作品情報
唯一のつながりだった母子手帳が、ひかるを外の世界へ押し出す。
筑摩書房から刊行された第37回太宰治賞受賞作。単行本には、最終候補作を加筆修正した『彼女がなるべく遠くへ行けるように』も収録されている。母との関係をほとんど持てないまま育った主人公が、他人の母子手帳をきっかけに自分の輪郭を探し直す。
レビュー要約
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母子手帳を軸にした孤独と再生の手触りが強く響く。静かな語りの中にある切実さが印象的で、読後に余韻が残るという受け止めが多い。
書籍情報
- 出版社
- 筑摩書房
- 発売日
- 2021-12-01
- ページ数
- 224ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.8 x 2 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784480805065
- ISBN-10
- 4480805060
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
第37回太宰治賞受賞 「私には母子手帳があった。少なくとも二歳までは愛された、私自身の証明。」 棄てられた私を守る唯一のもの。 写し鏡のような「母」との出会い。 孤独と焦燥、そして再生の物語。 幼い頃に母に棄てられ、施設で育ったひかる。 ふとした瞬間甦るあやふやであたたかな記憶、 そして手元に残された母子手帳が唯一の母とのつながりだった。 ある日、公園のベンチで拾ったのは、自分と同じ名前、生年月日の母親が落とした母子手帳。 他人とは思えないもう一人のひかるがどんな母親なのか見届けるため、ひとり待つ――。 「どうして生きていかなければならないんですか、と尋ねる私に先生は、とにかく生きることよ、と言って背中をごしごしとさすった。さすってもらった背中はとても温かくなったけれど、私は、どうせ生きてゆかなければならないのなら、そのための勇気を与えてくれる言葉が欲しかった。」(本文より)
東京都出身。1987年生まれ。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。
関連する文学賞
- 太宰治賞 第37回(2021年) ・受賞