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ミステリ・オペラ: 宿命城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)

日本推理作家協会賞

ミステリ・オペラ: 宿命城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)

山田正紀

1989年の東京で起きた不可解な死と、1938年の満州に築かれた「宿命城」で続発する怪事件を交錯させた長編ミステリ。亡き夫を追う桐子の視点を軸に、複数の時代と現実が絡み合う物語が展開する。

並行世界満州探偵小説時空を越える謎

作品情報

時代と世界をまたぐ謎が、宿命城を舞台に重なっていく。

早川書房から刊行された長編。1989年の東京と1938年の満州を往還し、奉納オペラの撮影隊が向かう宿命城で起こる怪事件と、桐子が追う夫の死の謎を重層的に描く。密室殺人、暗号、失踪などの要素を用いながら、歴史と虚構の境界を問いかける。

レビュー要約

  • 密室、暗号、見立てなど本格ミステリの趣向を大量に織り込んだ構成が注目される一方、その過剰な仕掛けと長大な展開には評価が分かれる。

書籍情報

出版社
早川書房
発売日
2001-04-01
ページ数
682ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784152083449
ISBN-10
4152083441
価格
3738 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

Amazon.co.jp: ミステリ・オペラ: 宿命城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド) : 山田 正紀: 本

レビュー

  • とても面白かった

    とても面白かったです。

  • 中盤まで根気よく読み続けると、後は一気に読めますよ

    上下段680ページの大作。現在と戦時中を行き来するエイダのパラレルワールドのような始まり、しかも戦時中の満州国という重苦しさ、100ページも読まず挫折し、本棚の奥で眠り込んでいた。以降なかなか手が出なかったのが正直なところ。 今回根気よく読み続けるとストーリーの奥深さに圧倒されつつ、終盤は一気に読み込んでしまった。読み応えは充分。おかげでオペラ三部作全部を読むことになった。 なお、他の人のコメントでは賛否両論がありますが、そのどれもが長文になってます。否定者にとっても単なる愚作と片付けるには無視できない作品なのでしょう。これまでにない挑戦作です。

  • 満足

    満足しています

  • 詐欺に注意

    刊行から25年経ち、とっくに単行本は絶版です。新品を在庫している書店はありませんので、「新品」表記に騙されないよう気をつけてください。Amazonは出品者の管理をするように!

  • 素晴らしい。ただ……

    面白かった。紛れもない力作であり、傑作とすらいえると思う。時間軸を縦横に行き来し、なかでも戦時中の描写が素晴らしく、雰囲気に満ちみちて、時の経つのを忘れさせてくれる。極上だ。 しかし……私には残念に思えてならない。この物語は、著者が拘っている『探偵小説』でなければならなかったのだろうか? むしろ、推理とか、謎解きとか、そういったものとは無縁の、純然たる物語でよかったのではないか? もちろん、これは無い物ねだり、というより、お門違いというべきものなのだろう。作者はそうしたアプローチのなかからこの物語を企画したのだろうし、その線に沿ってこの雰囲気も醸成されたに違いない。しかし、その雰囲気が素晴らしいせいで、けっして探偵小説ファンとはいえない私に、思わずトリックも謎解きもいらない、普通の物語でいいと思えてしまうのだ。 この本の中には、『平行世界』というような物理学的な概念が出てくるが、謎解きがなされないうちは、すべてがロマンティックで拡がりがあったような気がする。それが最後に謎解きが繰り返されるにつけ、同じように物理学的な言葉を使うなら『波束の収縮』ともいうべき、やけに現実的な、味気のないものに感じられてしまうのである。いや、しかし、これは、この作品に限らない、推理、探偵小説に特有の現象であるから、つまりは、探偵小説のファンではないという、こちら側の問題になるのだろう。ファンは、パズルが解けるそこで解放感と愉悦を感じるのだろうか? それこそ私には謎である。 エピローグは、とてもよかった。ロマンティックで、雰囲気があって、何か救われたような気分だった。

  • 大作ですが.....

    とても分厚い本です。総682頁です。 まずここまで分厚いと読んでいて手が疲れるてしまうのは宿命ですね。 寝る前にちょっと読む分には最適です。手が疲れてきたら寝てしまう。 物語はパラレルワールドの中を行き帰するお話です。 この現実とは別にもう1つの現実が存在する。 故に、話が行ったり来たりしますので、読んでいて内容が混雑してしまうことがあるかもしれません。 どのように造り創め、どのように進めて行き、終盤はどの様に終わらせたら良いのかを考える。 そんな葛藤が感じ取れてしまうのは私だけでしょうか? 長編故の難しさが感じられました。

  • 歴史を飲み込もうとするかのような大作であり労作です。が、、、

    本書の壮大な構想とその筆致は、昭和史をまるごと、探偵小説という装置を用いて 凝縮させようと試みる、作者の強烈な決意を感じさせます。 メタミステリーの手法を採用していますが、現代と50年前の手記を、交互または ランダムに読まされる事によって、ヒロインがそうであるように読者もまた、時間と 空間の認識が混沌としてくるに違いありません。 実際に、手記のかなりの部分が、旧仮名遣いで書かれていますが、いつしか自然に読 み進めるようになってくるのですから不思議です。 冒頭に謎が提示され、また連続して密室殺人事件が起こり、さらに現代と50年前の パラレルワールドが展開されるという、昭和史と同時にミステリー史までも丸ごと飲 み込もうかとするかのようなファクターを詰め込み、綿密な取材に裏付けられた史実、 あるいは虚構を能弁に語って物語を補強しています。 しかし残念ながら、本当に残念ですが、私には手放しで賞賛するのは憚られます。 なぜならば、謎は大いに深まり、いざ謎解きということになると、いたって凡庸と言 わざるを得ないのです。凡庸なトリックならばむしろない方が良いのではないかと。 読者に手掛かりが全て示されているとも言い切れません。それまでの美麗な世界観が 一転して空疎なものになってしまったかのような喪失感がありました。また、膨らむ だけ膨らんだ期待と、作者の用意した回答との間に温度差もあったように思います。 私の文学的素養が不足しているのだと言われればその通りかもしれません。しかし、 本書に関しては、物理トリックは排した方が良いという思いは恐らく変わりません。 本格の趣向としては、乱歩でさえ書いた事がないという、探偵役と被疑者の新しい 関係は斬新なもので、また、「検閲図書館」は別のストーリーでも読んでみたいと 思わせる、秀逸な設定でした。 ラストシーンも涙が出るほど感動的なだけに、より残念な思いがつのります。

  • 重厚で不気味、加えて中国の近代史に踏み込んだ・・・・

    自分は1990年代に仕事で大連に駐在し、瀋陽・長春・ハルピンにも何度も足を運んだ。そんな自分の駐在していた中国東北部が舞台になったこの小説をひどく魅力的だと思った。現代と戦前の旧満州を何度も行き来しながら進むこの小説は重厚で無気味。次々起こる殺人事件、見立て、ありえない現象、ミステリーとホラーが融合した私の最も好きな分野の小説だ(と思った)。その不気味さはどんなすごいトリックによるものだろうとわくわくしながら読み進んだ。しかし、トリックがよくわからない。宿命城も満鉄図書館の構造が文章からはよく分からない。作者は夢中で書いているのだが、位置関係や部屋の構造がよく伝わってこないので、その密室トリックがなる「ほどすごいな」と納得できない。納得できないから、安っぽいトリックに思えてしまう。トリックに頼るなら図を付けて読者全員に分かるようにすべきだと思う。結局、全編に漂う無気味さは単なる安っぽいトリックによるなのかと思うと2段組みの680頁の小説を読んだことがむなしい。密室トリックなんてもともと安っぽいのかもしれない。もう一つ、中国人名には、漢字の右にカタカナで中国語読みのふり仮名がふってあるがこれが中国語の音になっていたり、いなかったり。魏鶴齢を「ギ・カクレイ」と振り仮名がついているがこれは全くの日本語読みでわざわざカタカナにする必要はないし、揚金英は「セン・チンイン」となっているが「揚」は発音は「ヤン」なのに誤って「セン」になってしまい小説初めから最後まで「セン」になってしまっている。中国人名を中国語発音に近いカタカナを振るとなんとなく本格的な感じがすると思っているのかもしれないが中国語知らない人が知ったかぶりするとこれも安っぽく見えてしまう。残念だ。

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