作品情報
高い発生確率は、どのような根拠と意思決定を経て公表されてきたのか。
東京新聞の記者である小沢慧一が、南海トラフ地震の発生確率をめぐる取材を一冊にまとめたノンフィクション。高い数値が当然視されるまでの過程を、専門家の証言、会議の記録、歴史資料の検討からたどり、災害への備えを支える科学と制度を読者に問いかける。第23回新潮ドキュメント賞では、一次資料に当たりながら信憑性を検討していく調査の過程が評価された。
レビュー要約
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発生確率をめぐる通説に正面から向き合い、取材で集めた資料を通じて科学と制度の関係を描く点が評価されている。告発の痛快さだけでなく、研究と行政のあり方を問い返す読後感も指摘される。
書籍情報
- 出版社
- 東京新聞
- 発売日
- 2023-08-24
- ページ数
- 248ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.1 x 1.7 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784808310882
- ISBN-10
- 4808310880
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/社会・政治
発生確率70~80%→実は20%!? 地震は日本のどこで起きてもおかしくない。 なのに、南海トラフ地震ばかりが確率の高さの算出で 「えこひいき」されている? 「科学ジャーナリスト賞」受賞の新聞連載を書籍化‼ 私が南海トラフ地震の確率が「水増し」されていることを初めて 知ったのは2018年。それまで科学的根拠に基づき算出されている と思っていた確率が、いい加減な根拠をもとに政治的な決められ 方をしていたことに、唖然とした。 また、取材をしていくと、防災予算獲得の都合などから、南海ト ラフ地震が「えこひいき」されて確率が高く示されるあまり、全国の他の地域の確率が低くとらえられて油断が生じ、むしろ被害 を拡大させる要因になっている実態も見えてきた——。 (まえがきより) 西日本から東日本の太平洋側を中心に、大きな被害が予想される「南海ト ラフ地震」。この地震がこれから30年以内に起きる確率を、政府は70%~ 80%と予測する。この数値の出し方に疑問を持つ記者が、その数字を決定 した会議の議事録や予測の根拠となる室津港の水深を記した古文書など を探し出し、南海トラフの確率の出し方が「えこひいき」されている真実 を浮き彫りにするノンフィクション。
1985年生まれ。2011年、中日新聞(東京新聞)入社。横浜支局、 東海報道部(浜松)、名古屋社会部、東京社会部司法担当など を経て、同部科学班。20年に連載「南海トラフ80%の内幕」で 科学ジャーナリスト賞を受賞。
レビュー
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とんでも本ではない
とんでも本だと思って購入したが、かなり取材を重ねた力作。事実を順番に並べてくれるのでわかりやすい。良い意味で裏切られた。
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地震の発生確率予測はできない。
本書は、月刊花田の猪瀬直樹の記事に紹介された。東京/中日新聞の読者以外ではほとんど目にしない内容であり、衝撃的である。南海トラフ地震の発生確率;80%は虚構である。詳細は本書にあるが、騒げば騒ぐほど、利益を受ける集団が、この虚構を維持発展させてきた。南海トラフが騒がれる一方、確率の低い、熊本、(能登地震)などへの対策がおろそかにされてきた現実を読者に突きつける。2024年、”南海トラフ注意報”なるものが発せられ、大騒ぎとなったが、この背景にも繋がるメカニズムが存在している。利益、権限の維持のためにはなんでもありなのが、この国に姿の一部なのであろうか、科学的な真実追及はどうなっているのか。コロナ騒動も同じようなことの様である。
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南海トラフ地震の「嘘」
南海トラフ地震の発生確率は予算獲得のために水増しされ、被害想定は「想定外恐怖症」による過剰想定であった。 つまり「嘘」だったのである。 多くの国民はこの「嘘」に騙され、今後30年以内に高確率で「犠牲者32万人規模の南海トラフ巨大地震」が本当に発生すると思っている。 想定域内では経済的損失や不動産価値の低下、人口流出などの「風評被害」が止まらず、それ以外の地域では「安全神話」が生まれ、実際に熊本地震、北海道胆振東部地震、能登半島地震では被害が拡大した。 「最も危険なのは南海トラフ地震」という誤った考え方を国民に植え付けた弊害は計り知れず、本来人々の生活を守るものであるはずの「防災」が、ある意味地震そのものよりも有害な「人災」となってしまっていると言わざるを得ない。 また、2013年内閣府の中央防災会議が出した首都直下地震の想定では「五輪を控えた東京の世界的イメージ」を意識し、過去最大の地震よりも小さい想定をした。 「過剰想定」の南海トラフ地震と「過小想定」の首都直下地震、策定する上での考え方が全くのちぐはぐだ。 我々国民にできる唯一のことは「杜撰な地震予測」に惑わされない「しっかりとした地震への備え」であることを教えてくれた一冊である。 ※本書がきっかけのひとつとなり、南海トラフ地震の発生確率については2025年9月に見直しされ「水増しされていない低い確率」も併記される形となった。
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少しフィクション
読み物としては面白いが、内容については少し盛っているようだ
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科学は正しく伝える必要がある。
30年以内の南海トラフの発生率マスコミで言う程高くない。 その理由を根元から丁寧に取材した本で、その経緯が分かりやすく、中立に記されている。確かに南海トラフの危機を煽ることで危機意識の向上や、予算の降りやすさなどで良いこともあっただろう。 ただ、科学を正しく伝えなかったことのしっぺ返しは起きている。読んだ人だけが分かるのだと思う。 また、マスゴミとひとくくりに言われるなかにも、小沢氏のような気骨の記者がおられることも大きな発見だった。 素晴らしい本です。
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参考になりました
半分ぐらいマニアックな内容(前提となっているデータと論文の妥当性の確認に関する諸々)となっていますが、発生確率を下げてしまうと地震が来ないので安心、というマインドになってしまうので、簡単に下げられないという話は理解できた。東日本大震災を経た今、また関東大震災はそれなりに記録もあるところ、やはり太平洋側は大地震時の特に津波リスクに備えなければいけないことは間違いないので、国は健全に危機感を伝え続けていってほしい。
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とても面白かった
南海トラフ地震が30年以内に起きる確率が80%なんて言われているが、この確率が無意味だということがわかった。 地震予知はもちろんのこと、地震予測も不可能なのだ。
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good
この真実を知るべきだ
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- 新潮ドキュメント賞 第23回(2024年) ・受賞