作品情報
シスター・アンティゴネーの暦のない墓は、守中高明の受賞作として作品世界を凝縮して伝える。
シスター・アンティゴネーの暦のない墓は守中高明による受賞作。確認できる書誌情報と作品紹介に基づき、単行本・詩集・句集・歌集・戯曲として刊行が確認できる場合のみ識別子を記録し、単独書籍が確認できない場合は識別子を空欄にした。
レビュー要約
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作品の中心にある題材と文体の個性を評価する読みができる。一方で、詩歌や戯曲に固有の省略や跳躍を味わう姿勢が求められる。
書籍情報
- 出版社
- 思潮社
- 発売日
- 2001-11-30
- ページ数
- 165ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784783712855
- ISBN-10
- 4783712859
- 価格
- 9680 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: シスタ-・アンティゴネ-の暦のない墓 : 守中 高明: 本
レビュー
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ふるえる雪炎に接吻を。
デリダの翻訳でも知られる著者の第四詩集。 近代日本語で文学作品を書いている人間を悩ませてきた翻訳語を中心に作られたために違和感のある概念用語の使用法という問題が従来はあったのだけれど、それがこのところ、むしろドゥルーズやデリダが輸入され柄谷行人や蓮實重彦の批評の文章がひろく読まれた時代の残滓として、本来文学の言葉により近かったごく単純な言葉でさえもが、批評を前提として概念用語化されてしまったような状況になっているように思えることがあり、これはこれで非常に鬱陶しく文学者を苦しめているように思える。 この守中高明の作品は、そういった《状況》から日本文学の豊穣な言葉の歴史へと向かわず、ひたすらこの貧しいように見える現在に踏みとどまって書かれたとても清新で美しい長編詩である。ここでは概念用語化されてしまった(ある意味では「文壇(内輪)」的な)言葉の一つ一つを、思考停止の退行に陥ることなく、思想を生み出す感受性と思考のエッジで紡いでいるように思える。 もちろんこれはアドルノの件の台詞、「アウシュビッツの後で詩は可能か?」という問いへの反証としてのツェランとの対話から生まれてきた詩編であるに違いないけれども、それはそれとして、「率直であること」が、文学作品を美しくすることをふたたび教えてくれる、素晴らしい作品だ。 罫線をストラップとしてあしらった鈴木一誌・鈴木朋子両氏の瀟洒なブックデザインの落ち着いた手触りも、文章を「重く」させない抑制が利いている。
関連する文学賞
- 山本健吉文学賞 第2回(2002年) ・詩部門