日本の文学賞

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筑摩書房 空芯手帳 八木 詠美 (著)

太宰治賞

筑摩書房 空芯手帳 八木 詠美 (著)

八木詠美

書籍情報

出版社
筑摩書房
発売日
2020-12-02
ページ数
184ページ
言語
日本語
サイズ
13.8 x 1.7 x 19.5 cm
ISBN-13
9784480804990
ISBN-10
4480804994
価格
1540 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

職場にキレて偽装妊娠。 理不尽な雑用、セクハラ、「女」だから演じるろくでもない役回り―― ままならない現実を破壊するのは、私だけの赤ちゃん? 女だからという理由で延々と雑用をこなす人生に嫌気がさした柴田は、偽の妊婦を演じることで空虚な日々にささやかな変化を起こしてゆく。第36回太宰治賞受賞作。

八木詠美(やぎ・えみ)1988年長野県生まれ。早稲田大学文化構想学部(現代人間論系)卒業。現在は会社員。本作で第36回太宰治賞受賞。

レビュー

  • 男性にも薦めたい

    小説デビュー作とは思えない、素晴らしい作品でした。 序盤から結末が気になって仕方ない、「偽装妊娠」という見事な設定。 細部の表現力も見事。共感する場面がたくさんありました。 女性からしたら、感じている生きづらさなどを代弁してもらえているようで、きっと胸がスッとするだろうし、だからこそ世の男性たちにも、読んでもらいたい小説だと思いました。

  • 前半は秀逸

    面白かったけれど、謎が最後まで謎だったのが残念。 以下ネタバレになるので、買おうと思う人は読まないでください。 前半は、職場での扱いや主人公の考え、出てくる登場人物たちに、そうだそうだと感情移入でき、わくわくしながら読みました。 途中からお腹に胎児がいるような、胎動やエコー検査は、どういう仕組みだったのか。 お医者さんは騙せないと思います。変だなって思ったら詳しく調べられて、バレます。 あと、会社には出産して育休取って復帰してますが、公的な書類がないと色々と認められないし、子どもの分の保険証なども発行できません。 第一、詐欺ですよね。 重箱の隅をつつくようで、申し訳ないですが、細かいところもリアルに詰めて、完全犯罪にするなら手口を明らかにするか、または、途中でバレる、だと読後がスッキリするなあ、と思いました。

  • 題名が語ってます。

    なんだか、途中でよくわからなくなって。 でも、最後、やっぱりそうだよね〜って。

  • 解釈の違いにより、後半の評価が逆転する小説だと思います。

    レビューでも、評価が分かれている作品。 ここからは、ネタバレも少し含めるので読む前の人はあまりしっかり目を通さないで下さい。 高評価のレビューには、前半が秀逸だけど後半が良くないみたいな事が書かれていた。 しかし私は、極端に言うと前半はただ起こった出来事が全て書かれていて丁寧なだけで退屈なしょうもない小説というまったく逆の印象でした。 後半から面白くなりました。 むしろ今までの丁寧な描写も効いてきます。 私が面白いと感じたのは、読み方の違いであって、他の人は妊娠していないという解釈ですが、私の場合は最初は偽装妊娠だけど本当に妊娠しているという解釈だからです。 妊娠していないという解釈なら、後半は糞です。 しかし、本当は妊娠していたという解釈なら、後半も落ちもすべてに謎や色々な含みがあり、面白い作品という事になります。 しかも、全般を通して冗長で丁寧な描写がとても効いてくる。 新人賞の作品なら、間違いなく☆5です。 すべての場面を淡々と描いたのが成功した作品。 調べたところ、この作品は世界の9か国語ぐらいで翻訳されたようです。 この作者の今後の作品としては、 ・一つ一つの場面を飛ばさず丁寧に書く事が生きる構成の作品 は、間違いなく企みは成功すると思います。 但し、今回のように評価は割れると思います。 ・飛ばす場面の端折り方が上手くなる。 と、丁寧な描写なので様々な作品が書けると思います。 まだ一作しか出ていない?と思いますので、次回作に期待です。

  • 買いです。

    待遇や性別由来の会社への不満であったり、周囲や周辺への苛立ちや違和感であったりから偽装妊娠を標榜し、途中からゴシック的な要素や風合いを加味しつつ、心なし良い意味での消化不良の後味を残す作品です。 題名と紙管会社に勤める主人公、忘れた頃に繰り返される言葉、符牒といった仕掛けや伏線が丁寧に設えられていて、小説を読んだという手ごたえを満喫できます。 今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」的な女自身の語りであるので、今村夏子さんや小川洋子さんを愛読されている方には強くお勧めします。

  • 新たな文才現る

    設定が面白く、細かい描写がすさまじい。文の勢いと全体の構成のバランスも良い。 各新聞にも取り上げられてました、これから楽しみな作家さんです

  • 本当に空芯だった……

    テーマそのものがちょっと古くさいですが、現代の日本社会が未だに女性の進出を妨げていることはよく解ります。 ところが、読んでいるうちにその問題提起と内容が、全く異なった方向へ進んでしまう。 結果的に何を物語りたかったのか不明なまま、物語が終わってしまいます。 タイトルからお腹の空と紙管との対比を試みたのかもしれませんが、結末によってそれも書き手の意図が失敗に終わっています。 所々、このシーンはこの物語に必要なのか疑問を感じるところも多く、まぁ、新人賞だし仕方ないかと思いました。 他の方も指摘していましたが、妊娠・出産には様々な書類の申請が必要ですし、産休、育休を取るためにも書類を書く必要があります。肝心な母子手帳すら市で貰うシーンがなく、作家なら、もっときちんと下調べをしてほしいところです。 出産後の知人が話す夫への不満も、ツイッターでいくらでも流れてくる内容で、なんら驚きも迫力もありませんでした。 欠陥の多い作品で、こんなの、よく新人賞取ったな、話題作りのための選出か、他に良作がなかったのかなど、疑問しか持てませんでした。 酷いことを書いてすみません。しかし、正直がっかりしました。お金も、読んだ時間も。

  • どこかで読んだような……

    妊娠したという嘘を会社の人に告げる話の発端も、ゴッホを称賛する他人の会話をゴッホに伝えたいという感懐も、似たようなことを他の女性の作家がどこかで書いているのを読んだことがあるのを思い出し、それ以外にも、ところどころで既視感を覚える作品でした。妊娠40週目はこの小説の要となる非常に重要な章であるにもかかわらず、処女懐胎のマリア様への語りかけで煙に巻かれた感が否めません。この章を丁寧に扱っていれば、作品の印象が違ったものになっていたのではないかと考えてしまいます。妊婦のふり、子持ちのふりをして生きていく主人公のあり方そのものが他人にろくでもない呪いをかけられたゆえの姿に思えてしまいます……。この小説の「嘘」に触れ、どこか別の世界へ連れ出されるどころか、閉塞感を覚えうすら寒い気持ちになりました。筆力のある方なので、次回作では最近の他の作家や小説がいっさい思い浮かばないような、いまだかつて読んだこともないような傑作を産み出してくれることを期待しています。圧倒するような「嘘」の力で、ご自身だけでなく多くの読者を別の世界に連れ出して、器用に時代に追随するのではなく、時代を作り、あるいは大胆に壊すような傑作を。

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