作品情報
夫婦のあいだだけに通う愛と、看取る者・逝く者の思いを、日常の静かな時間の中で描く戯曲。
『海と日傘』は松田正隆の戯曲で、白水社から1996年4月に刊行された。同年、第40回岸田國士戯曲賞を受賞した。
書籍情報
- 出版社
- 白水社
- 発売日
- 1996-03-01
- ページ数
- 110ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784560033838
- ISBN-10
- 4560033838
- 価格
- 15000 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/戯曲・シナリオ
妻・直子の病弱のため、周りの者から結婚を反対された夫・洋次。この夫婦の間にのみ通い合う愛。悠揚と過ぎ行く日常。そんなある日、妻の忘れた日傘を取りに出掛けた洋次の留守に直子が倒れる……。看取る者と逝く者との気持ちを淡々と描き、人の生き様を謳いあげた第40回岸田國士戯曲賞受賞作。
レビュー
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静かに....静か..
この夏から立て続けにいわゆる『静かな演劇』を見る機会があったのだけれど、松田正隆はその中でも抜きん出て『静かな』芝居をつくる人だ。松田作品は本人が演出する事が珍しく、初めての松田作品を本人の演出で見られたことはとても幸運だったと思う。 さて、見た作品が正直なところとてもわかりづらかったので(ストーリーがわかりづらいというのではないんですよ、いれこめなかったんですね)、少しでも松田作品の理解につながれば、と思ってこの戯曲を読んでみたわけ。 と、本作品はとてもわかりやすく、それぞれの心理が静かな中にとても的確に描写されているのにへええ、と思った。確かに盛り上がりというものを抑え込み、あくまでも静かに物語は進んでいくのだけれど、それでもドラマの内容も各人の心理もしっかり読み手には伝わってくる。でも、これを演じる役者はたいへんだろうなあ。平易な動作、科白回しで済んでしまうのだけれど、それだけに私のような観客にとってはいれこみにくい出来上がりになる可能性もあるわけで。逆に演出家にとってはとても「いじる」余地のある作品なのかもしれない。
関連する文学賞
- 岸田國士戯曲賞 第40回(1996年) ・受賞