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アレグリアとは仕事はできない (ちくま文庫 つ 16-2)

酒飲み書店員大賞

アレグリアとは仕事はできない (ちくま文庫 つ 16-2)

津村記久子

職場の大型コピー機を相手にするような奇妙な対立を通じ、労働の日常に潜む理不尽さをユーモラスに描く小説。

仕事職場ユーモア

作品情報

『アレグリアとは仕事はできない』は、津村記久子の受賞作として作品世界の核がよく伝わる一冊です。

職場の大型コピー機を相手にするような奇妙な対立を通じ、労働の日常に潜む理不尽さをユーモラスに描く小説。 書籍として刊行確認できるため、識別子は紙書籍の ISBN を基準に整理しました。

レビュー要約

  • 設定や題材の強さだけでなく、人物の揺れや読後に残る余韻を評価する声が目立つ。一方で、扱う主題の重さや癖のある語り口は読む人を選ぶ面もある。

書籍情報

出版社
筑摩書房
発売日
2013-06-10
ページ数
207ページ
言語
日本語
サイズ
10.7 x 1 x 14.9 cm
ISBN-13
9784480430755
ISBN-10
448043075X
価格
638 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

彼女はどうしようもない性悪だった。すぐ休み単純労働をバカにし男性社員に媚を売る。大型コピー機とミノベとの仁義なき戦い!

レビュー

  • おもしろい!!!

    長瀬海編集の批評本“シンフォニカ”で長瀬海が取り上げていて興味を持ち読んだらどっぷりはまった!!コピー機に、人間関係に悩まされているOL絶対読むべし!!「わかる~」からなおさら面白い。うちの職場でもブームが起きています。

  • 怒っている、主人公も著者も。

    中編2つ。表題作は、「性悪」なコピー複合機と闘う主人公を描く。コミカルなシーンも多いが苦みがある。コピー機「アレグリア」は、私にとってはまるで男社会のシステムのメタファーのように思える。無能力だろうが狡かろうが男性であれば有利にはたらき、女性にとっては高い壁になる。 「地下鉄の叙事詩」は満員電車で近く(1m四方ぐらいか)にいることになった人びとの心理を順に描く。これまた、後半、痴漢の卑劣さとそれへの復讐が主題化されてくる。 この2編は、女性が直面する社会的な困難・不条理とそれへの怒りという点で共通する。著者も怒っているのだろう。

  • アレグリアは面白い

    2つの話が入っているがアレグリアの方は津村お仕事小説のなかでも秀作だと思った。職場ではよくあることを巧みに小説に仕上げている。後味もよかった。

  • 結末はなぁ…

    出だしは相当面白いと思ったが…、結論イマイチ。

  • 生存戦略において常勝解は存在しない

    日々、生き残るための様々な戦略が編み出されているが、どのような状況でも常に勝利できる最適解の存在しないことはゲーム理論によってすでに明らかにされている。それでもアレグリアを始め、登場人物たちはみななんとか自分だけはあまり消耗もせずにうまく生き残ろうと智恵をめぐらす。先輩が採ったような戦場からの離脱も選択肢の一つだ。岸に上がってひと息つけば、人間社会の阿鼻叫喚の大河の中にいては見えない風景が見えてくるに違いない(もっとも先輩は結局はまたこの大河の中に戻っていくのだろう)。

  • ありふれた日常を舞台に、明日への糧を与える作品

    「アレグリアとは仕事はできない」及び「地下鉄の叙事詩」の中編2作を収めたもの。私は津村作品は初読。 品番YDP2020, 商品名「アレグリア」と呼ばれる高性能複合機が前者の主役である。改題前の「コピー機が憎い!」が示す通り、女子社員ミノベが抱く「アレグリア」への感情の思い切った発露が主題である。高性能でミノベ以外の(特に男子)社員の前ではテキパキ働く癖に、ミノベがコピー機能を利用しようするとストを起こす「アレグリア」。ミノベが「アレグリア」を女性代名詞で呼んでいる事から、「アレグリア」を男子社員の前では媚を売り、仕事は適当にサボる女子社員仲間での厄介者の"擬物化"と取る事は容易い。しかし、機械とでも心を通じ合えると信じるミノベが、その信条を「アレグリア」に裏切られ、弄ばれながらも、会社内で頑張る姿を描いた奮戦記と取った方が素直である。先輩トチノ・保守員アダシノの造形やエピソードも巧み。ホッチキス(社名説あり)と記さず、ステープラーと記す拘りも愉快。ミノベの伝法な口調も手伝って、読者、特に働く女性の明日への糧を与える作品。私もコピー機のトラブルを最低百回は経験しているが、それをモチーフにするとはユニークな発想。読んで行くと機械的反応をしているのが人間の方に思えて来るから皮肉。「地下鉄の叙事詩」は意外な収穫。朝の地下鉄を舞台に、大学生・フリータ・女性会社員等の意識の流れが時には伝法に、時には生真面目に精緻に綴られる。大学生の意識は女性への妄想が中心だし、フリータの意識は将来への不安、女性会社員の意識は痴漢を初めとする周囲への殺意、と書き分けも巧み。全体の構成も練ってある。 コピー機の故障、満員の通勤・通学電車と言うありふれた日常を舞台に、我々が日頃抱いている不満の鬱憤晴らし役を果たしてくれる爽快な作品。

  • ミノベとアレグリアのキャラが凄い!

    この物語は、ミノベとアレグリアの戦い。 アレグリアと真っ向から戦うミノベが凄い。 怒鳴りつけたり、飛び蹴りをくらわすかと思えば、細かくデーターを取って無能力ぶりを分析したり…。 一方、アレグリアの性悪ぶりも堪らない。 そうそう!こういうのあるよね。 サービス呼ぶと急に直っちゃったり…。 何故、この機械だけアダシノだけが担当で、時間外で対応するのか…。 ここに隠された謎が解明されて、そう言う訳かと納得 もう一作の「地下鉄の叙事詩」 混雑した地下鉄の中に渦巻く敵意や悪意で、背筋が薄ら寒くなるほど。 私には、やや読みにくい文体ではありますが、芥川賞受賞作『ポトスライムの舟』を読むのが楽しみです。

  • 不機嫌の協奏曲

    『ちくま』2007年7月−2008年1月連載「コピー機が憎い!」を改題 冒頭から爆笑したが、それら理不尽な怒りが実はそれほど理不尽ではないと読ませる辺りが作者の妙味。相手に対する怒りや嫌いな部分が(自ら気が付いていないことも多い)自分自身の嫌いな部分や他人から厭だと思われている部分なのだと理解出来たら、アレグリアや他者に対する罵倒が鋭い自己観察になっている表現法が明確化されるだろう。だから、実はそれほど理不尽ではない、と読者に感じさせることが出来るのだ。こういったスキルはエレガントに使えば逆に厭味が浮き上がってくることも多いだろうが、そもそも垂れ流しの詩人である作者は十分に泥臭いので(でも清潔)、そういった罠に陥ることはない。話のサゲに泣きによる魂の浄化を持ってきたのには少々ガッカリしたが、その代わり、優しく本作を読み終えることが出来た。脳内補完で物語の結末を大きく変えてしまうのも読書の楽しみの一つではあるが、一時無心に孫悟空になって作者に遊ばせて貰うのも読者にとってまた望外な仕合せなのだ。 「地下鉄の叙事詩」 「1 私はここにいるべきではない。私は」 「2 順応の作法」 「3 閉じ込められることの作法」 「4 She shall be exodus.」 不機嫌の協奏曲、とでも副題を付けられそうなお話だ。とりあえず第一話目を書いて、連作したら別のテーマが浮かび上がって来て、その方向で終わりました、とも感じられる。並みの作者だったら、お話がまとまった時点で導入話を結末に合わせて修正するはずだが、あえてそれをしない(ように見える)ところがこの作者らしい。もしかしたらバルトークっぽいのかもしれないが、それはただの思い付きだ。やろうと思えば共通項はいくらでも挙げられるが、それは当然逆方向にも可能であって、そういうことを作者は良く知っている。 ところで一冊の本の構成として同種の怒りの矛先を「アレグリア……」と対比させるのならば、小市民的な収束(でも描かれた物語の範囲外でも糾弾は続く)で幕を引かずに、いっそ地下鉄駅を血まみれにすれば良かったのにとも思ったりする。この作者には似合わないが…… そして同じ人間が同じ人間に見え難い書き分け方は読者に対してちょっと意地悪だが、これは作者には似合っている。

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