作品情報
現実の痛みと幸福の感覚が、若い言葉の切実さとして立ち上がります。
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レビュー要約
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切迫した身体感覚と荒い呼吸を残す言葉が印象的に受け止められている。読みやすい抒情ではなく、痛みを含んだ声そのものを読む詩集として評価される。
書籍情報
- 出版社
- 思潮社
- 発売日
- 2004-11-01
- ページ数
- 96ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784783719571
- ISBN-10
- 4783719578
- 価格
- 2090 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: オウバアキル : 三角 みづ紀: 本
レビュー
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突然来た
詩集の類は、ちょこちょことは読んだ。 だが、心に響くようなものに出会えず、これはもう一生、詩集なるものには縁がないのだろう、と諦めていた僕の心に、それは突然来た。 繰り返したであろうリストカット、嘔吐、自殺への夢想。 それらへの自己憫憐に満ちた詩は、あるものたちに強烈な感銘を与え、あるものたちには猛烈な嫌悪を与えているらしい。 当然のことながら僕は前者である。 だがそれは、傷を舐め合うような“甘っちょろさ”からだけではない。 むしろ、生きてる実感を求め悶絶する彼女を、冷めた目で観察する“冷酷さ”からかもしれない。 それと、彼女が見せる、日本語というツールの果てしなき可能性や、狂おしいまでの美しさ、彼女が手に持つ刃物にも似た、ギラギラした言葉の鋭さへの驚嘆からである。
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叫びが聞こえる
いじめられっ子の悲痛な叫びが聞こえた。社会福祉をしている者は読んでほしい。
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もうひとつの「詩集」
様々な批判を浴びている詩集であるが、「詩とは」という常識的な定義に当てはまるか否かという陳腐で皮相的なアプローチは、この詩集を理解する上で何の手がかりも与えない。『オウバアキルに寄せて』という本書に関する噴飯物の批評も、却って無い方が良い。 欧米に並び豊かで幸せな先進国日本に生まれて良かった、赤ん坊の三分の一が5歳になる以前に死亡する貧しい国へ支援の手をという、国際政治・経済学者、巨大企業、有名作家、職業詩人の浅はかなアピールを我々は宗教のように信じてきた。よく言われることだが「何が難しいといって、自分の文化を理解することほど困難なことはない」のである。 自分が生きている社会の「幸福感」や「正常さ」を根本的に疑う視点がなければ、総体的に、そして、相対的に、日本社会の現実、そして、その中で生きる住人の心の内を語ることはできない。それは、自分たちが美徳、成功、幸福そして正常と信ずる価値体系の中に生きる人々にとっては不快で理解不能な所業なのである。 突き詰めた言葉の可能性への挑戦、特に、日本語のアクロバティックな駆使によって、実は意外に多いかも知れないこの社会の歪みの中に生きる異邦人たちの告白を綴ったこの作品は、既製の産業商品としての「詩」を美しく破壊している。三角みづ紀は、現代医学の視点からは「病気」を患っているかも知れないし、彼女自身である「詩」が書けなくなった時、この世を去るかも知れないが、そんなことは、この詩集と何の関係も無い些事であろう。
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