日本の文学賞

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最終便に間に合えば

直木三十五賞

最終便に間に合えば

林真理子

『最終便に間に合えば』は、林真理子の短編集。表題作と「京都まで」を含み、大人の恋愛や別れを冷静な視線で切り取る。

恋愛別れ都会

作品情報

大人の情事と別れを、醒めた視線で鮮やかに描く。

文藝春秋刊。直木賞受賞作である表題作と「京都まで」を含む短編集で、都会的な感覚と鋭い人間観察が特徴である。

レビュー要約

  • 人物の欲望や見栄を冷静に見抜く語りが評価される。軽やかに読める一方で、関係の終わりに残る苦さが印象に残る作品集である。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
1985-11-01
ページ数
219ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163087306
ISBN-10
4163087303
価格
1078 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第94回(昭和60年度下半期) 直木賞受賞

レビュー

  • こういう書き方もあるのね♬

    25年以上前に読んだ作品ですが、改めてkindleで読み返してみました。仮にこの作品をドラマ化するとしたら、複数の違うカップルに同じ演技をして頂き、どれだけ違う仕上がりになるのかな? などと想像して楽しめました。

  • 自嘲と冷や汗。

    林真理子の直木賞受賞作。 当時の世相や流行が垣間見えて面白いな〜なんて思いつつ、 書かれている文面は決して甘くない^^;さすがの貫録を感じた。 タイトルの「最終便に間に合えば」 金の切れ目が縁の切れ目とは、本当によく言ったもんで…^^; 今のご時世、カップルはワリカンが当たり前!みたいだけれど、 あの頃は明らかに違ってた。男が払うのが普通だったと思う。 まして、だ。好きな女に一銭も払わぬ男なんているんだろうか。 明らかにヒモ、金と身体だけが目当ての女にされている主人公、 しかし本人がそのヒモを離さないんだから^^;これは仕方がない。 夜中に逃げ込んだ友人のアドバイスは、まさに読者の代弁論。 こんなに酷くて切ない話なのに、なんだかおかしくて情けない。 それは、明らかに主人公が上手に立って、過去の男を翻弄する、 「今」の姿が炎々朗々と描かれていることに尽きる。恐るべし女! でも最終便に間に合わなかったら、またあのタクシーで延々と お触り合戦し合ったんだろうか^^;運転手さんが、お気の毒だ〜。 「エンジェルのペン」 これは作家ならでは、だからこうなるのだ、的で面白怖い感覚。 実際に起きたことしか書けないという新進作家と、その餌食(爆) となるモデル被害者。どうオブラートに包んでも本人には分かる。 これはフィクションなのよ、と言ったところで恨まれるだろうな^^; でも何を題材にするかはおそらく本人の脳裏に常にあるはずだ。 それを思い切って書いてしまうかどうか、面白くなる方を選ぶか、 無難に妄想主体で仕上げておくか。林真理子ご本人は、どっち?? 作家ってこういう仕事だから…というため息が聞こえてきそうな話。 「てるてる坊主」 これは当事者だったら笑うに笑えない心底おっかな〜い話だった^^; とはいえ、薄毛→禿げは白髪と共に年齢を重ねれば仕方ない事実。 涙ぐましいのは、それをどう隠すか、増やすか、になってしまうから… 多分林真理子ご本人もそうなのだろうが、この感覚、女には謎だ。 昔から不思議なのは、ガイジンは禿げでも十分モテるというのに、 日本人は禿げ、というだけで毛嫌いされる(この漢字酷い字並びだ) この不思議…だからきっと、日本の男性は懸命に隠すんじゃないか。 モテたい一心で。という下りが独身でも既婚者でもアリアリと出て 一層黒髪を所望する結果になっていることを嘲笑うかのような一編。 夫の初めての挫折がコレ。それって幸福なのか?不幸なのか…?? 「ワイン」 海外旅行先でつい、高価なお土産を買ってしまう人間の習性をまた、 こんなに面白くて怖い一編に仕上げてしまうのかと膝を敲いた一編。 自分で飲むのも、そこいらの他人にあげるのも口惜しい、これはもう 自分がこの人ぞ!と思う人間に進呈するのだと持って行ったところが、 時節の品と勘違いされる可能性におののき、逃げ帰ってくる主人公^^; 行き場のないワインと、行き場のなくなった女との比喩も絶妙で笑える。 「京都まで」 冒頭の一編と真逆の立場でありながら、主人公が味わう苦味の質が 同じなんだよな〜と感じさせるところが切なくて怖い。 年下の彼氏に夢中になり、京都での逢瀬が楽しみで仕方ない主人公。 いっそ彼の元へ飛び込んでしまおうという、思いきった言動が相手を 震え上がらせ(爆)自ら退散を余儀なくされる…という^^;情けない女の 一部始終を赤裸々に描いてしまった、一編。 ここで登場する女友達(またか^^;)の発する台詞の正確さに怖れを感じ、 傍らにいる異性を再確認したくなる?ほどの信憑性に慄いてしまうかも。 男も女もまず仲の良い同性に、相手を紹介しておくといいかもしれない。 とはいえ、愛は盲目…?そこに歳の功など存在しないことも確かである。 どれもこれも怖いくらいリアルで、自嘲しながら汗をかく短編集。

  • さほどでもありませんでした

    最初の短編だけが頭抜けてすばらしいです。しかし残りはそうでもありませんでした。

  • 直木賞受賞作2編を収録した著者の代表作の一つ

    本書は、今や日本を代表する人気作家のおひとりで、数々の受賞歴をお 持ちの著者の代表作の一つである。直木賞を受賞した、表題作の「最終 便に間に合えば」と「京都まで」をはじめ、全部で5編の作品を収録した 短編集である。著者がまだ30歳頃の1985年に刊行した作品であり、当時 の著者とほぼ同年齢の女性が主人公に設定されている。なお本書は、2012 年に新版の文庫版として刊行されたものである。 本書に収録されているのは「最終便に間に合えば」「エンジェルのペン」 「てるてる坊主」「ワイン」「京都まで」の5編で、秀逸なのは、やはり 「最終便に間に合えば」と「京都まで」であるように感じる。 OLから造花クリエーターに転身し、東京で華々しい活躍を遂げている美登 里。ある日、仕事で札幌に行くことになったが、最終日に、かつての恋人 長原と会う約束をする。地元の札幌に移り、すでに家庭を築いていた長原 は、美登里とレストランで食事をとり、翌日の東京での仕事のため、最終 便で札幌を出る予定の彼女を誘ってきたのだった。かつては、美登里の紐 のような暮らしをして、なお美登里に強く絆されることのなかった長原が、 この日は、翌朝の便で帰れば間に合うという誘い文句と手つきで美登里を 誘惑してきた。そして、美登里の気持ちも少なからず揺れていく。最終便 に間に合うようにタクシーで向かう美登里と長原だったが、間に合わなけ れば…。 タクシーに乗りながら、最終便に間に合ってほしい、間に合ってほしくな い、という2つの気持ちが揺れながら、かつての恋人時代の描写が挿し込 まれながらえがかれる「最終便に間に合えば」。 知人から紹介された京都に住む年下の男、高志。東京に住み、東京でフリー の編集者をしている久仁子。久仁子は、京都までやってきて高志との逢瀬 を重ねていた。高志の育ちの良さや洗練された所作に、次第に久仁子はの めり込んでいくが…。恋に関係するさまざまな要因を盛り込みながら、甘 美な恋の終わりまでをえがいた「京都まで」。 この2作品以外にも、「てるてる坊主」や「ワイン」の滑稽さも魅力的で、 「てるてる坊主」などは、女性である著者だからこそ誕生した作品と言え るかもしれない。 2013年の現在からは、電話の場面や当時の経済状況やファッションなどが やや古く感じられる場面もあるが、著者の初期の頃の代表作として、読み 応えのある一冊である。

  • 著者のエッセイに較べ、小説はこんなものなのでしょうか?

    直木賞や芥川賞の受賞は、時間をおいて読むことにしています。これなどは少々時間が過ぎすぎましたが、その間に「不機嫌な果実」という評判になった作品を読み、ゲンナリさせられたせいでもあります。この作は一人の少々身勝手な女性の心理と行動を追ったものですが、その周囲の人間模様の描写といい、失礼ながら、なんだか、汚らしいものを読まされた気分がして仕方が無かったのを記憶しています。まあ、それだけ女性心理というものを深く描写したと言われれば、それまでなのですが・・・。それ以後、著者の小説は読む気になりませんでした。 「ルンルン~」以来、著者のエッセイを中心とする作品群に関しては、自分は熱心な読者であると思います。今回、かって直木賞を獲得し、著者が小説家としての原点ともいえる作品2作を、やっと読む気になりました。しかし、結果は「不機嫌~」を読んだ後の読書感を再び味わっただけ・・・。あれほどの不潔感は感じませんでしたが、主人公の女性の造形描写に軽さを感じて仕方がありません。文章は確かに技巧をつくしている箇所が見られますが、人間の心理はもっと複雑で、そんなに欲と感情にばかりかられたものではないのでは?という読後感です。「エンジェルのペン」という作品も読みましたが、同じ様な読後感でした。残念ながら文庫に納められた他の作品は読む気になりませんでした。それにしても、この文庫本、新装版とはいえ解説が無く、その代わりに著者の作品群を中心としたリストが並べられている構成。こんなのは初めてです。どうして、解説が無いのでしょうか?

  • 直木賞受賞のポイントがわかる

    著者の歩みが判る。

  • 女のリベンジストーリー、娯楽には最高♪

    週刊文春で長年エッセイを読んでいるハヤシマリコさん。 遠い昔に直木賞受賞作の本作を読んだ記憶がある けれど、はるか記憶の彼方。 何となくもう一度読んで見ようと思った。 表題作は、造花デザイナーとして成功した女が、 昔の男に連絡して食事を共にしながら過去を 回想し、自分が昔と違って相手にとって今は いかに価値のある女になったかを自負する、 というストーリー。 これは、一言で言えば、「昔はあなたに邪険に されたけれども、今はあなたになんか手が届かないわ」 というリベンジ心理を書いてるってことでしょ。 まるで、ハヤシマリコさんそのものの経験談だったりして。 女のリベンジ心理が、回想と現在の会話を巧みに 混ぜて書かれており、一気に読ませるのはさすが。 でも、読み終えれば感慨などはなく、娯楽として 読むには最適かと。 他に、直木賞受賞作の「京都まで」と、 短編2作が収録されている。 どれも、一気に読ませる点と、読後感は表題作と同じ。

  • 過去の直木賞受賞作品

    気の強い女。気の弱い男。強がる男。 30年も前に書かれた小説だがいまだに色褪せて無い。 「京都まで」が好きだった。いろんなものを背負って京都に来る年上の女と京都に住む年下の男。 探せば周りにありそうな恋愛。京都はそんな舞台に最適。 2018.1.31 読了3冊目

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