日本の文学賞

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いつか深い穴に落ちるまで

文藝賞

いつか深い穴に落ちるまで

山野辺太郎

書籍情報

出版社
河出書房新社
発売日
2018-11-15
ページ数
160ページ
言語
日本語
サイズ
13.7 x 1.9 x 19.6 cm
ISBN-13
9784309027616
ISBN-10
430902761X
価格
1230 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品

サラリーマン・鈴木、人生を「穴」に賭ける 「なぜ、そんな穴を?」 「だって、近道じゃありませんか」 日本戦後史 × 穴掘り × やるせない会社員 日本-ブラジル間・直線ルート極秘開発プロジェクト、開始。 大ボラサラリーマン小説の爆誕!!! ◎選考委員、驚愕 小説という表現を信じる力の強さと、想像力の勝利に打たれて、 私はこの作品を絶対に世に出したいと思った ーー磯﨑憲一郎氏 「よくまあここまで」と思わせる大風呂敷なホラ話。 これぞ文科系の土木小説! その野蛮さは大物の片鱗 ーー斎藤美奈子氏 奇妙だから面白いのではない。真面目だから面白い。 作品の生真面目さ、のようなものに惹かれた。 ーー村田沙耶香氏 【あらすじ】 戦後から現在まで続く「秘密プロジェクト」があった。 発案者は、運輸省の若手官僚・山本清晴。 敗戦から数年たったある時、新橋の闇市でカストリを飲みながら彼は思いつく。「底のない穴を空けよう、そしてそれを国の新事業にしよう」。 かくして「日本-ブラジル間・直線ルート開発計画」が「温泉を掘る」ための技術によって、始動した。 その意志を引き継いだのは大手建設会社の子会社の広報係・鈴木一夫。 彼は来たるべき事業公表の際のプレスリリースを記すために、 この謎めいた事業の存在理由について調査を開始する。 ポーランドからの諜報員、 業員としてやってくる日系移民やアジアからの技能実習生、 ディズニーランドで待ち合わせた海外の要人、 ブラジルの広報係・ルイーザへの想い、 そしてついに穴が開通したとき、鈴木は……。 様々な人間・国の思惑が交差する中、日本社会のシステムを 戦後史とともに真顔のユーモアで描きつくす、大型新人登場。

1975年、福島県生まれ。宮城県育ち。42歳。東京大学文学部卒業、同大学院人文社会系研究科修士課程修了。現在、会社員。

レビュー

  • 読む価値が高い。

    実に真面目な純文学だ。おもしろい。

  • オチ

    オチさえもう少し違えば。

  • これぞ小説の醍醐味!全ての仕事人におススメしたい物語。

    これぞ小説の醍醐味と言える素晴らしい作品。 「無駄かもしれない事業のなかでもこれこそ無駄の最たる営みではなかろうか」(本文より)という 壮大な穴掘り事業に従事する主人公、鈴木。 コスパ勢が聞いたら口から泡を吹きそうな、採算のあてもない仕事に、 彼は愚直に取り組んでいく。 なぜこんな事をするのかという理由は、ぜひ本文を確かめられたい。 極めてシンプルで、シビれる納得の答えが用意されてある。 他の登場人物も山本、藤村、藤原、大森、石井など、ありふれた名前ばかり。 誰しもが誰かの代理であるようなこの世界で、 それでも何か意味があることをしたい、しているのだ、という願い。 底が見えない穴は深遠で怖い、 それでも一筋の希望が底にあるのではと 鈴木とその周りの魅力的な仲間が挑んでいくのだ。 ラストに向かってはページがめくる手が止まらない。 文章は非常に読みやすい。 ユーモアが散りばめられ、さらっと伏線が張ってあるのを、 想像力で補いながら読み進めていくのは、至高の読書体験だった。 こんな小説は滅多にお目にかかれないのではないか。 次はどんな物語を書くのだろう、そう思わせる魅力がある。 今後もこの著者の作品はぜひ読んでいきたい。

  • なんじゃこりゃ

    TVで紹介されていたから読んだのだが、ガッカリ、それ以外に言葉が見つからない

  • 気鋭の作家現る

    表紙のイラストと装丁は微妙ですが、話はとても面白いです。 著者の次回作も期待大です。 蛇足ですが、著者のスペックもすごいです。こういう人を天才というのでしょうか。

  • 深く、豊かな小説世界へ

    この小説に出合えてよかった。 「いつか深い穴に落ちるまで」。タイトルが示すこの作品の深く、豊かな世界は、小説の歴史を静かに、確かに更新した。 地球をつらぬく深い穴を掘るという大事業。これは善なのか、悪なのか。リアルなのか、シュールなのか。すべて宙吊りのまま、物語は実直な主人公の視点で戦後から現在までを通観する。 しかし、話は直線を描かず、ささやかな寄り道を繰り返す。 ここが最高、ほかの人には書けない。 多国籍な登場人物との絶妙なエピソードが、淡い情感とともに「報告書」におさめられ、ほんの少しだけ主人公の人生を彩る。著者のあたたかなユーモアと品格ある筆致に、小説を読むことの純粋な楽しみが感じられる。 同時に、主人公がたどるであろう道筋を思うと胸がつまる。 そしてラストシーンが近づくにつれ、仄暗い空気がただよい出す。一縷の望みは未来を変えるのか。息をのむような最後の瞬間、宙吊りにされた疑問符はどうだってよくなり、この小説の底知れなさに心が震える。

  • ラストでしらけた

    淡々と大ぼら噺が繰り広げられるところは、興味深かったです。 ただ、ラストでちょっと白けてしまいました。 物理的に言えば、穴に飛びこんだら、ブラジル側ではちょうどエネルギーがなくなるはず。 野暮かもしれませんが、そんなことを考えてしまい、白けたのでした。

  • 「変」ではあるが、別に「面白く」はない。

    「地球の裏側まで穴を掘る」というモチーフの着想はユニークだが、実に、それだけでしかない。 「地球の中心部にはマントルという5000℃もの高温の層があるんですよ。それをどうやって突破するんですか?」 「地球の中心部で重力はどうコントロールするんですか?」 …などという野暮なツッコミをする気もないが、それにしたって、「地球を貫く穴」になんのリアリティーもない。 かと言って、奇想天外なファンタジーとして秀逸なわけでもない。 ファンタジーを淡々と描いているから面白いのだろうか?私にはその「淡々と」と「筆力がない」の違いがわからない。 「これぞ文科系の土木小説!」という評が出ているが、「文科系」というのは「理系ができない」という意味ではないはずだが。 本書のフィクションをミニチュアのジオラマに例えるなら、実物そっくりの精巧さもなく、かと言って、大胆な解釈で世界を切り取った発想の豊かさもなく、ただお茶を濁した工作の跡しか見えない。つまり、「子供だまし」なだけ。 「地球を貫く穴」という“少し変”なモチーフに、日常の些事エピソード(桃の缶詰とか、自販機の飲料とか)を断片的に肉付けして仕上げたにすぎない。金正男(?)も、東日本大震災も、エピソードとして消化しきれておらず、パロディーにも、ユーモアにも、アイロニーにもなっていない。ただの稚拙な引用。 地球を貫く12000kmの穴の深さも描けていないし、主人公の新入社員から50代までの時間の長さも描けていない。(20代でも50代でも驚くほど変わり映えせずに描かれている) 本書は文学賞の受賞作のようだが、こうした「目くらましの一発芸」だけで選考を通過できちゃうのなら、ちょっとがっかりだ。

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