作品情報
今まで誰も見たことのない役者絵に、江戸中が沸いた。
写楽の謎をめぐる江戸の空気と、女中お駒の視点が重なる。第14回角川春樹小説賞受賞作として刊行された。
書籍情報
- 出版社
- 角川春樹事務所
- 発売日
- 2022-10-14
- ページ数
- 245ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.5 x 2 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784758414319
- ISBN-10
- 4758414319
- 価格
- 1760 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
寛政六年(一七九四)の春。日本橋通油町にある地本問屋の「耕書堂」は錦絵を求める客で賑わっていた。 女中として働くお駒はそんな店の様子を誇らしく思いながら、買い物に出ようとしたとき、店の中に入って行く一人の男を見かける。 その男は、写楽と名付けられた新しい絵師だった。 五月興行が始まると同時に、「耕書堂」の店頭に写楽の役者絵が並ぶと、江戸の町に衝撃が走った。それは、今まで誰も見たことのない役者絵だった。 賛否入り混じる評判の中、店主の蔦屋重三郎に呼ばれたお駒は、次の興行で出す写楽の絵を手伝ってほしいと言われ――。
レビュー
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楽しませていただきました
自分は時代小説を普段読まないのですが、十分に楽しませていただきました。非常に読みやすかったです。 選評にもあったとおり、最後の仕掛けは読む快感がありました。
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写楽の正体の謎で引っ張るお話ではございません
角川春樹小説賞受賞作。 かつて世の中をにぎわせた東洲斎写楽の別人説もいまや下火になってしまい、阿波藩の能役者を(文献通りに)写楽の正体に採用した小説も増えてきましたが、本書もその一冊。写楽の正体の謎で引っ張るお話ではなく、写楽の世話と手伝いをすることになった蔦屋の女中と写楽の交流が品よく端正かつ淡々と描かれるのであります。学問の上ではほぼ決着がついた形の写楽の正体論争ですが、フィクションではなかなか決定版といえる作品が出てこないですね。 蔦屋重三郎といい葛飾北斎(勝川春朗)といい十返舎一九といい、全体にいつもの通説(というか写楽物のフィクションの定番)のイメージに沿った扱いでして、通説を逆張りしたり、実説準拠で裏付けを欠いたものは排除したりのとんがった展開ではないのは痛しかゆしといったところでしょうか。写楽の錦絵がお客からは不評で、まったく売れなかったことにしてしまったのはストレート過ぎて、かえってフィクションでは珍しい展開だったかも。
関連する文学賞
- 角川春樹小説賞 第14回(2022年) ・受賞