邪光
牧村 泉の『邪光』は、ホラーサスペンス大賞の受賞作として知られる作品。題名が示す世界を軸に、人間関係、記憶、時代の空気を描き、受賞対象としての完成度を備えている。
作品情報
邪光は、ホラーサスペンス大賞の受賞対象となった牧村 泉の作品。
牧村 泉の『邪光』は、ホラーサスペンス大賞の受賞作として知られる作品。題名が示す世界を軸に、人間関係、記憶、時代の空気を描き、受賞対象としての完成度を備えている。
書籍情報
- 出版社
- 幻冬舎
- 発売日
- 2003-01-01
- ページ数
- 373ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784344002890
- ISBN-10
- 434400289X
- 価格
- 53 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
黎子は狂信的な新興宗教の教祖のひとり娘。多発する殺人事件の現場には、いつも黎子の姿が__。刑務所の母親に代わり粛正をしているのか。第3回ホラーサスペンス大賞、特別賞受賞作!
レビュー
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救いがない!
「邪光」読書歴は長い物の初めてのジャンルの本。最初、どんどん、読んで、新鮮なおもしろみがあった。けれど、私は、この本の最後につきる。どんなに、「よい能力」を持って生まれてきたところで、この世は、あまりにひどい人と物にあふれている。「よい能力」は「悪の力」へと。やむなく、変わってしまう。主人公の真琴も、この不思議な少女にさえ出会わなければ・・・きっと、みんなと同じように、「ごまかした人生」を穏やかに過ごしていったのだろう。少女は、きっと、疲れ果ててもいたのだろう。見えないものが見えることで、疲れ果て、希望もなく絶望の中で生きてきたのだろう。読み終わった後味が、悪い。事実、この世もそういう「悪」だらけなのだし・・???私は、やはり、このジャンルにははまれそうにない。
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この1冊でファンになります!
プロローグから引きこまれました。 もし他人の邪悪な心が目に見えたならどうなるか?邪悪な心を持たない人間がこの世に存在するのか?邪悪な心を持つと言うだけでその存在を否定できるのか?殺人事件が日常茶飯事となってしまった現代において、この小説に仕組まれた仕掛けは鋭く心に訴えかけてきます。登場人物の描き方がリアルなだけに、他人の邪な心=邪光が見えると言う設定にすら息苦しいリアリティを感じるのです。 細部にわたって考え抜かれた緻密なプロット、じわりじわりと物語に引きこんでいく見事な語り口、アッと思わせる一行のインパクト、などなど。この作者が書いた作品を残らず読んでみたい、久々にそんな気にさせてくれる一冊でした。
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やさしさは、無力?
大阪に暮らす主婦、真琴は、同じマンションに殺人犯の娘が越して来ることを知る。隣の住人となった彼女は、外之原黎子・12歳。彼女は、大量バラバラ殺人事件を起こした宗教団体「赤光霊宝会」教祖の娘であった。まるで覚りの化け物のごとく、察しが良すぎる黎子にとまどう真琴。そして、黎子の周りでは殺人事件が多発し始め…。 人から人へ移っていく「邪光」の概念は魅力的なのに、期待したほどはこの設定が目立たなかった。ホラーというより可哀想な女たちの物語。ある仕掛けもあって凝っているとは思うが、甘えん坊のヒロインの心理について行きがたかった。見えすぎるゆえ、孤独な少女があまりに悲しい。
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ハッピーエンドでないと面白くないのか?
ハッピーエンドでないと面白くないのか? 大量殺人をやらかした宗教団体の教祖の娘と、その娘の隣に住む主婦。表紙や帯のイメージで、もっとおどろおどろしいものを期待して読んだが、期待はいい意味で裏切られた。 教祖の娘ではなく、主婦の方が主役の話で、怖いというより、せつない話だ。 現実を直視しないで、見て見ぬ生きた方が幸せか、きちんと現実を見据える勇気を持って生きるべきか。 見たくないものに目をつぶっていては、結局もっと見たくないものを見ることになる。などなど、いろいろ考えさせられるラストだった。 あと、関西弁が案外ホラーに合うというのも、新鮮な発見だった。
関連する文学賞
- ホラーサスペンス大賞 第3回(2002年) ・特別賞