限りなき夏 (未来の文学)
「青ざめた逍遥」は、時間の勾配を越える橋が存在する未来の英国を舞台にした、クリストファー・プリーストの時間SFである。少年マイクルは橋を斜めに渡ったことで遠い未来へ迷い込み、そこで出会った少女エスティルへの憧れを抱えたまま、成長後も過去と未来のあいだをさまよう。
作品情報
時間を渡る橋で見た少女の面影が、少年の人生を未来への逍遥に変えていく。
マイクルが暮らす世界では、時間の流れを横切る橋を渡ることで昨日、今日、明日、そしてはるかな未来へ踏み込むことができる。子どものころの偶然の跳躍で未来の少女エスティルを見た彼は、その面影に囚われ、人生の節目ごとに橋へ戻っていく。時間旅行の仕掛けを、恋の記憶と取り返しのつかない選択の物語へ変える短編である。
レビュー要約
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読者からは、表題作と並ぶ時間SFとしての叙情性、恋愛の切なさ、静かな語り口が評価されている。幻想的な設定の美しさを支持する声がある一方、遠回りに進む構成や現実感が薄れていく語りに読みづらさを感じる反応もある。
書籍情報
- 出版社
- 国書刊行会
- 発売日
- 2008-05-01
- ページ数
- 403ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 19.5 x 13.8 x 3 cm
- ISBN-13
- 9784336047403
- ISBN-10
- 4336047405
- 価格
- 2640 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/評論・文学研究/外国文学研究/英米文学
大好評海外SFシリーズ<未来の文学>第10回配本は、『奇術師』『双生児』で現代文学ジャンルにおいても確固たる地位を築いたプリーストの初のベスト短篇集。連作「ドリーム・アーキペラゴ」シリーズを中心にデビュー作「ラン」、代表作「リアルタイム・ワールド」「限りなき夏」など、研ぎ澄まされた達意の文章で綴られた傑作群全8篇を集成。日本の読者に向けた書き下ろし序文を特別収録!
クリストファー・プリースト...1943年イギリス・チェシャー州生まれ。66年に短篇"The Run"でデビュー、以後イギリスSFの旗手として活躍。SFと幻想小説の境界線上にある作品を多数発表。主な作品に『奇術師』『双生児』などがある。
レビュー
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再構成できない
書かれていることがイメージできないままだ。 再構成できないのだ。プリーストの長編はドラマのようで面白い。 でも短編は、展開が早すぎる。 やはり長編で語る作家なのかもしれない。
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この作家の近年の長編に違和感を持つ方にむしろおすすめです
表題作がアンソロジー既出ということもあり、後回しにしていたプリーストの短編集。 「魔法」以降のプリーストの長編ファンタジーは、ストーリーは面白いけれど、どことは言えない品のない感じがひっかかって、世評ほど好きになれずにいました。この作品集にはそういった嫌な「ひっかかり」を感じるものがなく、個人的にはずっと好ましい印象です。 単純に初期作品が多いからかもしれませんが、読みやすさを追求したため官能が俗っぽさにすりかわってしまったような部分がないせいかなもと思います。それを欠点ととらえず、ストーリーテリングの妙と思える方には物足りない作品集かもしれません。この作家の熱心な紹介者である編訳者のあとがきからして、長編翻訳を待たせる間のつなぎとして読ませたいというような書き方だし。 が、向こう受けする作家になってしまったプリーストに違和感を覚える方、ファンタジー的導入の中短編SFが好きな方にはお薦めできる作品集です。
関連する文学賞
- 英国SF協会賞 第11回(1979年) ・受賞