作品情報
隻眼の少女は、麻耶雄嵩の受賞作として刊行形態でも確認できる作品です。
隻眼の少女は、文藝春秋から刊行が確認できる麻耶雄嵩の作品。受賞歴と書誌情報を合わせて読むことで、同時代の文学賞が評価した題材や語り口を追える。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2010-09-30
- ページ数
- 420ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163296005
- ISBN-10
- 416329600X
- 価格
- 3488 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
寒村でおきた殺人事件の犯人と疑われた大学生・静馬を救った隻眼の少女探偵・みかげ。事件は解決したが、18年後に再び悪夢が…
レビュー
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面白かったです
最後まで楽しく読める一冊でした。
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トリッキー
まやさんの著作では2冊目として読みました。 1冊目は『螢』を読みまして、色んな意味ですさまじく気持ち悪い思いをしましたが こちらはまぁアリです。個人的には。 癖が凄いし、やはりなんとなく気持ち悪い読後感(特にエピローグの最後の台詞がなんとも…)ではあります。 本格ミステリとして読んではいけません。 どちらかといえばサイコホラーやサスペンスといった風情。 内容の割りに冗長と思える部分があったり、文語としてもマニアックな熟語や常用外漢字などを使ってみたり、登場人物大体メンヘラだったり 色んな意味での読みにくさがあります。
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僕らの住む世界
むやみに人が殺される、酷い死に方で。犯人も物凄い労力をかけているはずだ。それらと、その目的(報酬)が釣り合わなくては、〝現実〟は成立しない。ミステリーも然り、読者が納得しない。犯人がサイコパスだからさ、というのでは、リアリティがない。もはや三流ミステリーの誹りを免れないだろう。 だが、この現代社会はどうだ?納得できない理由で関係のない大勢の人が死んで行く。巻き込まれる。砲弾で、ミサイルで、物凄いお金や労力が費やされていく。これを〝現実〟とすると、時代はミステリーを超えてしまったのだろうか?ミステリーのリアリティは、どこにいくのだろう?
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炸裂、十八年殺し!
「これはないわ、バカミスでもしねぇよ!」という意見もございましょうが、 ”余りにも……”と自分も思った上で判断します。最高です。 巽昌章氏の解説で、”謎解きの為の世界構築への発想転換”について触れられていますが、 現実から地続きの、(パラレルワールド的な)小説世界にギリギリ踏みとどまる範囲で、 最もうまいことやった作品なのでは?という気がします。 (一方、”あり得ない!”レベルで、まとめたのが「生ける屍の死」) 踏みとどまるというのは勿論ミステリー小説の中で、ということですが、 その要素の1つが、巽氏も例にあげている「獄門島」からのモチーフ拝借です。 「あぁ姉妹連続殺人ね、なんかもう使い古されてるけど、アリっちゃアリだよね~」と、 容易に話に入ってこれるように、三つ子を用意して屠り続けたのでは。 もっとも、「獄門島」を全く知らない人には通じない手ではありますが。 余りにも簡単に死人が出続けるので、比菜子(第一部でのスガル)か・・・・・ もしくは探偵が犯人じゃないの?と思った事も、どっかの時点ではありました。 一応、一部の終盤で”解決”は提示されますが。 そして第二部。 最初の犠牲者が”雪菜”だったので、「あぁ、春夏秋冬完成させるために!?」と酷い勘違いもしました(”冬”じゃないって)。 もしくは、”三つ子は殺めなくてはならない”という裏教義が存在するでは?とか。 なんだかんだで、私も和生説に傾いてましたが、度肝を抜く展開に、本を投げそうになりました。 18年後でもじわじわ効いてくる周到な手がかり・・・。何という犯人の狡知!! ”本当に真の解決かどうか作中では証明できないこと”の他に、 ”探偵が来るから更に事件が起こる”という問題も孕むこの作品、 問題作の一言では済まないくらいの「問題作」にもなってると思います。 んでも、例の二十則だかに1つ付け加えて欲しいかも。 「話の途中で死んだことになってる人物が実は生きてて、その後の事件に関わらせてはならない」と(笑)。 ・その他 ”奏鳴曲”を読んでる途中で知った作品で、「隻眼て桐璃に関係あるのか?」とか一瞬思ったものの全然違った。 契りの前あたりはちょっと感動覚えたというのに、私もあの感動を返して欲しいクチの一人。 それでも、このエンドシーンはいいなと思いました。ちょっと救われた。 ついでに、略して”種馬”は気づいてました。 他にも二部では、静馬絡みで二箇所ほどクスッと出来、横道的にも割りと楽しい読書体験でした。
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後半から別作品が始まる
衝撃的な結末でした。 この展開を予測する事はまず不可能でしょう。 ミステリーの根幹を揺るがしたと言っても過言では無いと思います。 閉鎖的な村で起こる連続殺人事件。 それを解決する奇抜ながらも魅力溢れる探偵と冴えない助手。 村に伝わる古い言い伝えに、村民から神と崇められる崇高な人物。 ありふれた題材にありふれたストーリー展開。 推理小説としては可もなく不可もなくと言ったところかなと思っておりました。 途中までは。 しかしながら、後半部分に差し掛かった辺りからそうではない事が徐々に分かってきます。 何故なら事件が終結したにも関わらず、ページ数がまだ半分も残っているのですから。 事件が解決したのに一体ここからどう繋げていくのか… 頭に疑問符を浮かべている内に事態は急展開を迎えます。 もはや別作品を読んでいるかのようです。 推理モノは、事件のトリックは当然の事として真犯人の正体にも重きが置かれている事は誰もがご存知の事でしょう。 いかに読者の予想を裏切る真犯人を用意する事ができるかが肝です。 当作品はその点に於いて「素晴らしい」と表現するしかありませんでした。
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クイーンの後期的問題に着目して読むと◎
本書は、2010年に発表され、その年末の各社ミステリランキングでも上位に掲げられたうえ、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞を受賞した、という、本格ミステリ好きなら読みたくなる作品ではないかと思います。 物語は、2部構成で、第1部は、1985年の冬。 信州の寒村で、神がかり的な点で村人に崇められている琴折(ことさき)家で事件は起こった。 神的存在として代々受け継がれてきた「スガル」の後継者とされていた娘が、首を切断されるという痛ましい状況で殺されたのだ。 大学のフィールドワークと称して、村に滞在していた種田静馬は、母親を継いで探偵を目指す、隻眼の少女、御陵(みささぎ)みかげに出会い、探偵助手見習いとなる。 やがて次々と起こる惨劇。 第2部では、18年後の2003年の冬に時が移ろい、再び村で惨劇が起こるが…。 作品を取り巻く雰囲気は、横溝正史の世界。 因習に満ちた一族と、彼らを襲う、陰惨な殺人事件の連続。 おどろおどろしい物語設定に、胸を躍らせる読者も多いのではないでしょうか。 しかし、本作品の主眼は、別のところにあります。 それは、犯人が次々と偽の証拠で探偵をかく乱するという設定。 このことが原因で、探偵・みかげは、何度も誤った推理をしてしまう。 ──これは、いわゆる「クイーンの後期的問題」と呼ばれるもので、たまらない魅力を秘めています。 そういう意味では、本作品は、万人受けではなく、やはり本格ミステリ好きを狙って書かれたものだと言えるでしょう。 私は、探偵と犯人のロジックを通した、一種の頭脳戦のような展開が大変面白く思いました。 また、この作者ならではの趣向も、気に入っています。 少し大人しめの結末かもしれませんが、パズラーらしい工夫が凝らされた秀作だと感じています。
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「そりゃねえだろ」 愕然とさせられる、相変わらずぶっとんだ真相
麻耶雄嵩は相変わらず図抜けている。 「こういう文章を書く人はこういう顛末は用意しないだろうな」という先入観、お約束を易々とぶち破ってくれる。 この作品を書くにあたり、作者は田園集落のガラパゴス化した風習について相当調査したフシがあるが、真相はそういう方向性とは全く別のベクトルで語られるものだった。この作品を読書中に間違って登場人物に感情移入してしまった人ほど、読了後激怒するのではないだろうか。 こういう読者の意表を突くことに心血を作家は、つい最近早坂吝が出てくるまで他に誰もいなかったように思う。
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びっくりします
最後まで気を抜けません。面白いですよ。 ただ、なかなかな描写なので、覚悟して読んで下さい。
関連する文学賞
- 日本推理作家協会賞 第64回(2011年) ・受賞
- 本格ミステリ大賞 第11回(2011年) ・受賞