作品情報
ふくださちの初期作として発表され、のちに書籍化された作品。
ふくださちの初期作として発表され、のちに書籍化された作品。
書籍情報
- 出版社
- 河出書房新社
- 発売日
- 1981-12-01
- ページ数
- 194ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784309002569
- ISBN-10
- 4309002560
- 価格
- 540 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 百色メガネ : ふくださち: 本
レビュー
-
読後まことに嫌な気分になるのでうつ気味の人は読まぬがよし。
1981年文藝賞受賞作品。著者は1929年生まれで当時52歳、本名福田幸雄。最後に作品を発表したのは2000年の『新潮』で、私は当時、おお、ふくださちが、と思ったものだ。この、女かと思う筆名もアレだが、文藝賞は前年、田中康夫、中平まみの受賞、この同期には女子高生の「アイコ十六歳」の受賞の話題でもちきり(あと山本三鈴と三作受賞)。 以後単行本は出ていないし、この作者が存命かどうかも分からない。だがこれは再発見される可能性のある作品である。作は、堂場という男が、叔母夫婦を殺した罪で絞首刑になるところから始まる。語り手兼主人公は、作者と同年配で「左千夫」といい、私小説かと思わせる。左千夫はその後、トルコ★嬢らしいがそれとは書いていない、いまだ男に体を許したことがないという女のところへ行く。M子とある。で、男は「紙の輪の儀式」というのをやっている。トイレットペーパーで輪を作って鴨居からかけて首を吊るのだ。たいていは紙がちぎれるが、何重にもすると成功する。これでT子という女が自殺したという。 それから話は戦時中へとび、父親は名誉の戦死をとげ、左千夫には十歳以上下の稲美という妹がいる。戦災孤児になった二人は、母親の骨壺を抱えてさまよう。六歳くらいか、妹は飢えのため骨壺の骨を少し食ったようだ。左千夫は軍人から、ペニスをしゃぶるか尻を使わせるかしろと迫られる。妹は孤児だからか施設へ入れられるがその後は左千夫が育てる。左千夫は鉄工場で働く。稲美は大学を出た堂場と知り合う。堂場は左千夫に「勃起の遅い娘さんだ」と言うが、その意味は最後まで分からない。 堂場は妹から九万円を結婚資金として借りるが別の女とできたか、返済を迫られて叔母に借りて返すと言う。左千夫は後をつけていく。叔母の家から出てきた男を見た。堂場が行った時には叔母は殺されていたという。だが左千夫は法廷で男のことは言わない。 かなり怖い小説である。
関連する文学賞
- 文藝賞 第18回(1981年) ・受賞