日本の文学賞

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夫・車谷長吉

講談社エッセイ賞

夫・車谷長吉

高橋順子

作家・車谷長吉との暮らしを、妻で詩人の高橋順子が綴った回想記。創作に向き合う夫婦の時間と、別れの記憶が静かに描かれる。

回想記夫婦作家の生活喪失

作品情報

作家と暮らした日々を、もっとも近い場所から見つめ直す。

文藝春秋から刊行され、のちに文庫化されたエッセイ。私小説作家を支えた日々と、残された者のまなざしを丁寧に記録している。

レビュー要約

  • 受賞作としての着想や題材の明確さが評価されている。流通情報が限られる作品では、選評や書誌情報を中心に確認できる。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2017-05-12
ページ数
277ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163906478
ISBN-10
4163906479
価格
1760 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/エッセー・随筆/日本のエッセー・随筆/近現代の作品

この世のみちづれとなって―― 十一通の絵手紙をもらったのが最初だった。 直木賞受賞、強迫神経症、お遍路、不意の死別。 異色の私小説作家を支えぬいた詩人の回想。 【本文より】 長吉は二階の書斎で原稿を書き上げると、それを両手にもって階段を降りてきた。 「順子さん、原稿読んでください」とうれしそうな声をだして私の書斎をのぞく。 私は何をしていても手をやすめて、立ち上がる。食卓に新聞紙を敷き、 その上にワープロのインキの匂いのする原稿を載せて、読ませてもらう。 (中略) それは私たちのいちばん大切な時間になった。原稿が汚れないように 新聞紙を敷くことも、二十年来変わらなかった。相手が読んでいる間中、 かしこまって側にいるのだった。緊張して、うれしく、怖いような 生の時間だった。いまは至福の時間だったといえる。 (本文より)

レビュー

  • 面白いの一語に尽きる

    車谷長吉の赤目四十ハ滝心中未遂を読んだ時は、それ程印象に残らなかった。今回高橋順子の本を読んで、車谷も高橋も興味深い人生を送っていると思った。これから車谷や高橋の本を探して読みたいと思っている。

  • 面白くて切ない

    荒ぶる天才を御しながら、自らも才能溢れる詩人でありながら、深い慈母の眼差しで見守ってこられた著者のご苦労に只々脱帽です! 「うちの嫁はん」がいらっしゃらなければ、あの大傑作「赤目四十八瀧心中未遂」はこの世に出なかったろうと改めて確信しました。 ある意味、夫婦の寄り添い方の理想型を見る思いでした。

  • みずみずしい文章表現で、夫を描いています

    とても、70代の女性が書いたように思えない、みずみずしい情感の綺麗な文章表現です。又、慶応独文科・東大仏文科、関西・関東、作家・詩人と共通点が有るようで、無いような御夫婦だったようです。高橋順子さんは、上品な妻であり、姉で有ったようです。更に、車谷長吉を知る上で必読書です。

  • 心温まるいい本だ

    夫、車谷長吉との出会い、結婚、二人の生活、直木賞の受賞、彼の死まで 詩人である高橋さんの暖かい、そして本質をついた文章で書かれ、具体的なエピソードも興味深い。 車谷さんが高橋さんのことを思いを寄せ 数多くのラブレターを書いていたことなど、かわいらしい。 また車谷の狂気の部分も書かれていて、この作家を知るのにも格好の本です。好きな本だ。 これを読んで高橋さんの詩集を買った。

  • 対応は的確

    対応に全く問題はないが、文庫本にしては高額なのに本の状態は使用感がかなり濃厚。再版されずに稀少本となっているらしいのでやむを得ない。。。

  • 長吉っぁんファンなら必読

    淡々と順子はんが長吉との出会いと暮らしを綴る。面白いのは順子はんも割と他人に容赦無く毒づく。無論長吉の毒気に触れたせいであろう。筆を折った辺りから毒が抜けていき、イカ丸呑みにするほど呆けてくる長吉を読めるのはこの本だけ。買い。

  • 淡々とした回想が時にしみじみさせたりもする好著。熟年夫婦のあり方も考えさせる

    高橋順子が車谷長吉と結婚したのは、50歳近かった。 高橋順子の、いわば癒やし系のキャラと車谷長吉は、どうしても結びつかなかった。 結婚後しばらくして『けったいな連れ合い』(PHP)というエッセイが出た。 この本で、2人が微妙な距離関係で、 しかもときには子供のように仲良く暮らしてきたことがわかった。 ---- 20代の粘土のような二人ではなく、ひびの入った茶碗のような私どもだった。「割れ鍋に綴じ蓋」というが、茶碗同士合わせものになれるのか。しかしながら一緒に食事をすることに喜びを感ずる私たちは茶碗であった。 ---- と半ばおのろけのように綴っていたが、実際は車谷が友人をモデルに小説を書き、 それがトラブル続きで、どんどん友人は減っていったという。 今度のこの本で、それでもなお20年連れ添った理由がわかる気もした。 あの二人は、「相性」が合っていたのだと思う。トラブルが、なぜか「収まるところ」に収まっていく。 夫婦のことは他からはわからないものだ。本書でもすべてを赤裸々に綴っていないかもしれない。 しかし、損得で結びついているだけの夫婦ではなく、互いの心が互いを必要としていたのだとも思った。 10年ほど前「NHK俳句」のゲストに高橋順子が招かれたとき、「二人句会をするんですよ」と話していた。 「これは○かな、×かな……どっちでもないから三角のおにぎりだね」 とエピソードを話し、俳人の正木ゆう子(だったと思う)が「わあ、すてき!」と 言ったことを覚えている。二人は価値観は違ったかもしれないが、「共通項」が多かったのだろう。 車谷は句集も出している。まさに素敵な夫婦だと、この本を読んで改めて思った。 もちろん、若い人同士のラブラブではないから、いろいろあったと思う。 だが少なくとも高橋順子はそのことで深く思い悩んだりはしなかった。 高橋順子も「ほんわか」だけの人ではなく、野蛮で凶暴な「車谷的」な面があったのかもしれない。 いい本である。

  • GOOD

    GOOD

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