作品情報
太宰治の素顔と作品の核心を、後半生の軌跡から照らし出す評伝。
大佛次郎賞と和辻哲郎文化賞を受けた太宰治評伝。晩年の人間関係、創作、死への傾斜を、作家論としても読める密度でまとめている。
レビュー要約
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太宰作品を読み直すための補助線として評価されている。作家の逸話を追うだけでなく、作品と人生の相互作用を濃く描く点が読みどころになっている。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2005-03-10
- ページ数
- 638ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784167350062
- ISBN-10
- 4167350068
- 価格
- 882 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
妻美知子との出逢いから玉川上水心中まで、天才作家の後半生を描き、大佛次郎賞、和辻哲郎文化賞を受賞した太宰治評伝の決定版!
レビュー
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太宰論・伝として最高傑作
太宰といえば奥野健男か猪瀬直樹だが、実はこれが最高の太宰論・伝なのである。
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太宰治を知る新しい視点
読み応えのある本だった。読み終わってから「桜桃とキリスト」が何を意味するのか分かった。自殺する前の遺書の下書きのメモにある一節をめぐって、猪瀬直樹の「ピカレスク」では、井伏鱒二に対して否定的に書いているが、ここでは井伏氏に対して、やさしい視点で書いている。それは、著者が実際に井伏氏に会った事があるかないかの違いにもあるのかなとも思ったが、読んでいく上で、ほっとした気持ちにもなる。 三鷹の仕事部屋で執筆に専念しながらも、3人の女性、友人、他の小説家との緊張関係やいざこざに翻弄され、苦悩する太宰治の姿が目に見えるようだ。 太宰治を読むことは、青春時代の通過儀礼と思っていたが、あの文体や、他に例を見ない筋の面白さなど、太宰治が稀有の小説の天才であることを、改めて知った。「結局彼は、3人の女性にそれぞれが望むものを与えた」というくだりや、「神の愛を実感できない信仰は、太宰にとっては自分を責めるものであった」という指摘も、納得が出来た。 若い頃、太宰治に夢中になった一人として、このような本を読めたことは、自分を総括する意味でも有意義だった。
関連する文学賞
- 大佛次郎賞 第29回(2002年) ・受賞