ヘルマフロディテの体温
性と身体をめぐる神話的なイメージをまとった長編。秘密めいた雰囲気の中で、欲望、身体感覚、美しさと痛みが散文詩のような文体で描かれる。
作品情報
両性具有の神話が、身体と欲望の物語へ変わる。
ランダムハウス講談社刊。耽美的な装丁と文体で、ジェンダーやセクシュアリティを暗い寓話としてではなく、生の歓びと苦さを含む体験として描く。
レビュー要約
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官能とジェンダーをめぐる寓話性を評価する声がある。耽美的な文体と観念性が魅力である一方、濃密な語り口は読者を選ぶ。
書籍情報
- 出版社
- 武田ランダムハウスジャパン
- 発売日
- 2008-04-03
- ページ数
- 216ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784270003183
- ISBN-10
- 4270003189
- 価格
- 7024 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
「翻訳書を思わせる文体。妖しい香り。 優雅で秘密めいた、散文詩のような作品」 ――直木賞作家 小池真理子氏推薦!! 真性半陰陽(ヘルマフロディテ)の大学教授 年老いた女装街娼 去勢された男性歌手 ――異形の愛の物語 欲しいのは真実ではなく、 真実だと感じさせてくれる途方もない おとぎばなしだ 背徳と情熱の街・ナポリ。 海辺の田舎町からやってきた青年シルビオは、 謎めいた真性半陰陽の大学教授と出会う。 男でもない女でもない教授が出す、奇妙な課題の数々。 だがシルビオは、次第にその課題の虜となっていく―― ランダムハウス講談社新人賞優秀賞受賞! ある日、母が「男」になった。 それが始まりだった。 以来、シルビオの世界は少しずつゆがみはじめた。 人に言えない悪癖にとりつかれ、他者と交わることもできなくなったシルビオ。 そんなとき、背徳と情熱の町ナポリで 男でもない女でもない、謎めいた大学教授に出会う。 教授の出す奇妙な課題はさらに尋常ならざる世界へとシルビオをいざなう・・・・。 年老いた女装街娼や去勢された男性歌手、 伝説の人魚や両性具有の神たちが織りなす哀しくも優しい異形の愛の物語。
小島てるみ 1968年生まれ。宮城県在住。 専修大学文学部英米文学科を卒業後、イタリア、スペイン、ラテンアメリカに留学。 翻訳業を経て、イタリア語で小説を発表。 本書『ヘルマフロディテの体温』で、2007年に第一回ランダムハウス講談社新人賞優秀賞に輝く。 富士見書房より同じくナポリを舞台にした『最後のプルチネッラ』を同時刊行。
レビュー
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すべてこの作品にあることが真実だと思ってしまう
作家の小池真理子さんがおっしゃっていたようにこの作品はまるで翻訳書のようです。本当に日本人が書いたのか?と。 とても神秘的で幻想的で官能的で…芸術です。 両性具有を扱っており、テーマの好みは別れるでしょうがこの作品は読みやすいので、あまりこういうジャンルを読まない人でも楽しめるのではないでしょうか。 本当に素敵な本です。 文中に出てくる知らない本や作品名すべて調べ、すべて触れてみなくなりました。舞台のナポリにも絶対に行きたい! 数日前に一晩で読み終え、いまだにヘルマフロディテの体温に浸ってまいす。 まだ酔いがさめません。
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題材は面白いが文章
とても興味深い題材を扱っていて本自体は読みやすくよかった。 だが意味不明なほど多い改行や「〜だ。」の四連、五連コンボなどやや表現が乏しい。比喩もありきたりでステレオタイプなものが多いのが残念だ。「あまり上手でない翻訳家が翻訳した海外の面白い小説」という印象。 わたし自身、実はヘルマフロディテの一人なのだが、作中に登場するヘルマフロディテのゼータ教授はあまりにも神秘性を強調した存在で、幼少期のジレンマを除いてはあまり感情移入することはできなかった。性描写も露骨で作者自身がヘルマフロディテをイロモノ扱いしているのではとも思ってしまった。(これは少し考えすぎだと思うが) アイデアは本当に面白いと思うのでこれからもっともっと表現を豊かにしていってほしい。今後の活躍に期待する 余談だが、カストラート(去勢歌手)を扱った作品で鳩山郁子さんの「カストラチュラ」がある。これは漫画だが、そこらへんの小説以上に(良い意味で)難しく、絵もきれいで読み応えも十分なので興味がある方にはおすすめしたい。
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連作短編集的な趣き
『最後のプルチネッラ』の後、こちらの作品も読んでみた。当たり前といえば当たり前だが、『最後のプルチネッラ』を読んで相当に面白かったがゆえに、こちらも読んでみる気になった。舞台は同じナポリ、どちらも短いエピソードを積み重ねてひとつの物語を創り上げていく。しかしその雰囲気は随分と違う。作者の特性からすると、こちらは少々エキセントリックに過ぎるか・・・。 それでも、こちらの作品も相当な力を持っている。さながら連作短編集のように、一貫したモチーフの中で語られる幾つもの物語。それぞれに小さなクライマックスを繰り返し、最後に絶頂を極める。まるで、濃密な情交を描いているかのように。読後の開放感は、まさにそこから生れるのではないだろうか。第二楽章、〈醜聞の女〉に於けるカストラートの物語が、個人的にはこころ惹かれるものがあった。
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幻想的でも人間のにおいがする物語
ALI PROJECTの宝野アリカさんがブログでおススメされていたので わくわくしながら読んでみました! まさにアリプロの世界のような雰囲気で、物語に一気に引き込まれていきました。 耽美な世界に浸りたいと思って読み始めましたが、 最後はほっとあたたかい気持になりました。 キャラクターたちはエキセントリックでしたが、その中に 普遍的なメッセージがあるような気がしました。 お話の中のお話という構成も面白かったです。 ナポリが舞台のお話が中心なのでしょうか? 他の作品も読んでみたいと思いました。
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とてつもない物語
ダ・ヴィンチの記事が凄そうだったので買ってみたらヒット! 新人デビュー作ということなのだけど、とんでもなくおもしろかった! 骨太なストーリー、知性的で官能的で情熱的な文体とキャラクター、強烈なメッセージ性、圧倒的な読後感。 両性具有というエキセントリックなテーマなのだけど、受ける印象は思索的。 真摯に真剣に執筆している、その気迫に打たれました。 「最後のプルチネッラ」という作品と同時デビューらしいので、明日買いに行くつもり。 この作家は凄いと思います! いや、凄いです。
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ナポリは「人魚の死」から生まれた。
表紙と「真性半陰陽」(ヘルマフロディテ)という題材だけみたときは、ゴシック・ファンタジー!? という印象を抱いていたのですが、読んだ後は、ナポリという「からだ」をめぐる物語という印象を受けました。題材は難しいですが、文章はザックリしているので、意外ととっつきやすいです。
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読んでよかった。
読んでよかった。表紙からゴシックファンタジーだと思って購入しましたが、中味は現代のお話でした。
関連する文学賞
- ランダムハウス講談社新人賞 第1回(2007年) ・優秀賞
- センス・オブ・ジェンダー賞 第8回(2008年) ・大賞