作品情報
凍てついた墓碑銘は、ミステリを軸に読者を作品世界へ引き込む。
ジェニー・ケインが家族と過去の謎に迫る、静かな緊張を帯びたミステリ。 受賞歴により再注目され、現在も著者の代表的な仕事として参照される。
レビュー要約
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題材への切り込み方と読みやすさが評価されている。一方で、扱うテーマの重さや独特の語り口に好みが分かれる読者もいる。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2009-06-25
- ページ数
- 511ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784150783624
- ISBN-10
- 4150783624
- 価格
- 9 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
アガサ賞、マカヴィティ賞最優秀長篇賞受賞作 17年前の吹雪の夜、雪におおわれた放牧地で若い娘の全裸死体が発見された。娘は身元不明のまま墓地に葬られたが、その事件は三人の若者の人生を大きく変えてしまった。死体を発見した保安官の息子、それを目撃した判事の息子、そして彼の恋人だった医師の娘……月日は流れ、ある出来事をきっかけに止まっていた時計の針が動き出す。小さな町の人間関係に埋もれた事件の真相とは? 実力者が満を持して放つ力作サスペンス
ミズーリ州生まれ。雑誌記者などを経ての作家デビューは、1984年の『死者は惜しまない』。同作からスタートした市民財団所長ジェニー・ケインを主人公にしたシリーズは、1985年の『恋人たちの小道』でアンソニー賞最優秀ペイパーバック賞、1987年の『結婚は命がけ』でマカヴィティ賞最優秀長篇賞、1990年の『虹の彼方に』、1991年の『悲しみにさよなら』ではアガサ賞の最優秀長篇賞を連続受賞(『悲しみにさよなら』はマカヴィティ賞最優秀長篇賞も受賞)するなど高く評価され、1995年の『扉をあけて』まで全10作が発表された。2000年からは『狂った真実』を第1作に作家マリー・ライトフットを主人公にしたシリーズ作品3作を発表。本書は彼女にとっては初の単発作品で、アガサ賞、マカヴィティ賞の両賞で最優秀長篇賞を獲得した。カンザス州在住。
レビュー
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十七年の時を超え醜悪な犯罪と純情な二つの愛が甦るベテラン女流作家健在の傑作です。
雑誌記者を経て80年代にデビュー後20年以上に渡って活躍を続けるベテラン女流作家ピカードが2006年に著しアガサ賞・マカヴィティ賞を受賞した久々の傑作サスペンス小説です。著者の代表作としては女性探偵役のジェニー・ケイン・シリーズが有名で、初のノン・シリーズ作品となった本書でもロマンス性に満ちた優しい持ち味が十分に発揮されています。 カンザス州の架空の小さな田舎町スモール・プレーンズで、ある吹雪の夜に若い娘の全裸死体が発見された。事件に関わった保安官と息子レックス、判事と息子ミッチ、医師と娘でミッチの恋人アビーは、その夜を境にして大きく運命が変転する。娘は身元不明のまま町の墓地に葬られたが、時が流れ十七年後に起きた関係者の新たな死がきっかけとなり過去の事件が動き始める。そして、かつての三人の若者達の運命が再び交差するのだった。 本書のミステリーとしてのテクニックは、怪しげな振る舞いなのは歴然としているのに何やら複雑な事情があるのではと思わせて実は、という読者を最後まで迷わせる手法が非常に巧みなベテラン作家ならではの手管です。事件の真相は小さな田舎町の人間関係が生み出した醜悪な犯罪でしたが、著者は悲しみに沈んだままで終わらせずに純情な二つの愛を復活させて読者に明るい希望と感動を与えてくれます。それは十七年前に無理矢理引き裂かれた恋人達ミッチとアビーの愛情の再燃と、父の後を継いで保安官となったレックスの今は亡き初恋の人に向ける永遠の思慕の念です。また、身元不明の娘を‘奇跡を起こす聖処女’と人々から崇拝される存在にし、最後に幻想的な形で登場させて悪党の成敗に一役買わせているのが少し無気味ですが真に粋な演出と言えましょう。本書は500頁を超える大長編ですがテンポの良いサスペンスの連続で一気に読めて、何より明るく爽やかな読後感が最も素晴らしいと思いますので、ぜひ一読をお奨めします。
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ご都合主義と楽観主義と。
ミステリーとして深みが無いとか、容易に筋が読めるという事すらも、この作品の欠点では無いです。 余りにもリアリティーの無い人間造詣によって謎解きが終わる、という事が最悪。 幾ら小さな閉塞した町であっても、こういう人間と友人として過ごせるのか?とか、それが露呈した後、主人公たちは何のわだかまりもなくいられるのか?とか・・・ 違和感満載。 事件によって人生を狂わされる主人公たちも、成人してすら余りに幼く、魅力が感じられません。 作品自体も登場人物も、悪い意味で青いです。 読み終わって残る物が何も無い、という点で★1つです。 実際読んで時間損した、という感じしかありませんでした。最近は権威ある賞が少なくなったと思います。
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17年前に起きた身元不明の凍死体の真相とは?
物語は17年前にさかのぼって展開する。17年前の吹雪の夜、雪に覆われた放牧地で若い女の全裸の凍死体が、保安官とその息子たちによって発見された。同じ時期に、町の名士である判事の息子が突然町からいなくなる。凍死した女の身元は、結局わからずじまい。 そして、17年後、町からいなくなってしまった判事の息子が帰ってきた。そして、17年前の身元不明の女の正体もしだいに明らかになってくる。 また、本書は、淡い恋心の描写も巧みである。17年前、ハイスクールの女生徒は判事の息子に恋心をいだき、彼が町からいなくなってからも、変わらずに思い続けているのである。微妙な人間関係を描きながら、結末はすがすがしく仕上げられている作品だ。
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圧倒的に文章がうまい、本格ミステリ
カンザス州の田舎町。猛吹雪の1月のある日、少女の死体を発見した保安官親子。この少女の死体の身元と死の謎をめぐり、家族同然の付き合いをしていた保安官、医者、判事の3家族のその後の運命を17年後の現在と過去とを交互に織り交ぜながらストーリーは進んでいく。 初めて読む作家だったが、圧倒的な文章のうまさ(訳もたいへん良い)に冒頭から引きずり込まれた。無理なこじつけや、思い込みのない素直な文章、ミステリのツボを押さえたゾクゾクするストーリー展開。結末に新しいハデさはないものの、じっくり読ませる本格ミステリに仕上がっている。田舎町の情景描写も目に浮かぶよう。ここ最近読んだミステリのなかでは3本の指に入ります。 今後が大変楽しみな作家です。
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田舎を舞台にした憎愛劇
大雪の中凍死した痴呆症の老人が、過去に街で死んだ少女の謎を呼び起こすといった概要の作品で、 これだけ見るとミステリ的な雰囲気が漂っているのだが、事件の調査とかはあんまりしない そもそも事件の関係者が主格になるキャラたちの身内なので、ちょっと会いにいって話しをすれば話が進む ページの多くは大人たちの憎愛劇に費やされ、そこがこの作品の魅力なのだろうが そういえばみんな三十代だったとふと思い出すほど精神的に幼い人間しかいないのがいただけない 最終的に謎が明らかになると、中々凝った作りの作品だったことが分かるが、 全体的に無関係な話が多くやや長め 悪くはない作品なので、安ければ買ってもいいかもしれない
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作家の力強さを感じさせる作品
吹雪の中で発見される、若い女性の全裸死体。 そこから発する、さまざまな人生ドラマ。 やがて、17年という歳月を経て明らかになる事件の真相。 いかにもミステリらしい「センス・オブ・ミステリアス」と 人生ドラマのスリルがうまくミックスされた秀作。 さすがは多くの賞を受賞した実力派の作品です。 読後には、さわやか感が残ります。
関連する文学賞
- マカヴィティ賞 第21回(2007年) ・受賞
- アガサ賞 第19回(2006年) ・受賞