作品情報
過去に傷を負った男たちの人生が、ひとつの殺人事件で暗い川へ流れ込む。
デニス・ルヘインの代表的長編。日本語版は早川書房から刊行され、映画化によって広く知られるようになった。事件の謎解きだけでなく、被害者と加害者の周囲に残る記憶の重さを描く。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2003-12-20
- ページ数
- 667ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784151744013
- ISBN-10
- 4151744010
- 価格
- 1144 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/英米文学
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レビュー
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人生とはこんなものか
幼なじみでもある3人の男性の物語。かつては一緒に遊んでいた仲だったのに…。 読後、悲しみの余韻が尾を引く。特に○○の人生があまりにも可哀そうだと思った。 名作だ。映画版もいつか観てみたい。
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ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず
海外小説は読まないのだが、イーストウッド監督の映画版を観て。 殺人事件は起きるし、犯人も最後までわからないのだが、少なくとも単なるミステリー小説ではない。 まさに題名の「ミスティック・リバー」が本作品の深遠なテーマを象徴している。 ”清濁併せ呑む”と言い、「善・悪のわけへだてをせず、来るがままに受け容れること」(広辞苑)とある。人は大河の一滴。悠久の流れには善悪などなく、希望なく絶望なく、意味もなければ無意味さもない。 全体を通して所謂東洋的な世界観の様なものが強く感じられる。読後ふと蘇る幼少時の他愛ない記憶などとも相俟って、余韻の味わい深さが何ともいえず永く心に残る作品。
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ジャンルを超えた傑作
少年は警官を装った2人の男に誘拐される。3人の少年のなかのデイヴを選ぶ経緯。3人の少年のだれが、どの地域に住んでいるか、デイヴが母子家庭である事などが、誘拐直前の誘拐犯により聞き出される。 この辺りの、用意周到な場面は、何気ない路上の少年という場面だけであるが、土地の根深さ、誘拐犯の狡猾さなどが寒気がするほどの臨場感を持って描かれる。 ボストンという町は、私はたった一度訪れただけだが、上品な学問の町という印象だった。しかし、ボストンという町の顔は、単純なものではないのだった。山の手の一戸建てに暮らす家々、集合住宅の家庭、それが川を挟んでどの辺にあるか、そして変わらないものであるかは、旅行者の目には映らない。 しかし、ボストンというところは、小学校から大人になってまでも、同じ仲間が一緒に暮らし続けるところなのだ、だれも外へ出て行かないし、外来者も入らない。そういう閉鎖社会なのだ。これは、そういう町、土地の物語でもある。 11才の3人の少年、その25年後の36才の彼らに何が起こったか。ページの各所に置かれている情景と心理は、緻密で鋭い。 これをミステリーのジャンルに置くことに反対はしないが、上質で高度に完成された文学作品だ。人間だけではない、地霊と言うべきか、恐ろしい土地の持つ呪縛力をも描きだしている。これは土地の犯罪か。それとも黙って呑み込む河のなせる罪か。各頁、各行、目が離せない、単にストーリーを追う作品ではない、ゆっくりと細部まで読み込むことをお勧めする。ジャンルを超えた傑作だ。
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複雑な人間関係を扱ったサスペンス
境遇の異なる少年3人が仲良くなり、歳を重ねて再会し・・・というお話。 一読、少年から大人になった3人の友情の話しに思えましたが、その3人の関係が微妙で、必ずしもビルドウィングスロマンとは言えない、複雑な関係を描いた小説に思えました。 そこに殺人事件を絡める事で、善悪二項対立で割り切れる事と割り切れない事が、人生には往々にしてある、と主張した作品に思えました。 生き生きとした登場人物、よくできた話し、文章のうまさ、等読み応えのある作品でした。 別に出ているパトリックとアンジーのシリーズも読みましたが、やはり同じ様な感じだったので、著者の方は相当な筆力の方らしいです。 映画にもなっているそうで、そちらも機会があったら観てみたいです。 複雑な人間関係を扱ったサスペンス。是非ご一読を。 蛇足ですが、ネットで検索しにくいので名前の表記は統一していただきたいです。
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薄っぺらい
深そうで深くはない。 同じようなだらだらとした描写が続くのがしんどい。例えば父親の心情。娘を失い喪失感と悲しみに暮れる父親の心理描写が続くわけだけど、それがだいぶ重複というか、さっきも聞いたようなことが続くわけで、要するに、手を変え品を変えて同じような描写が続く。これが全体を通して言える。 そうして長い長い心理描写を描いている割に、肝心な理由や動機が抜け落ちている。たとえば娘ケイティがレイというこれまでの男とは明らかに毛色の違う男に惚れた理由、ムショに入って家族を蔑ろにしていた父親がケイティをひと目見て急にこの子のために生きようだなんて人が変わったような心理になった理由、ムダに長い心理描写を書く割に、こうした細々とした心理の変化、動機がないので感情移入ができない。 それとこの本の代名詞の一つと思われるかつての友人三人が刑事、被害者、容疑者、という関係で対峙するにしても、この関係が成り立つのはなんと500ページから。もちろんそれ以前から容疑者であるデイブは怪しいとは睨んでいるけれどもまだ明確に容疑者とはなっていない。それが明確に容疑者として確立したのが500ページからだという。かつての友人が思いがけない関係で再会し、そこで戸惑いやら困惑やらの描写を期待していた私としてはそうした描写がなかったのが残念だった。あるのは父親の悲しみだけ。 そもそもこの三人が幼い頃別に大した友人ではなかった時点で、三人が刑事、被害者、容疑者の立場で対峙したところでそれがどうしたという話なわけで。 幼い頃のトラウマにしても、刑事と被害者にとってはべつにもう過去の話として消化されており、影響を受けているのは容疑者だけ、そこからあたかも今回の事件が過去のトラウマに起因しているかのような話をされても、無理矢理な感じがした。
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まちがいなくデニス・ルヘインの代表作だ
下町で少年時代を過ごしたショーン、ジミー、デイブ。デイブがニセ警官に誘拐された瞬間、3人の少年時代は終わりを告げた・・・。 25年後。ショーンは州警察の刑事に、ジミーは冷酷冷徹な強盗団のボス的存在になっていた。そしてある日、ジミーの娘が惨殺される。その夜、血だらけで帰宅したデイブ、事件を担当することになったショーン。 集合住宅が密集する下町の濃密な匂いを背景に、少年時代の苦い思い出、その後の25年間の人生を背負ってきた主人公たちを重厚で哀愁に満ちた筆致で描く傑作。 どの作品にも定評のあるデニス・ルヘインだが、間違いなく本書が代表作だろう。 クリント・イーストウッド監督で映画化された。
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残酷なできごと
桐野夏生「残虐記」を読んだすぐあとに この作品を読んだためか、この二作品が 不思議な関連性をもってわたしの気持ちに 強い印象を残した。子どもにとっては 事件そのものよりもそのあとの「周囲の目」 のなかで成長することが残酷なのだ。 この作品をお読みになったら、ぜひ 「残虐記」もお読みになることをおすすめする。
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濃厚なミステリーは人を掘り下げる
それぞれのキャラクターがすばらしく掘り下げられている。そもそも日常的に私たちは自分や相手をこのように掘り下げてみているだろうか。 この深さがこの作品の魅力だと感じる。 映画でも本作でも、一番哀しい存在はデイブの妻のシレスト。 <自分の夫を一瞬たりとも疑うなんて>。それをこともあろうに、被害者の父親に訴えるなんて。 反面として登場するジムの妻であるアナベス。彼女は強い。信じるものを守るためなら、世の中で犯罪とされるものも凌駕してしまう。 女性として、それぞれの生き様も考えさせられる作品であった。
関連する文学賞
- アンソニー賞 第17回(2002年) ・長編賞
- バリー賞 第6回(2002年) ・受賞