そして、よみがえる世界。
近未来の医療と仮想空間を舞台に、視覚再建手術をめぐる謎を追うSFミステリ。
作品情報
仮想と現実のはざまで、少女を脅かす影の正体に迫る。
早川書房刊。脊髄損傷の外科医と視覚を失った少女を軸に、先端医療とVRの交錯を描く。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2022-11-16
- ページ数
- 368ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.1 x 2.2 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784152101884
- ISBN-10
- 4152101881
- 価格
- 1230 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
逢坂冬馬『同志少女よ、敵を撃て』に続く第12回アガサ・クリスティー賞受賞作 脊損の脳神経外科医の牧野は、医療テック企業役員の元指導医に依頼され、視覚を失った少女エリカへの視覚再建装置〈バーチャライト〉埋設を代理執刀する。脳内インプラント〈テレパス〉を用いたオペは成功したものの、彼女は黒い幻影に脅かされるようになる。
西式 豊(にししき・ゆたか) 1967年生まれ。東京都在住。成城大学経済学部卒。中小企業診断士。公認内部監査人。現在はメンズアパレルブランドの企画運営に携わる。2022年、『そして、よみがえる世界。』で第12回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞し、同作で作家デビュー。
レビュー
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近未来の先端医療SFミステリー
●事件発生までの助走部分が結構長かったが、先端医療や仮想空間Vバースについての詳細な説明であり 納得のできるもの。物語に濃厚な味わいを与え、ページを繰る手を止めさせない筆力を感じた。 最先端の医療における脳科学の推論部分が医学的に正しいか否かの判定が困難ではあったが、SFファン としては許容できる範囲であると思う。加えて、事件解明に至る道もミステリーとしてしっかり描いてい る。ホラーありグロテスクありで読み応え満点。 大半が論理展開の静かなる戦いだったが、ラストのスピード感あふれる展開は圧巻。初っ端の伏線(空 中戦)を見事に回収した。爽快な読後感が味わえてよかった。 本作品はアガサ・クリスティー賞受賞作ですがミステリーファンのみならず、いやSFファンにこそお薦 めします。
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SF医療ミステリの決定版
今年のアガサクリスティ賞受賞作だが、個人的には、前年受賞作の『同志少女よ、敵を撃て』より面白かった。それくらいには、新人賞受賞作で久々に夢中になって読んだ。 SF医療ミステリとしては、「決定版」と言っても良い面白さなのでは? VR×ミステリは今皆が書いてるところだろうけど、『そして、よみがえる世界。』ではVRというよりデジタルツインに近いし、ある意味では、アニメの世界では昔から描かれてきたロボットとのシンクロ(神経接続)を実現させた世界とも言える。 トリック自体は古典的だが、それがVRと合わさるだけで、こうも騙されてしまうとは… 哲学的なSF要素がありながら、娯楽性の高いミステリでもある。さすがSFとミステリの老舗、早川書房だぜ… ただ、選考読む限り、前半のSF説明パートや哲学的な会話パートが減点対象になったっぽいけれど…個人的にはそこが面白かったんだが… これまであんなにたくさんの哲学的なSF小説を出してきた早川書房さんが、そんな採点をしていいんですか!?
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たいへん楽しめました
近未来SFとしても読めるし、ミステリーとしても読めますが、最後はVバースと現実世界でのバトルでクライマックスを迎えます。そこは少し古い例で恐縮ですが、子供の時見たウルトラマン(?)のようなヒーローものの動画を見るようでもあります。本質はこの部分にあるのではないかとすら思えます。 最初Vバースの世界に入るのに少し手間がかかりますが、特に侵襲性の高い機器を装着する必要もありません。いったん入り込むと、巧みに張り巡らせた伏線を楽しみながら、至福の時間を過ごすことができました。 たまたまカッチーニの アヴェ・マリアを聞きながら読んでいたのですが、「黄昏の歌姫」の歌のように聞こえて、個人的には結構「合う」ように思いました。 是非、Vバース世界の続編が読みたいです。
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この賞のレベルが知れる。いい加減なコピーで売ろうとするのは止めよう
導入部分が冗長で肝心のこの話の世界に入って行けない。ストーリーは平板で、殺人もとってつけたよう。これなら殺人は不要。意識をアップロードするというアイディアもありふれていて目新しいことがない。いかにも現実っぽいテクノロジーを物語のアイテムに使うのは、実際のところ、とことん使わなければ、興覚め。この話はその典型と思う。何も目新しいものがなく、陳腐なSF、陳腐なミステリー、浅い人物設定、いい加減な世界観、これが大賞作品なのかと思うと驚き。前年の「同志少女、・・・」もどうかと思ったが、これはもっとどうかと思う。この賞のレベルが知れる。セールスコピーに「同志少女、・・・」を使うあたりが出版社の誠実さを疑う。