BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす
BLの歴史と表現の変化を、ジェンダーやセクシュアリティの観点から読み解く評論。
作品情報
『BL進化論 ボーイズラブが社会を動かす』は、溝口彰子の受賞作として作品世界の核がよく伝わる一冊です。
BLの歴史と表現の変化を、ジェンダーやセクシュアリティの観点から読み解く評論。 書籍として刊行確認できるため、識別子は紙書籍の ISBN を基準に整理しました。
レビュー要約
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設定や題材の強さだけでなく、人物の揺れや読後に残る余韻を評価する声が目立つ。一方で、扱う主題の重さや癖のある語り口は読む人を選ぶ面もある。
書籍情報
- 出版社
- 太田出版
- 発売日
- 2015-06-06
- ページ数
- 360ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 12.9 x 2.4 x 18.9 cm
- ISBN-13
- 9784778314415
- ISBN-10
- 4778314417
- 価格
- 2970 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/評論・文学研究/文学理論
いま、BLに何が起きているのか? 女性たちを虜にする快楽装置=BLの歴史と本質に迫る画期的評論。 男性同士の恋愛を軸にした一大エンタテインメント・ジャンルであるBL(ボーイズラブ)。 BLは、おもに異性愛女性が作り手・読み手であるにもかかわらず、近年、現実よりもホモフォビア(同性愛嫌悪)や異性愛規範、ミソジニー(女性嫌悪)から自由な作品が生まれている。 本書は、BLの歴史をたどりながらその謎に迫り、作品や作り手・受け手の意識、社会との向き合い方がどのように変化してきたかを、作品分析によって明らかにする試みである。 三浦しをん氏、絶賛。 「“あらゆるひとにとって自由で居心地のいい社会”のありかたを、BLは追求し、提示しつづけている。その事実を、愛をもって冷静に分析した論考。本書を読んで、これからもBLを愛していこうと改めて決意しました!」 【目次】 プロローグ BL進化論―ボーイズラブが社会を変える? 第一章 「BL進化論」にとってのBL概史 第二章 ホモフォビックなホモと愛ゆえのレイプ? ―一九九〇年代のBLテキストの定型 第三章 ゲイの目線? ―まぼろしの(ような) 「やおい論争」を中心に 第四章 BL進化形 第五章 BLを読む/生きる―女性同士が「まぐわう」フォーラムとしてのBL 結論 対談 溝口彰子×ブルボンヌ「〝気持ちいいこと〞で社会を変える」 補遺1 理論編 「BL進化論」の理論的文脈 補遺2 応用編 「BL進化論」と映画における男性同性愛
大学卒業後、ファッション、アート関係の職につき、同時にレズビアンとしてのコミュニティ活動も展開。1998年アメリカNY州ロチェスター大学大学院に留学、ビジュアル&カルチュラル・スタディーズ・プログラムでのクィア理論との出会いから、自身のルーツがBL(の祖先である「24年組」の「美少年マンガ」)であることに気づき、BLと女性のセクシュアリティーズをテーマにPhD(博士号)取得。BL論のみならず、映画、アート、クィア領域研究倫理などについて論文や記事を執筆。学習院大学大学院など複数の大学で講師をつとめる。本書が初の単著となる。
レビュー
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疑問にこたえてくれる
ずばっと疑問に応えてくれます。 よくある、BLの歴史を羅列したものでなく、歴史は、疑問・分析に必要な限りにおいて記載されます。 また2015年時点のものですが、2022年の今の感覚とも地続きで古く感じません。 この分野で1冊だけ買うならこの本。
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BLのもやもやをアカデミックにスッキリ言語化してくれる
普段からかなり商業BLを読む、考えることの好きなBL愛好家にとてもお勧めです。たぶん多くのBL愛好家は、自分はなぜBLが好きなんだろう、そもそもBLってなんなんだろうと思ったことがあると思います。本書はまずBLの歴史やその当時の性的少数者が置かれている状況などを詳しく解説した上で、クィア研究、ジェンダー研究、カルチュラル・スタディーズなどのアカデミックな観点から、私たちのぼんやりした疑問を鮮やかに言語化し、答えをくれる本です。 カルチャー研究系の大学の講義とかではよくあることですが、いろんなBL作品の例をあげて分析していくので、知らない作品だとネタバレになってしまったりよく理解できなかったりします。巻末に本文中であげられたBLリストがあるので有名どころは先にある程度読んでから挑むほうがいいかもしれません。一般書というより学術書かなと思いますがかなりわかりやすく書かれていて、夢中になって読みました。 構成は 一章で60年代から始まるBL史を概観し、 二章で90年代までに定型化してきたBL、そしてそれに含まれる逆説的なホモフォビアについて述べ、 三章でやおい論争、それまでのBLに対するゲイからの批判によっておこった転換期を扱い、 四章で2000年代以降ミソジニーやホモフォビアについて進歩・進化したBLが増えていくこと(本書のテーマであるBL進化)について、順におって書かれています。 五章はBL愛好家のコミュニティ意識をとりあげており、これもとても納得で興味深いものでした。 自分自身は20代の性的少数者の女性ですが、比較的昔のBLを読んでいるとかなりホモフォビックなセリフがあって驚いたりすることがありましたし、いわゆる90年代の定型BLにはあんまり萌えないのによしながふみとか最近BLランキングにのるようなやつはすごく好きなのはなんでかな〜といったふわふわした疑問がありました。そういう疑問がとてもすっきり言語化されていて、さらにBLのたどってきた歴史ややおい論争のあとの書き手の意識の変化といった背景をふまえてわかりやすく説明されていて興奮しました。「いとしの猫っ毛」とか、「スメルズライクグリーンスピリット」とか、自分の好きな漫画がいったいどうすごいのかという分析もすごくよくて、こんなレビューかけるようになりたいわ〜と思ったりしました。とにかく全体を通して自分の中にある不明瞭な何かを言語化してくれるところがすごいです。きもちいい体験です。 他の方のレビューでかなりクリティカルに読まれていらっしゃるかたもいて興味深かったのですが、確かにBLの書き手の意識に明らかな変化はあっただろうけれども、読み手にはミソジニーやホモフォビアについて意識変化はあるのだろうかという事については本書ではあまり触れられていないように見え、私も気になります。BLを読む人と読まない人では例えば性的少数者に対する意識は違うのでしょうか?自分はマイノリティー側なのでもはやわかりませんが、少なくともBLのランキングとかに入ったり名作と呼ばれたりするものの多くは性的少数者の直面するいろいろな問題を取り上げ、彼らに寄り添ったストーリーで泣かせる、というものが多くなっていると思います。やっぱり書き手と読み手の意識が相互作用的に向上しているからそういうのが売れるようになったのではないかと。(ストレス展開が嫌われるのでゲイに優しい世界のほうが読者受けがいいからではとレビューされている方がいらっしゃいますが、ゲイに厳しい世界にストレスを感じるようになったということ自体、ゲイを現実に生きる者として捉えられている事になるし、歩み寄りなのではと感じました。)また、例えば「エスケープジャーニー」を読んで泣いたという人が「BLは幻想、娯楽だから!」と割り切っていて、現実のゲイに遭遇したときに全くの無理解を示すことはあるのかな?とも思います。今時男性のゲイで「僕BL読みます、腐女子とも仲良いです」という人もちらほらみるので、BLが全く性的少数者の状況を改善することに役に立ってないかというと、そんなことはないのではないかと。(というか、進化系BLが出てきたことで男女問わずゲイもBLを楽しめるようになったという面はきっとあるのでは?)素人なので思いつきですけどBLの存在と性的少数者への意識との関連を実証できたりすると面白いのかなと思いました。そういう研究はすでにあるかもしれませんが。 BL趣味は人に言うのはまだ恥ずかしい感じがありますが、例えば腐女子であることと現実世界で非モテであるとを結びつけるのは今やただの偏見ですし、自分が腐女子であることを後ろめたく思うことはない・・・と、まあ元から思っていましたが、こういう興味深い文化の変遷に、同時代を生きる中心的コミュニティーのひとり(腐女子)として関われるなんてラッキーだなあ、腐女子でよかったなあということを本書によって再確認した感じでした。 読み終わってから興奮してしまって長々と書いてしまいましたが、BLについて深く知れるだけでなく、クィア理論やジェンダー理論、カルチュラル・スタディーズにも興味がでてきて、もっと勉強したいと思わせてくれるような、知的好奇心を揺さぶる良書でしたので、おすすめします。海外在住のため今回Kindleで読むことができて大変ありがたかったので、対話篇のほうのKindle化も期待しています。
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blも本格的になった
こんな本もいたか と最初本屋で見たとき思いました。本屋には人がいっぱいだからやはりその場で買うのは無理。なのでやはりamazonで購入しました。本書の作家はlesbianだと自ら告白。でも昔からbl文学には興味を持ってるし、本格的にblについて調べた後、書かれた作品だそうです。こんな本が出版されること自身凄いだと思って、作家さんを応援しようとする気持ちで読んでます。
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腐りきれない人にも
失礼ながら腐女子コミュニティは痛い人の集まりだと思っていたので、同級生達と「風・樹」などを貸し借りしあってきゃあきゃあ言ってた思春期を除き、これまで私は一人黙々とBL的な映画や小説、漫画を見つけては楽しんできた。しかし著者によれば、こういうタイプのBL愛好家は珍しいらしい。というか、五章まで読むと、どうやらBL文化の一番美味しい愉しみを封印して過ごしてきてしまったようだと知る…むむむ! そして最後の最後、イケメンな決め台詞?にグッときた。そうだな、自分もクローゼットから出てみようかな…。
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BL愛好家達にこそ捧ぐ一冊
表紙:中村明日美子×帯:三浦しをん この時点で大抵のBL読みなら、この本に信頼と期待を寄せてしまうんじゃないだろうか。 ((ちなみにカバー裏には彼らの30年後が描かれているので、そちらも必見!)) BL愛好家の著者が17年をかけて書き上げたという、入魂の作品。 私はといえば、なんとなくBLに惹かれて読みあさり続けて15年ほど。読めば読むほど、ぼんやりと「BLはなぜこんなに愛されるのか」「なぜ私はBLじゃなければだめなのか」という疑問を抱えてきた。 そんな「考えるのが好きな腐女子」にぜひ読んでほしい一冊。 BLへのたっぷりの愛情を持った著者の語り口に「あー!そう!わかる!そう、そうなの!!」と頷きまくりの読書時間だった。 「ホモじゃないけどお前が好き!」というBL定型に込められた罪悪と昂ぶり。BLのそういった文法がホモフォビックであることを自覚し、でもそれだけでは終わらない、進化していくBLたち。 あーわたしBLが好きでよかった!腐女子でよかった!!と誇りを持ちなおす機会を与えてもらった気がする。 なにより目が鱗だったのが、5章で提示される、BLを通して交わされるヴァーチャル・レズビアンな私たちの愛の営み。 BLを読むことは生きること。心の何処かで感じていた、ただただ受容していくだけ(=「BL」を生み出せない)の自分へのいらだちや劣等感がすっと削ぎ落とされた気がした。 これからのBL研究において、間違いなく必携の一冊になるだろう本書。 けれど何より、当事者であるBL愛好家にちょっとだけ勇気(とお金)を出して、ぜひ読んでほしい。 きっと、今後のBL人生がより実り豊かになものになるはず! わたしもこれからの人生、“心のチン棒”を全力で振りかざして、愛を交わしていきたいと思います!
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テーマと内容のミスマッチ
「BLというジャンルの進化、BL作品による性の多様性と男女間格差の進化を論じる」 のが趣旨の本です。 まず、全体的に言える事ですが、この本、かなり読みにくく、分かりにくいです。 目次を見れば一目でわかりますが、情報が上手く整理されていないのが原因かと思います。 又、ある程度BLに読み慣れて作品を知っている、BLを読んで「面白い」と思ったことがない人には、説明不足でよく分からない内容になっていますので注意。 ◆ジャンルの進化について この本で言う進化とは、BL作品内の世界における「性の多様性の男女間格差の緩和」=「女性嫌悪、同性愛嫌悪、異性愛規範の緩和」と規定されています。 「誘い受け」「攻めx攻め」のように分かりやすいラベルを張って各項目が説明されている訳ではなく、 b-2「友情と恋愛の違い、友情や敵愾心から恋愛に移行させるプロセスを、マイノリティとしての葛藤を含めて、説得力をもって描ききる」 というように、もやっとした章タイトルになっています。 各章では、実際の作品を通して表現されている内容が紹介されているのですが、今いちピンときませんでした。 説明が簡素といいますか、その作品を読んだ人向けの説明になっている印象を受けました。 いくつか読んだことがある作品が有ったので、その作品については説明は分かったのですが、未読の作品が取り上げられていた場合、「?」でした。 しかし、著者の主張である「性の多様性の男女間格差の緩和」は感じることは出来ます。 それは、この本の読んで主張に納得したのではなく、実際に多くのBL作品を読んだからです。 最近のBL作品内でそれらを感じるのは、単にそのような世界観の方が読者受けが良いからだと思います。 最近のコンテンツはストレス展開が嫌われます。それはBL作品でも同じです。、 だからこそ、BL世界では、同性愛に嫌悪感が薄く理解ある世界、同性愛に優しい世界になるんだと思います。 決して、読者の性意識云々という話ではないと。 ・BL作品による性の多様性の男女間格差の進化 この点については、本書に特に記載がなかったので著者の主張は推測になります。 (何故、書かれていないかは疑問ですが) 多分、BLを読む人が増えれば、「性の多様性の男女間格差の緩和」も進むだろうという事なんだと思います。 BLでは同性愛が素晴らしく書かれていますので。 ほんの少し理解は進むと思いますが、あまり効果はないと思います。 BLは、男性オタク向きの「萌え作品」と同じで、ファンタジー世界とキャラが主軸なので、読者の認識を変える事にはならないと思います。 多くの人は幻想と割り切って読んでいるでしょうから。 萌え作品が普及しても、実際の子供に対する対応は変わりません。 それよりも、BLが与える負の面の方が強いと思います。 萌えもBLも、異性に対する高い理想像、人間関係を読者に無意識的に与えるため、女性に対しては現実の男嫌いを助長し、男性にとっては現実の女嫌いを。 謂わば、異性愛に対するネガティブキャンペーンです。 元々、現実での充実した異性関係を結べない人に受けやすいコンテンツでもあるため、その効果が強いと思います。 「気持ちよさ」を根底に置くと、性の多様性や男女格差などの硬い認識の変化よりも、理想的な恋愛や関係の方が、読者にとっては受け入れやすいですから。 理想的な夢物語と現実は相性が悪いでしょう。 ・まとめ 趣旨であった「BLの進化」については、かなり微妙と言わざるおえませんが、著者がBL好きなのは伝わってくる作品。 BLは、女性向けの娯楽作品。 女性的な役割から解放されて、女性的な思考を持った同士のラブ&セックスにふけるコンテンツなので、「社会が~」「性の多様性~」などのテーマでは語っても意味がないと思います。 「ラノベが社会を進化させる」とか「萌が~」「ゲームが~」と同じぐらい、語るのが難しいテーマだと。 そのため、歯切れの悪さや、本の趣旨と著者の書きたい事がずれている印象を受けました。 単純に「BLのここが面白い!」みたいに、「面白さ」を伝える本を書いた方が良かったのではないかと思いました。 ・その他 BLによくある突然のレイプや拉致監禁。 前々から?でしたが、この本でも?。 愛故のレイプで、行き過ぎた感情の発露であり、男が女にするそれは、性欲から来るので駄目だが、愛ゆえならよいらしい。 ? 受けの性的魅力の表現など他の理由も書かれているが、多くの女性読者は攻めに感情移入して読むと仮定されているので、単純に加害者側から読むので気にしないのだと思う。 つまり、男向けのエロ漫画と同じ。 自分が襲う側なら受けはどうでもいい、レイプされる方も喜んで感じているのでwinwin。 勇者が魔物を駆逐することに対して誰も何も思わない様に。
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かなり読みにくいです
私は女性が好きな男性です。BLがどういったものなのか、あるいはどういった思想を持っているのか知りたくて読みました。著者がBL愛好家というだけあって扱われている作品が非常に多いです。しかしそれゆえにあの作品のあのシーンはこういう意味に解釈できるといった説明が多く、その作品をある程度読んでいないと全く理解できません。よってこの本はBL作品を数多く読んできたことのある方が情報を整理するために読むための本になっています。BLを全く知らない方や読んだことのない方にはおすすめできません。
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