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ぼくはO・C・ダニエル (鈴木出版の児童文学 この地球を生きる子どもたち)

エドガー賞

ぼくはO・C・ダニエル (鈴木出版の児童文学 この地球を生きる子どもたち)

ウェスリー・キング

強迫性障害を抱えながらも誰にも打ち明けられない少年ダニエルが、学校生活やフットボール、謎めいた友人との出会いを通して、自分の苦しさを言葉にしていく児童文学。弱さを隠す物語ではなく、助けを求めることの勇気を描く。

強迫性障害思春期友情自己受容

作品情報

ひとりで抱え込んでいた儀式と不安が、友情によって少しずつ言葉になる。

鈴木出版の児童文学シリーズとして刊行された翻訳作品。寝る前の長い儀式、書けない数字、言えない恐怖を抱える少年が、同じように秘密を抱えた友人と関わることで、自分はひとりではないと知っていく。Amazon JP、NDL系書誌、出版社公式を確認し、単行本のISBNとISBN-10を確認した。

レビュー要約

  • 主人公の不安やこだわりを切実に描きながら、重さだけで終わらせず、友人との関係やユーモアを通じて読者が寄り添える物語になっている点が評価されている。

書籍情報

出版社
鈴木出版
発売日
2017-10-30
ページ数
350ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784790233282
ISBN-10
4790233286
価格
1760 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

使ったあとの綿棒そっくりなぼく、ダニエル13歳。アメフトはへたすぎて給水係。勉強はできるけど書けない数字がある。寝る前に「儀式」を2、3時間する。しないと死んじゃうから。ぼくはヘンだ。でも、だれにも言えない。

カナダの作家。オンタリオ州オシャワ在住。主な作品に、『The Vindico』、『The Feros』、『The Incredible Space Raiders(From Space)』(いずれも未邦訳)などがある。本作品で、2017年エドガー賞児童図書部門賞受賞。 1963年、愛知県生まれ。東京外国語大学卒業。出版社で長年児童書の編集に携わった後、翻訳家に。本作品が翻訳デビュー作となる。

レビュー

  • 一歩ずつ。

    自分が抱えている疾患がよくわからないのは、とても不安だ。 数時間、決めた儀式をしないと眠れない。それも間違えると一からやり直し。突然襲ってくる不安もある。それっらをダニエルは「ザップ」と呼んでいる。自分はヘンだと思うし、だれかに知ってもらえれば少しは落ち着くかもしれないけれど、恐ろしくてそんなことはできない。 ダニエルは、自分がさえないと思っている。兄と違ってアメフトでは控えのキッカーか給水係だし、好きな女の子に近寄ることもできない。 とにかく毎日が憂鬱。 そんなダニエルの前に現れたのがサラ。自分が抱えている障害を知っている女の子。ダニエルは少しずつ、自分の疾患を知っていく姿が綴られています。 彼はOCD(Obsessive Compulsive Disorder 強迫性障害)。だから、儀式をしないと眠れなかったりするのです。自分の疾患を知ることで、ダニエルはそれを受け入れて一歩進むことができます。 タイトルのO・C・ダニエルは、サラがダニエルにつけた名前。OCDからもじっています。いい友だちだ。

  • 小学校高学年から中学生の生きにくいと感じてる少年たちへ

    主人公は、ダニエル13歳。 父と兄の影響でアメフトをやっているが、下手すぎて控えのキッカー兼給水係。しかも本当はアメフト嫌い。勉強はそこそこ得意だけど書けない数字がある。 寝る前に「儀式」を2、3時間しないと眠れない。しないと死んじゃうと信じている。ヘンだ、と思うがやめられない。 サラ(しゃべらないためサイコサラと呼ばれている)との出会いからサラの父親捜しを手伝うことになったり、選手の怪我によりアメフトの試合に出場することになったり、ますます「儀式」に振り回される。 そんなダニエルをサラは強迫神経症なんじゃないかと伝える。 ちょっとミステリーな部分もあって、一気に読み進められる。なにより必死に生きるダニエルの姿に心打たれる。

  • 恋と物語とアメフトと殺人を突き止めるミステリーと「ザップ」。思春期の少年ダニエルの心情を彼自身の言葉で綴る

    両親と兄・妹と暮らす13歳のダニエルは、勉強はできるがアメフトチームではいつも補欠で、スポーツが苦手な彼本人もその方がいいと思っていた。クラスメイトのライヤのことが好きだが、アタックする勇気はない。物語を描くのが好きで、その世界の中なら安心して普通の人でいられる。 彼は、突然襲ってくる「ザップ」と彼が名づけている強迫観念に悩まされていた。1日に10回くらい現れ、特に寝る前には深刻で、それを解消するための「儀式(強迫行為)」に数時間かかることもある。 そんな彼に誰とも口を利かない'変わった’少女サラが話しかけてきた。母親の恋人に殺されたかも知れない父親を見つける手助けをして欲しいと言う。 恋と物語とアメフトと殺人を突き止めるミステリーと「ザップ」。思春期の少年ダニエルの心情を彼自身の言葉で綴る。 強迫性障害(OCD)に悩まされる少年の姿は、著者の同じ年頃の姿ほぼそのままらしく、この場面は特にリアル。経験のない私でも息苦しくなってしまう。苦しいのに平静を装う姿がなんとも痛ましい。 少年たちの会話は、アメリカらしいジョークとウイットに富んでいて楽しい。特にアメフト関連のところは気が利いていて、参考にしたいくらい。 残念なのは、ミステリー部分。サラの父親殺しの容疑者とされるジョンとサラの母親の言動に納得できない。 うつ病を抱えて自宅においてはおけなくなった人を運ぶ先はホテルではなく病院ではないのか? 彼女が父親と同じ病を抱えているからと言って父の死を伏せておくなんて、あまりに非現実的。死因さえ隠しておけばいいのではないか?。 「サラがあの場所を見つけないか心配」と言われたときに、普通墓地の掃除に行く? サラの母親は自宅はとてもきれいにしているのに、恋人の家は滅茶苦茶で平気なのか? ……などなど、ツッコミどころは満載だ。エドガー賞児童図書部門受賞作品なのである。 でも、OCDをはじめとする、わかってもらいにくい辛さへの理解への一助となる本でしょう。

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