは「おとこの詩」。 その中の1話、毎日電車の向かいに座る気になる女性が読んで いたのがこの本です。 その時からこの本に関心をもちながらも30年の月日が流れて しまいました。 そして「やっと」この本を読む機会を得ました。不幸な環境で 育った15歳の少年ポールを主人公のスペンサーが1人前の男 にする物語。 場所、小道具、食事、お酒・・・カタカナで覚えにくいものも ありますが、それらがなんともカッコよく思えるから不思議。 ボクは読み終わって、とてもいい気分になりました。そして、 「あの彼女」がどんな気持ちでこの本を読んでいたのか? 「この本」を読んでいた彼女はどんな人なのか?とても気にな りました。(笑)
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目先の変わった探偵モノ
健さんが映画化も考えた…らしい、というだけあって エエ男はんの話です。 人として、男として赤の他人の少年を将来を憂い、立 派な男に成長させるべく心血を注ぐスペンサー。 かっちょエエす。 探偵モノとしては、異色のストーリー展開やと思います。
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父親の愛
本、冒頭に 「デイビット・パーカーとダニエル・パーカーに二人とともに成長した父より 尊敬と称賛の念をこめて本書をささげる」 15歳の少年を自立のために育てる探偵、スペンサー。何のために?金のためでもない。 もう途中あたりから泣けてきました。こりゃいかん・・・「自立」ここでまたほろり・・・ 最後の少年の涙でほろり。 一度読んでください。ネタバレなしで。いいです。本当にいい!
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高校生の息子にプレゼント
何度読み直しても息苦しくなる 若いときに読んで 自分に子供ができたら読ませようと決め、4年前に高校生の長男に送り、今回は次男へ。 読んでくれてるのかどうかは怪しいけど、父である私が伝えきれないものが詰まっているような本と思います。
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少年の “自立”と両親からの “解放”、<スペンサー>シリーズ屈指の名品
’73年、ロバート・B・パーカーのデビュー作である『ゴッドウルフの行方』で始まったネオ・ハードボイルド、ボストンの私立探偵<スペンサー>シリーズは、私が調べたところでは’10年1月18日にパーカーが逝去するまで38作に及び、すべて邦訳されているが、本書は’81年発表(邦訳は’82年)の第7作。日本では、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」’77年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)を受賞した第4作の『約束の地』(’76年、邦訳は’78年)をしのぐ人気を持つ作品である。 パティ・ジャコミンと名乗る女からスペンサーが請けた仕事は、離婚した夫メルが奪った息子・15才のポールを連れ戻すことだった。首尾よく成功するスペンサー。3ヵ月後、パティは強引に再びポールを自分のもとに置こうとするメルの企みを阻止したいと再びスペンサーに頼る。そして暴漢が彼らを襲う。 スペンサーは、ポールが、対立する両親の“駆け引き”の材料となっていて、“育てられ”ておらず、TVばかり視て暇をつぶす、何事にも関心を示さない少年であることに気づく。 スペンサーはある決心をする。身支度からジョギング、ウェイト・トレーニング、家造りの大工仕事と、ポールに対するマン・ツー・マンのスペンサー流“教育”が始まる。やがてポールにも成長の兆しが・・・。スペンサーは仕上げにメルの悪事とパティの悪癖を暴き、ポールに両親から“解放”された“自立”の道を歩ませる。 決して長くはない、ストレートな物語で、暴力シーンやお色気シーンも垣間見えるが、メインの、スペンサーとポールとの熱いハートの交流、そしてスペンサーのタフな大人の男のやさしさが読むものの心を動かす。 本書は、「これを読まずしてスペンサーは語れない」ほどの、ネオ・ハードボイルドとしては異色作ながら、このシリーズ屈指の名品である。
関連する文学賞
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